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羊時計
2016年8月3日 21:00
そうして魔法使いはいつまでも気の利いたセリフを言わなかった。大人が嘘でも子供に対して言うであろうセリフを魔法使いは言わない。例えば「貴方がいてよかった」とか「あなたが大好き」だとか、善意の育ての親が子供に対して言うであろう場面で、一度もそのように接しなかった。いわゆる”物語に出てくるようなロマンティックで華やかで明るくて人を喜ばせてくれるよくある定型句”をことごとく発言してくれなかった。