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国宝、重要文化財の管理規定について
国指定品は重要美術品(重美)、重要文化財(重文)、国宝の3種類があり、刀剣はその中でもかなり多く指定されています。
そして文化財が貴重な国民的財産である事から、重文以上は管理方法に細かい決まりが発生するようです。
今回の記事は以下サイトから内容を一部抜粋、省略して書いています。
正確な情報は必ず以下をご覧ください。
・国宝・重要文化財の所有者のための手引き(文化庁)
・国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項
①守るべき義務
重要文化財や国宝を手に入れたら守るべき義務が発生します。
・※適切に管理しなければならない
・出来るだけ公開するよう努めなければならない
※適切な管理について
1 公開を避けなければならないもの
(1)劣化が酷く、応急措置を施しても公開によって更に劣化する恐れがある文化財等は抜本的な修理などで劣化の懸念が払拭されるまで公開NG。
(2)材質がぜい弱だったり、寸法が特に大きい、形状が複雑、劣化が著しいなどの理由により、移動による劣化の進行やき損等の危険性が極めて高いと考えられる重要文化財等は、移動を伴う公開NG。
2 公開のための移動回数及び期間
「1.公開を避けなければならないもの」に該当しないものに限る。
(1)公開のための移動回数は年2回以内。
(2)公開日数は年間60 日以内。(材質が石、土、金属等については公開日数を年間 150 日以内。個別に細かく規定有。詳細は以下リンク最終頁参照)
(国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項)
特別な理由があり延長したい場合は事前に文化庁文化財部美術学芸課と協議し、公開後2年間収蔵庫に保管するなど、次回公開まで適切な期間を設ける事を条件に、年間 100 日まで公開することが可能。
退色や材質の劣化の危険性が高いものは年間公開日数の限度を30 日以内かつ他の期間は収蔵庫に保管して温度及び湿度に急激な変化を与えないようにする。
3 陳列,撮影,点検,梱包及び撤収時の取扱い
これらの作業は対象の重要文化財等の特性や状態を十分把握した学芸員等が取扱うこと。
4 公開の方法
展示物の大きさや展示作業上の安全性、機能性、耐震性を考慮して設計された展示ケース内で展示する(寸法が巨大、材質が特に堅牢なものを除く)
① 展示ケースのガラス等は十分な強度を有し飛散防止措置を講じること。
② 移動展示ケースは重心を低くし横滑りなどの防止措置を施すこと。
③展示ケース内の温湿度の調整方法は、展示室の環境や構造及び管理方法を考慮した上で、エアタイトケースを適切に使用する、調湿剤を使用する、データロガーによる温度及び湿度の計測を続けるなど適切な方法で維持する。
④ 文化財に悪影響のあるガスを出すおそれのある素材や接着剤等を使用する場合は、使用量や通風乾燥期間を適切に設け、定期的にケース内濃度を確認すること。
⑤ 巻物のものなど傾斜台に置く場合は、傾斜角度を水平角 30 度以下に。
⑥公開中展示されている文化財の定期的な点検をする機会を設けること。
5 公開の環境
(1)慣らし
常時置かれてきた場所とは異なる環境に輸送したものの梱包を解く時は、24 時間程度の十分な慣らしの期間を確保すること。
(2)展示ケース内の温度及び湿度の調整
展示ケース内の温度は摂氏 22 ±1度(緩やかな温度の変動はあっても可)
相対湿度は 55 ±5%(年間を通じて一定に維持)を目安とする。
金属製品の相対湿度は 50 %以下を、近代の洋紙を利用した文書・典籍類、図面類、写真類などの相対湿度は 50~ 55%程度を目安とする。
重要文化財等の種類及び個々の保存状態に応じて適切に判断すること
(3)露出展示(展示ケース外での展示)
露出展示しなければならない場合は展示室の温度及び湿度が(2)と同様になるように努め、結界等により接触防止の措置を必ず講じること。
(4)照度
① 照度は原則として 150 ルクス以下に保ち、直射日光が入る場所など明るすぎる場所での公開を避けること。特に退色や材質の劣化の危険性が高い重要文化財等については、露光時間を勘案して照度をさらに低く保つこと。
② 蛍光灯を使用する場合は紫外線防止のため、退色防止処理を施したものを用い、白熱灯を使用する場合には熱線(発熱)の影響を避けるよう配慮すること。
③ 紫外線や赤外線の出ない LED 照明等を使用する場合も、①の原則と同様に取り扱うこと。
④ 写真や動画撮影に使用する照明についても照度や露光時間については十分留意すること。
②禁止制限
・一部例外を除き、海外への輸出不可
・指定品の現状を変更する場合は文化庁の許可を受けなければならない
現状の変更とは、文化財としての価値を有する部分に直接的かつ物理的変化を加える事を指します。
重文以上の刀は研いだりする時には文化庁の許可が必要になるんですね。
③届出用紙のダウンロード先
以下に該当する場合は届出書を出す必要があるそうです。
(画像転載元:国宝・重要文化財の所有者のための手引き(文化庁))
必要な書類は全て以下にまとまっています。
④参考データ(都道府県別の文化財指定状況)
以下はH28時のデータですが、東京と京都がやはり群を抜いて多いようです。国の指定品以外にも、県指定、はたまた市町村指定の文化財もあるそうです。県指定は知っていましたが、市町村指定があるのは初めて知りました。
(画像転載元:文化財に関する基礎資料)
⑤終わりに
私含め恐らく大多数の人は重要文化財クラスを所持する事は無いので関係のない話とは思いますが、興味本位で調べてみると意外に面白かったです。
また国宝、重文の売買は文化庁に届け出て、国が買い取らない場合のみ、個人が買い取れるそうです。あくまで国に優先買取権がある様子。
だから例えばあなたには特別に1000万円で国宝を売ってあげるよと言われても「そんな安いの?じゃあ国で買うよ」と言われ個人は結局買う事が出来まないなんてことも起こり得そう。
なので個人間で売買する際は値段設定というのは難しそうですね。
山鳥毛は5億円で瀬戸内市が買い取っていましたがもし1億だったら国が買い取るよ、となっていたかもしれません。
(画像転載元:https://www.joetsutj.com/articles/26059848)
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それでは皆様良き御刀ライフを~!