日刀保の刀剣審査について② 〜「鑑刀秘書」プレゼントクイズ〜
前回の①〜昭和の出来事〜から引き続き、刀剣審査の歴史を振り返ってみたいと思います。
なお、筆者の感想を交えた回顧録であることをご了承ください。
記事の最後に「刀と鐔の玉手箱」の著者から、「鑑刀秘書」プレゼントクイズを用意しました。是非ご応募ください。
②〜平成以降の出来事〜
財団法人日本美術刀剣保存協会(日刀保)では、富士川会長の後任の山中貞則会長が逝去されてからは、鈴木嘉定氏(2か月弱)、橋本龍太郎氏(2年強)と短期の会長時代が続きました。
次の佐々淳行会長の時代には、「大義なきクーデター」と形容される「平成18年問題」が発生し、佐々会長から突然解雇された協会役職員3名と協会との間で訴訟となりました(詳細は「刀剣美術」誌第643号を参照ください)。
また、上記の「大義なきクーデター」が完全に解決していない平成21年2月には、刀剣博物館二階の「開かずの扉」と呼ばれた収蔵庫と別館地下の倉庫から登録証なしの約600口(赤羽刀等)の刀が発見されたことで、協会は新たな問題を抱えることとなりました。
国が公益法人改革を推進する中で、当協会も一般財団法人から公益財団法人への移行を目指し、平成22年7月9日村山弘義(元東京高等検察庁検事長)会長と黒澤正和(元警察庁生活安全局長)副会長が就任しました。
「公正と高い透明性を協会運営の指針として尽力する」と宣言した村山新会長には、一連の騒動を収束させるとともに、日刀保の刀剣審査等に関する多くの問題の解決や、改善に向けた強い指導力の発揮が期待されました。
そこで、村山会長は、就任早々、審査担当者である当協会学芸部の部長以下全学芸員と外部審査員に対して、「当協会における刀剣等審査のあり方の中で特に審査の不正防止等について」という問いかけを行い、平成22年10月には、全員から村山会長へ文書による回答や報告が行なわれています。
しかし、村山会長が平成23年8月4日に突然退任されたため、審査業務に携わってきた学芸員等の貴重な報告や意見等について、十分な検討を行うことはできなかった模様です。
なお、日刀保は、平成24年3月21日付で公益財団法人に認定され、刀剣博物館は、平成30年1月19日に墨田区横網町に新築・移転(開館)しました。
以上のように、日刀保の刀剣審査には、いろいろな利害関係も絡んでおり、その業務運営には大変な苦労が伴うものと思われますが、今後も公益財団法人としての高い透明性が望まれます。
〜プレゼントクイズ〜
上記の「刀剣博物館の開かずの扉」と呼ばれたスペースから発見された刀約600口の中の1口が、「刀と鐔の玉手箱」に掲載されています。その刀の名称は何でしょうか。
お解りの方は、2024年12月31日までに、下の「お問い合わせ」又はページ最下部の「クリエイターへのお問い合わせ」から、次の項目を記載してご応募ください。①クイズの答え ②住所 ③氏名 ④年齢 ⑤記事や著書の感想・要望
ささやかですが、正解者の中から抽選で5名の方に、「鑑刀秘書」を各1冊進呈いたします。
クイズの正解は、締切日以降、このページに掲載する予定です。