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コロナワクチンを『殺人兵器』と言う福井県議の心理を笑ってはいけない理由

実はこの県議を直接知っている。事務所にお伺いしたこともあるし、一緒に晩御飯もしたことがある。この人の口利きで福井県坂井市のとある役職をしたことも実はあったりする。

どんな人かと言えば、

自分は福井県の中で一番賢くて頑張ってる議員だと思っているおっさん

である。他人の話を聴かない人だな、とも思った。

考え方が結構ドライで、なんとかなるものと、何ともならんもんをハッキリとわけて考える人でもあった。福井県内を走る車窓から広がる稲穂に向かって、『米なんて作っても儲かる時代じゃねえんだ』と言い放ったのが印象的である。米農家の心情はさておき、お米を作っても儲からないのは厳然たる事実である。その上で、どういう付加価値のある作物に切り替えたり考えたりできることが大切かということを言いたかったのだろうと思っている。

しかし、問題なのは上記のように自分は正しいことを言っているが周りの理解が足らない、と思ってしまうその性格にある。これは、この人のみならず全国津々浦々の重鎮政治家に多い。個人的な経験で言うと、和歌山県〇〇〇町の町長とか大阪府千早赤阪村の前の村長とかはまさにそれだった。国会で言うと2Fさんだろうか。

自分の考えをしっかり持っている人は、その主張が「前例がない」「そうはいってもみんなで足並みをそろえるべきだ」など言われるという、地方創生あるある話の状況にぶつかることがある。ちなみにこの斉藤議員も40歳ちょっとで議員になっているので、初当選のころは回りに60~70代の議員がごろごろいたことであろう。何か発言しても「若造が」と言われたことなど星の数だけあったであろう。

しかし年が経ち、自分が権力を握ってくると、自分に対して物をいう人がいなくなる。指摘できる人も最初は支持者や同期議員などがいたかもやが、年々いなくなったのだろう。一般的には老害という言葉が浸透しているが、これは結構根深い問題でもある。政治だけでなく商店街や地方創生にまつわる組織などいたるところでこういう人間が散見されるが、ベンチャー企業とか、ある程度大きな会社でも、こういった『他人の話を聞かない人』は結構生まれている。年代を問わない。何かの『成功』の結果、絶大なる権力を取ってしまうと周りをイエスマンだけで固めてしまうこともある。最近だと、更迭はどうかということは別として、おりんピッグとアイデア出した佐々木某氏もそんな匂いがある。また、性懲りもなく不祥事を重ねているベンチャー企業の社長も、公の場に出てくることなく、FBやクラブハウスで相変わらず自分のキラキラしたビジネスを宣伝するのに忙しい。

わたしがかつて勤めていた会社でも、『人材紹介会社からいい若い人紹介されたけど、採用するとなると50万払わなきゃならない。SNSでこの子探して、直接連絡して採用しよう』とか、『新商品の健康食品を末期がんの人に飲んでもらったら、余命4か月だったのに、4か月過ぎてもまだ生きている。薬事法とか面倒くさいから、何とか口コミで(インフルエンサーとか使って)これをがんに効くとして売ろう』などと公然と宣う社長は実在した。残念ながら、その人に指摘をする人はいないのだ。では私はどうしたかというと、指摘をして喧嘩になっても面倒くさいので、その日のうちに転職サイトに登録した。

怖いのは、こういう人が最早議員や経営者としてはどうかというくらいの判断力や思考力のレベルになっているのに周りが怖くて首に鈴つけられず、のさばることだ。

その結果、その人がTOPなり実権を握っている組織は硬直化する。優秀な人間から離れていく。

企業なら、まだ株主や出資者という『怒る人』がいる。WeWorkとかも、タイミングは遅かったにせよ、創業者が自分のふるまいを反省させられる機会はあった。
しかし、議員というのは難しい。自分がTOPだから。他の議員に言われようと国会議員に言われようと関係ない。田舎では国会議員より地方議員の古参のほうがえらいことは多々ある。自分でカバンカンバン持っている人ほどそうなる。

こういう人は自分の思いが正しいと思う分、下(行政や秘書や年下の議員など)にはとんでもない。行政からしてみれば無駄な議員対応業務も増える。しかし選挙でもまず落ちない(支持者もその議員のおかげで美味しい思いしてきたから)。こういう人が飛んでも言説をいったん信じてしまうと本当に面倒くさい。(しかもそれなりに中途半端に勉強してしまっているので余計にたちが悪い)

「俺が思うことは正しいのだ」と思って客観的事実やデータなどを信用せず、怪しい言説を振り回す人間は沢山いる(最近は無農薬信者などで若い人も)。
特徴として他人の意見を聴けない、データ分析できない、プライドめちゃ高い。関わらないのがベストだが、農業に関わっているとEM菌信者などは時折向こうからやってくるのがめんどい。(※個人的にEMに関しては、農地や畜産で正しく使えば一定の土壌改良や成長促進効果はあると思っていますが、湖や川をきれいにするとかは全く意味が無いと思っています)

しかし、他人の話を聞かない、その原因は多くの場合『自分の話を他人が聞いてくれなかったから』というところに根差していると思われる。

前述のキッズライン経沢氏にしても、かつて私がいたところの社長にしても、最初事業の立ち上げの時は相当苦労したはずである。自分のビジョンや事業の計画を他人や銀行に鼻で笑われたことも何度となくあったであろう。しかし、それを跳ね返して(?)彼ら彼女らは成功した。その理由が、たまたま勘違いした投資家が投資してしまったり、優秀な人が参画してくれたことなどで、というのが実際のところだったりする。事業計画や自分自身の考えは大したことがなかったが運や協力者のおかげでのし上がった人は、多くの場合『最初から私は正しかった』と勘違いする。

かくして、この県議のように、他人の言うことを聞かない権力者は誕生し、トンデモ言説をまき散らす。世の中から批判されてもどうってことはない。おそらく次の選挙も当選するだろう。商店街や地方の団体に巣食う他人の話を聞かない権力者も、まだまだ存在し続けるだろう。

そして、いつの日かあなたもモンスターになるかもしれない。この私も。

そういうモンスターをどう排除するべきかを考えるだけ無駄である。排除しようとすればするほどモンスター化する。適度に無視しておだてて無視しておだてて、の繰り返しをしつつ周りの仲間を巻き込んでいって、ある日適正に退場いただくしかない。
いま、そんな下ごしらえ(町長選挙への準備)をしているとある地区の人と仲がいいが、2、3年かけて念入りに行っている。何とも気の長い話で、気の短い私はそういう地域に関わらず、老若男女問わず楽しくできる地域とストレスなく付き合うだけである。

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