夢日記(教員の夢)
夢のなかでは教師をしていた。
小学校教師だった。
結局希望の職種に就職ができなかった私はデザイナーになれず、
家で通信教育をして教育免許を取り親の希望通りに教師になったらしい。
教師にもかかわらず子供を深く大事にしようなどとも考えることはできなかった。自分が子供のころは大人は全て子供のために最善を考えていると勘違いしていたが、案外みんな今の私のような気持ちで教壇に立っていたのかも知れないと思った。
作文を書く時間だった。
反抗する子供、
気に入られようと媚びる子供、
自分の好きな事をする子供、
自分の時代と変わらないなと思いながら、 仕事をするフリをする。
子供にたいしては失礼な事をしているなと思ったが、 子供を好きになる事はできないのだ。
見回っていると作文を書けないという子供がいた。
男の子か女の子か忘れたが、名前は「ゆう」だったと思う
漢字をどう書くのか解らないが、私はゆう君呼んだ。
多分男の子だったのだろう。
彼は作文に何を書くか解らないという。
「思ったことを書けばいいよ。」
原稿用紙には
つまらなかった。
とだけ書かれた。
昔の自分のようで懐かしくて、内心微笑んでいたが、私はこう訊いた。
「何か楽しかった事はなかった?」と。
思ったことを書けと言ったのに私はこう訊いた。
「…ない。」
「うん。そうか、気持ちは解るよ。でもね、それだと愚痴になってしまうんだ。」
「…」
ゆうと呼ばれた子は黙っている。
「社会はね、そういうの嫌いなの。楽しくなくても楽しいフリするの。」
内心、自分で言っていて社会ってなんだよ、と突っ込んだ。
「…」
「楽しいフリしてる人たちはね、その嘘がバレるのが嫌だから、つまらないのは、つまらない顔してる奴がいるからつまらないんだって、怒り始めるの。」
「…」
「そのままでいると全部君のせいにされるよ。お前のせいでつまらないって言われるの。周りがつまらなくてもね。先生、それは辛いと思う。」
そんな事ないよ、どこかでそのままの君を理解してくれる人がいるよ。すごく少ないかもしれないけど。私はそういう親友を知っているよ。
自分の気持ちを大事にしていいんだよ。
と言う言葉を飲み込みながら、私は続ける。
「楽しくないときはね、楽しいフリをするんだよ。楽しくなかった事を楽しかった事にすればいいんだよ。」
「…」
ゆう君は下を向いて鉛筆をいじくっていたが少し目を大きめに開いて再び筆を止めた。
彼が私の言っている事を理解したかは知らない。
そして私は彼の考える機会を奪う最悪の発言をする。
「ほら、あきさんはライオンさんを見たのが楽しかったって。」
ゆう君はそれを見てやっと作文に取りかかった。 無言で作文を書いている。 よく解らないが、周りのやっているようにすればこの場を回避できる。
そう思っただろうか。
それが私が教えるべき事なんだろうかと少しだけ悔やんだ。
彼が何を書くのかは見なかった。他の子供も見なければならない。
彼が「つまらなかった」と書き終えたとき、
私は「そうかじゃあ何故つまらなかったのか書いてご覧。」と言いたかった。
その後校長先生が多目的室で首を吊っている所を見つけて、
私は机を持っていって、それに乗って縄を外した。
どさりと変な格好で校長先生が落ち、足が変な方向を向いていたが、
もう死んでいるので別にいいだろうと思った。
あ、下手に死体に触れてはいけなかった。
私が疑われる。
責任をとりたくない。
そうだ、人を呼ばなければ…
そう思った所で目が覚めた。
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