自分に甘い君へ。イチローが伝えたいこと
今年引退したイチローさんがイチロー杯の閉会式ですごく本質的なことを言っていました。簡単にスピーチの内容を要約すると、
1. 自分を厳しく鍛えられるのは自分だけ。
2. 知識と体験は大きく異なる。自ら体験しろ。
といった感じ。僕は特に「自分を厳しく鍛えられるのは自分だけ」ということに共感するとともに、スポーツ界への危機感を感じました。このときのイチローさんは、小学生に向けてのスピーチということもありフワッと大枠だけを伝えていたので、僕なりの解釈と意見を含めてイチローさんのスピーチを掘り下げてみます。
厳しく指導することが難しくなった時代
TwitterやInstagramなどのSNSを使うことが当たり前になった今、学校教員やスポーツ指導者の体罰や理不尽な指導などが世間の目に晒されやすくなりました。その結果イチローさんが指摘している通り、教える側よりも教わる側が力を持った状況が生まれています。「そんなことやったらネットに晒すぞ」という圧力ですね。
これだけだと体罰などが減るのでいいことなんですが、『モンスターペアレント』などの問題も相まって「過剰な抑制」が教える側にかかっているのが現状です。少し厳しめの指導なども、教える側からしたらリスクが高くなっているんですね。もちろんその結果、「わざわざリスクをとってまで厳しく指導する」という人が激減しています。
すると、教わる側は「自分に厳しくしてくれる大人」が少なくなるんです。一見聞こえはいいですが、人間は楽な方に流れやすいので自分に厳しくできない人はどんどん楽な方に進んでいきます。これが、すごく残酷な時代だなあと。
「厳しい指導」にも「いい厳しい指導」と「悪い厳しい指導」があるはずなんですが、この両方ともが単に「厳しい指導」と認識されてしまい、リスクを取ってまで実施する指導者が減っています。「いい厳しい指導」までもができなくなった今、厳しく指導されていればプロ野球選手になっていたかもしれない、基礎能力はあるけど自分に甘い選手が、YouTubeをぼんやり眺める生活を積み重ねた結果、ただの凡人で終わる可能性が高くなったということです。
また、「優しい指導」を言い換えると、教える側が「自分がリスクを取ってまで、努力しない人の面倒は見ない」という判断をしたということ。「怒られなくなった!やったー!」と喜んでいる人たちは、切り捨てられてしまっていることに気づく必要があります。
だからこれからの時代、厳しく指導してくれる指導者がいなくなったことで、「自分で努力できるひと」と「自分で努力できないひと」の格差が広がるはずなんです。「選手の自主性に任せる」って、聞こえは本当に良いんですけどね。
じゃあどうすれば?
ということでこれからは、人から言われずとも自分で努力できるかどうかが望んだ結果を出す鍵になってきます。その方法は3つ。
① 自分で自分に厳しくする
② 厳しくせずとも続けられる仕組みを作る
③ コーチングが上手な指導者に出会う
自分で自分に厳しくする
ただ、これができるひとは10%もいないと思います。たまにすっごいストイックな人がいますが、多くの人はどうしても楽な方に流れてしまうはずです。僕もそれほどストイックにできません。そんな中、自分で自分に厳しくできる人は、指導者の変化に対して特に困ることなく成長し続けると思います。
厳しくせずとも続けられる仕組みを作る
これが1番おすすめの方法です。心理学や認知行動科学を学んで「自分の脳をハックする」方法ですね。自分に厳しくすることが難しいからこそ「頑張らなくてもできる」仕組みを作ることが大切だと思います。
「努力」は目標達成のための手段に過ぎないので、いかに「努力せずに目的を達成するか」について本気で考えるかが大切になってきます。ただ、自分で学ぶためのある程度の知識や考える能力が必要。
コーチングが上手な指導者に出会う
ここまで、いかにも「厳しい指導がいい」みたいな意見を述べてきましたがそうではありません。厳しい指導がケガや野球嫌いに繋がることも少なくないので。また、本当に優れた指導者は、厳しくせずとも教わる側の力を最大化させる技術を持っています。そういった指導者に出会うことが、1番成長することは間違いないですね。
僕自身、厳しい指導をされるのは嫌なので、時代の流れとしてはいい方向に進んでいると思います。でも、時代の流れによって生まれる「歪み」に気づかないと、置いていかれますよというお話でした。
反対に、厳しい指導がなくなることで努力する人が減るため、努力すれば頭一つ抜け出しやすい世の中になったとも言えます。チャンス!
指導者側は「厳しくせずとも本質を伝えられるコーチング・ティーチングスキル」を学び続ける必要がありますね。お互いに頑張りましょう。
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