5/9の粒「時をこえる青の海」
とっても甘そうで とっても光っていて とっても透明で
ああ、ほしい あれがほしかった
わたしだって ああなりたかった
40年と50年
10年の差はどこにあるのだろう
などと考えながら
緑の電車は問答無用でわたしをビルたちの谷間へみちびく
運転手は わたし
えらんだのは わたし
でも
良い とか 悪い とか
そんなことではないのだ
大事なのだ どちらも
ただ
たった今のわたし
わたしの中の青い海が
どんな色の青なのか
どんな形の波なのか
それによって えらべばいい
さっきのわたしは
数年前のわたしの残像をにぎっていただけ
今の海ではないのだから
10年も20年も 40年も50年もなく
時をこえて
並行するわたしは
甘くて 光っていて 透明だった
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