五 夏は過ぎ、彼のいない日々


 僕とポールはいつも最初に会ったのと同じ公園で話した。僕はたいてい彼に食べ物を持っていった。彼はいつもそれを平らげてから、一言「おおきに」と言った。本当に彼は無愛想だった。

 気がつけば、夏も終わりに近づいていた。

 ある日突然、ポールがいなくなった。

 僕は公園のまわりを探し回ったが、彼の姿は見えなかった。

 次の日も、その次の日もポールは公園に現れなかった。

 そして一週間が過ぎた。こんなに長い間彼と会わないのは初めてだった。僕は自分がいかにポールを好きかを思い知らされた。確かに彼は老いぼれて、薄汚く、無愛想だ。でも僕は何度か彼に会ううちに、ポールの伸ばすともなく伸ばした背筋や悟りきったような態度が何となく好きになっていたのだ。

 彼は姿を消したまま、九月が訪れた。


> 六 滑稽な僕たち

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