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小説 【 あるハワイの芸術家 】 -13-

間遠になったもののクリスとはつき合い続け、13歳になるとジェシーはひとりでよくノースショアに行った。バスを乗り継ぎクリスの自宅近くのバス停で待ち合わせ、海の見えるレストランに行くのが定番コース。泊まりの時はケイトに言ったが日帰りの時は内緒で行くこともあった。

母ひとり子ひとりの生活は時に息がつまり、ジェシーはクリスに愚痴をこぼした。

「相変わらずよ。家ではお酒。飲む量は前より増えて」

「そう」

「酔っ払いが嫌いって言いながら、自分が酔っ払い」

ケイトは休みの前日になると深酒し、トーマスの生前のビデオを繰り返し見た。

「私の顔見れば勉強しろって。しないといい仕事につけない、自立できない、そればっかり。自分みたいにならないようにって」

「うん――」

「後悔してるならなんとかすればいいのに」

「なんとか?」

「今からでも学校行くとか、資格取るとか」

「仕事でいつもヘトヘトなのかもしれない」

「だけど、私のためだろうけど――」そう思うからケイトには直接言えず、しかし酔って塞ぎ込む姿は見ていられなかった。「お酒なんか飲んでたって――逃げてるよ、現実から」

「うん――」

「新しくいい人探すとか、それだっていいと思う」

「賛成なの、ジェシーは再婚」

「今のままよりはね。叔父さんは反対?」


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