追憶のJリーグ開幕戦「1993.5.15 ヴェルディ川崎×横浜マリノス」
観終わってまず思ったのは「90分ずっと面白かった」。
Jリーグの再開を目前に控え、NHKの『あの試合をもう一度!スポーツ名勝負』で放送されたJリーグ開幕戦「1993.5.15 ヴェルディ川崎×横浜マリノス」。
「その年の」開幕戦じゃありません。「Jリーグの」開幕戦。記念すべきファーストマッチです。
ほぼ全員日本代表
まず両チームの選手が豪華。っていうか超豪華。
ヴェルディが
カズ、ラモス、武田、柱谷、加藤久、都並、中村忠、菊池新吉、ペレイラ、ハンセンそしてマイヤー。ちなみに北澤はケガの影響で後半からの出場。
なんと日本人選手全員が日本代表経験者。
マリノスは
木村、水沼、井原、勝矢、松永、野田、平川、小泉、エバートン、ビスコンティ、そしてラモン・ディアス。
こちらの日本人選手も野田と小泉を除く6人が代表経験者。
スタメンの日本代表率14/16。何だこの両チーム笑
それに加えてラモン・ディアスまでいるんですから。
「日本リーグ時代は1,000人とか2,000人の観客の前で試合をしていた」のにこの日の国立競技場に集まった観客は59,000人。その狂騒。
日本リーグ時代からの読売VS日産の因縁。互いに認め合うライバル対決でありながら過去6年間読売の勝利なしという極端な合口。
攻撃の読売と守備の日産という対照的なスタイル。ラモスと木村、日本代表の10番論争。
そんなことを知りもしないでバブリーに騒いでいる観客とその隣で「本当にこんな日が来たんだ…」という感慨にふける昔ながらのサッカーファンが共存するスタンド。いや当日スタジアムにいたわけではないので完全にイメージですが笑
もう古参もにわかも全部ひっくるめて盛り上がる条件は整っていました。
自分はロスジェネなんでこの試合はオンタイムでも観ています。もうなんだかすべてが懐かしい笑
画面から伝わるゴリゴリのガチ感
この試合が凄いのは、まったくダレないところ。
両チームともハイペースでゴリゴリにやりあいます。
現在の感覚からすると、このペースで1試合もつはずがないんですよ。
過去の名勝負でも現在に近いハイプレスな試合で感心していると後半15分ぐらいから急激にノーガードの打ち合いになる試合とか結構ありますし笑
でもこの試合は両チームとも最後まで足が止まらないんですよね。
たぶん初めて経験する満員の国立競技場にアドレナリン出まくっていたんでしょう。
そしてもうひとつ。
この番組では(当時の画像がアスペクト比4:3なので)画面に視聴者のコメントを流してたんですが、その中にひとつ「なるほど」と思ったものがありました。
この頃のサッカーはシミュレーションとか無しにガチでやってる感がすごい伝わってきます。
そっか。だからスリリングで面白いんだ。
ダイブ。シミュレーション。要するに反則をもらおうとして故意に倒れること。それがこの試合では誰もやっていないのです。
なんて潔い。清々しい。
本当に、ダイブって観ていて白けるんですよね。
みっともない。
もちろん選手を怪我から守ることが本当に重要…というか最優先すべきことです。だから削られても我慢しろっていうのはちょっと違います。当時より現在の方が選手たちも全体的にマッチョになっていて怪我のリスクが上がっているのも間違いないと思います。
でも明らかに当たってないのに「うわ~」って顔して倒れこんだり。相手の手がちょっと肩に当たっただけなのに顔を押さえて倒れて大げさに痛がったり。
画面で大写しにされてリプレイ何度も流されるの知ってますよね?自分が姑息な嘘をついているのが衆目にさらされているのに恥ずかしくないんですかね?
ほんと、みっともない。
私は色々なスポーツを観ますが、サッカーが一番ひどいように思います。
あんなだからVARが導入されるんですよ。
ちょっと話が逸れちゃいますが、NBAで一番嫌いなシーンが「まったく決める気がないのにただただファール狙いで打つ(ふりをする)3ポイントシュート」です。あれもめちゃめちゃ白ける。相手ディフェンダーに読まれてスカされた時のかっこ悪さといったら…
ドライブからファールを受けながらも叩き込む3ポイントプレイが一番痺れますよね。(これも怪我のリスクを考えると複雑な思いもあるのですが)
この日から
27年前です。
両チームとも今は名前が変わり、ヴェルディは2008年を最後にJ1の舞台に返り咲くことができていません。
それでもこの日の、そしてあの頃のヴェルディ×マリノスの輝きは今なお褪せることはありません。
この日に生まれた熱狂。
それは大きなうねりとなって、5か月後のドーハの悲劇へとつながっていくのです。
そのあまりにもドラマチックな道行きと悲劇的な結末はサッカーのことなど何も知らなかった人々の心をも鷲掴みにし、結果的に日本にサッカーを根付かせる決定打となるのですが、それはまた別の物語です。
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