7th FFF-S優秀賞・観客賞受賞「初恋」制作意図
2025年1月18日開催
フェローズフィルムフェスティバル学生部門で、
優秀賞と観客賞をいただきました
片岡真優奈です🏆
アーカイブでもご覧いただけます上映後の舞台挨拶では、タジタジで質問と回答が噛み合わない様子をお見せしてお恥ずかしい限りです💧
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そんな私をみかねた友人が、あらためて、インタビュー形式で話を聞いてくれました。
音声を文字起こししたので、以下に記載します。
①作品を制作したきっかけは??
私自身、コミュニケーションがすごく苦手で、自分の意図を言葉にすることのハードルがすごく高くて悩んできました。
人が思っていることと口に出すことは、必ずしも一致していないと思います。それが意図的であったり、そうでなかったりと場合はありますが。
例えば、誕生日に、すでに持っているものをプレゼントで渡されたら、「ああ、もうあるからいらないなあ」と心で思っていても、満面の笑みで「ありがとう!」って受け取りますよね。
こういうことってよくあるなあって思っていて、心と、言うことや行動、表情といった外側が違うみたいな。
私自身がそれをうまくできなくて、誤解されることが多くて、悲しい思いを何度も経験しました。
カウンセリングに通うようになって、少しは改善されてきたように感じていますが、今でも、周りの方々にはいつもご迷惑をおかけしていると思います。
それで、今回、はじめて、企画、脚本、監督をすることになって、この自分が感じている違和感を映像にしようと思いました。
自分が一番持って、悩んできたことを昇華させることで、私にしか作れない作品を作ろうと思いました。
それで、改めて映画祭の募集要項を確認すると、4分以内の作品だったので、まず、これは絶対、4分だからおもしろい作品にしようと思いました。
出そうと思った時には、もう、締め切りまで3週間をきっていて(笑)あ、この映画祭のことを知ったのが、フェローズ月1短編映画上映会vol.1を見に行った帰りに、「学生なら、4分、スマホで撮っても出せるから、ぜひ」とチラシをいただいたのが最初で。その日は9月5日で、締め切りが9月30日。私自身、到底、間に合わないと、はなから諦めていました。しかし、一緒に行った日本大学芸術学部映画学科の学生さんが「私の周りに伝えたいことがあってうずうずしてる人がたくさんいるので、その人たちにも伝えます!」って答えていたのがひっかかって。帰宅しながら、私が伝えたい強い想いってなんだろうという問いが頭の中をぐるぐると泳いでいました。2、3日の間、その問いが記憶の隅々をめぐって、これまで感じてきたことや、今、感じていることを振り返らせてくれて、あ、冒頭の認知の違和感だとピンときました。
話を戻して、そんな締め切りギリギリで作りたいとなった作品だったので、これは、削れるところは削らないと完成させられないなと思いました。
私にとって、ストーリーとセリフは別モノだったので、まず、今回は、セリフを「捨てる」決断をしました。「捨てる」といっても、ぞんざいに扱うわけではなくて、セリフはすでに完成している作品の力を借りてしまおうと思ったわけです。その分、ストーリーや全体の構成を組み立てることに時間をかけようと。
そうすることで、私が伝えたい違和感を描くことも可能になるし、オリジナルの意味と今回付与された意味とを同時に見るという認知体験を味わえる作品にできるとひらめきました。
これは、20分でも2時間でもなく、4分という時間だから、その世界を見せても耐えられるんじゃないかと。
ちなみに、この違和感については、字幕付きの映画を見ている時に、英語のセリフと訳が直訳ではないことがおもしろいなあと感じていて、これができるなら、日本語でもできるんじゃあないか?言っていることと感情が違う世界も描けるかもとヒントになりました。
それで、青空文庫から、すべてを引用して4分以内で話し切ることができる作品を探しました。なので、期待はずれかもしれませんが、私自身は、全然、文学や本の虫ではありません(笑)整然と整備された青空文庫のサイトが優秀なだけです。
この時点では、まだ結構たくさんの作品がピックアップされていて、セリフとなる作品を絞る必要がありました。
そこで、人の制限を考えました。もう集められるキャストは、私と一太くんだけだったので、この2人がオリジナル作品と真逆の状態を演じることができる作品はどれだろうと絞り込みました。
この時点で、数作品くらいに絞ることができました。夢野久作の「医者と病人」も候補の一つで、おもしろい文章なので、読んでみてほしいです。
で、ここからは、おもしろい作品になりそうな気配があるかどうか(この作品を作ったら1番印象に残る絵はどれになるだろう)、起承転結や序破急にはどのような可能性があるだろうか、よりリアルな場面を描けるかで決めていきました。
一太くんとは、お互い年齢が同じで男女なので、真逆を作って一番おもしろくなりそうなのはどれかと。ちょうど4連で、青年の甘酸っぱい恋心をうたった島崎藤村の「初恋」に決めました。
最後に、文章の制約上、上から下に文字を並べていますが、実際の思考では、並行して考えたり手を動かしたりしていて、
A. 自分の伝えたいこと
B. どのように3週間で作品をつくるか
という大きく分けて2つが、島崎藤村の初恋を引用しよう!という点でハイタッチしたみたいな出来事でした。