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定寸に満たないと値段が下がるという謎

定寸(2尺3寸5分)を切ると寸足らずとして評価され値段が下がる。
結構聞いたことのある人も多いかもしれない。
1615年、武家諸法度により大小(刀と脇差)を腰に携える二本差しが定められましたが、刀の長さの標準は刃長2尺3寸5分(約71cm)とされ、この寸法を「定寸」と言います。
そもそも定寸と言う決まりは江戸時代に入ってからの事でそれまでは定寸という決まりはありませんでした。

①定寸に満たない刀の2パターン

ここで分からない点が1つ。
例えば2尺2寸の刀があるとして、①製作当初から2尺2寸だった場合と、②摺り上げたり区を送ったりして短くした結果2尺2寸になった場合、の2パターンがあります。

後者は健全度が下がるので健全な物に比べて安くなるのは至極当然の事で分かりやすい。特に新刀以降で摺上げや区送りが行われているとだいぶ値段も下がる様子。
重要刀剣以上に合格しないというのも一つ理由としてあるかもしれません。

しかし分からないのは前者。
健全なのに長さの理由だけで下がる??
それだけ定寸の刀じゃないと嫌、と思っている人が多いという表れ(定寸に満たない刀の需要が少ないということ)でしょうか。
これがいまいち分からない点。

私の周りにいる人で定寸にこだわる人もいるにはいるが、最近刀を好きになった人ほど気にしていない傾向がある気もする。
というよりも、刀を初めて手に取ったばかりの人で定寸という概念を知っていて2尺3寸5分にこだわる人が果たして何人いるのだろうか。
一方で昭和頃に発刊された刀剣本を見ると「定寸に満たないと安くなる」とだけ書いているような本もあり、そういった事から昭和の刀剣バブルの際にこの情報がどこか一人歩きして「定寸に満たない刀は安い、人気がない」のような解釈で多くの人に伝わってしまいそれが現代の通説として根付いてしまったのではないか?と私なりに考えてみる。真意は不明。


②定寸に満たない刀はむしろ特注品なのではないか?

定寸という概念が江戸時代に出来たとすればその時代の刀匠は取りあえず定寸の物を規格サイズとして沢山作り在庫として持っていた可能性もある。
どんな理由で2尺3寸5分が定寸と決まったのかは不明とされているが、その寸法が定寸と決められたのであれば、その長さを欲する人が多かったのだろう。
その時に2尺2寸の定寸に満たない刀を在庫として作る事は考えにくい。
すると定寸に満たない生ぶの作というのは、注文主に合わせて特別に作られた物、念入り作と推察出来るような気もするがどうだろうか。

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③終わりに

定寸に満たない刀が安いというのは私自身も人から聞いたレベルの話でしかなく、例えば定寸を100としてじゃあどの位安くなるのかについてなど詳しい事は分からない。
居合なども嗜まない私にとっては2尺3寸でも2尺2寸でも、刀が好みであればどちらでも良いと思ってしまうが他に何か大きな理由があるのだろうか?

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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