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《you+》音楽で繋がる。

20年ほど前。

私がボーカルを務めるバンドで、サポートメンバーとしてフルートを吹いてくれていた男の子がいた。

あるライブの日、その男の子の知り合いがお客さんとして足を運んでくれ、ライブ終演後に私に声を掛けてくれたのだが、その人は劇団の主宰者で、次回作の舞台に使う音楽を作ってくれる人材を探していた。

フルートの彼は既に決まっていたのだが、その時もう1人の人材として私が選ばれた。

実際に舞台稽古の現場に行き、台本を戴いてイメージを掴み、決まった分数の中で曲を作る、という初めての試み。

私自身高校時代に演劇部に所属していて、台本を読んで芝居をすること、また観劇もとても好きで、こんな風に音楽という手段で舞台に携わる機会ができたことがとても嬉しかった。

そして制作した曲がこちらの3部作。

その舞台では映像を使う演出があり、これをキッカケに映像作家・M氏(以下、M氏)との繋がりも生まれ、舞台が終わってしばらく後、今度はM氏から、また別の舞台で使う映像作品で音楽を作ってほしいとの依頼が。

この頃には私はバンドを解散して、語り音-katarine-としてソロで活動を始めていたのだが、私がヴァイオリンの演奏経験もあることから、この時はヴァイオリンソロの曲との指定があり、なんとその舞台のオープニングで映像に合わせて演奏する機会まで戴いた。

残念ながらこの時の映像は残っていないのだが、それからというもの、M氏は私のライブによく足を運んでくださるようになった。

それから約5年ほどのソロライブ活動を経て、結婚・出産でしばらく間が空き、2019年。

夫の実家に滞在中、facebookのメッセンジャーに届いた1件のメッセージ。

それはM氏からで、自身が撮影した富山県魚津市のプロモーションビデオの音楽を、是非お願いしたい、とのことだった。

音楽活動は休止状態だったものの、音楽家としての私の存在を生かしてくださることがとても嬉しく、即お返事をし、1週間ほど時間を戴いて納品。

プロモーションビデオを企画した魚津市の方も喜んでくださったそうで、顔を合わせずとも音楽という形で繋がることができた貴重な経験となった。

そしてそれからまた1年以上過ぎた2020年も年末の頃、再び入ったM氏からのメッセージ。

世の中が自粛生活を余儀なくされていた1年で、私も何かしようと語り音-katarine-としてのYouTubeチャンネルを立ち上げて、自宅での演奏動画をいくつかupしていた時だった。

『語り音さんがupしていた曲を、映像に使わせてほしい』

その曲は、元々違う映画監督さんの映像作品で使われる予定だったものなのだが、諸事情により日の目を見ることなくお蔵入りしてしまった曲だった。

その時M氏が思い描いていた世界観で、私の曲が生き直したのだ。

音楽が重なった映像を見て、とても静かで淡々とした世界観ながら、少しの懐かしさや温かさ、冷たさまでもが心の中に流れていく感じがした。

この映像を2021年の年明けに公開したのを機に、M氏と私は共に作品を作っていくことを決意。

そこに、M氏と繋がりのある写真家の1人が加わり、世の中の状況を鑑みて、動ける範囲でユニットとして水面下で活動し始めたところである。

私は音楽の他にも衣装作りをしてみたり、ユニットの中でやりたいことをこれから少しずつ放出していきたいと思っている。

幼少期から慣れ親しんだ音楽を一度は諦めようとしたこともあったが、続けてきたことで繋がりを生み、ゼロから始まる何かが新たな形で産声を上げることができる喜び。

それを一つ一つ、人生の証として残していきたい。



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