勧善懲悪ではない世界で 〜エルピス

昨日、ようやく今週分の「エルピス」を見ましたよ。
浅川が古巣のニュース8に出る場面は
フライデーボンボンのスタッフたちが緊張した面持ちで画面を見つめていたけれど、私も同じようにドキドキしながら画面を見てしまいました。
毎回ですが、
この物語を自分も体験しているような緊張感と、同時にこの良質なドラマを楽しむ自分もいまして。
ドラマ好き芝居好きとしては大変うれしい時間を味わっております。

浮かれてエルピスについて書いた記事

昨日見ていても感じたのですが、
このドラマは犯人捜しの謎ときが目的の話ではないし
闇を暴くとか、悪をあぶりだすとか、正義とはとか、そういうことでもなさそうですよね。

世にあまたあるであろう隠された真実や社会のあちこちに潜んでいる問題と、それに対するマスコミがあって世論があって、その陰で苦しむ人たちがいて、
そんなことは私たちもうみんな知ってはいるけれど、
でもそれに直面したときこの物語の登場人物たちは
一体どう考え動きどういう結論を出すのかというのを、ひたすらひたすら描いているように思えます。

善悪がはっきり分かれてて悪人がいるからこういう世の中なんじゃなくて、人間は誰しもグレーゾーンどころか自分でもわけわかんないゾーンに浮かんでいるから、だれだっていわゆる「悪」に落ちるかわからないし、誰かを傷つけるかもしれない。

浅川も岸本も斎藤も、村井も大山も、誰もかれもが自分かもしれなくて、だからこそ彼らがエルピスという世界の中でどう考え苦しみ動くか、
つまり人間ってなんなんだ?というところを渡辺さんは冷静に大切に描こうとされているんだなと思いました。

誰も自分と関係ないことなんてないのです。

なので物語上で一応の結末はあるとは思いますが、それが勧善懲悪的ドラマとは違い少しモヤるものになってしまうかもしれない。
それでも私はいいと思ってます(いや、スッキリ解決してほしいとも思いますけど!)

余談
しかし、浅川の
「セクハラかどうかは言われた方が決めるんです!」
みたいな台詞には拍手を送りたい。
スッキリした!

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