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ニンジャスレイヤーTRPG第2版シナリオ 「ヴィランズ・イン・ザ・ネスト」

この記事は、ニンジャスレイヤーTRPG第2版用として作成され、ニンジャスレイヤーTRPG「第2回シナリオコン」に参加するための非公式シナリオです。


◆シナリオサマリー

PCは、とあるヤクザ・オヤブンの莫大な遺産の相続順位について話し合うため、場末のサルーン「アタマ・ハンザイ」に集まった犯罪者たちだ。一夜を通した談合が一応のまとまりを見たその瞬間、PCたちの部屋にニンジャスレイヤーが襲来する! 死神の標的は奇しくも相続順位筆頭と決まったPCだったが、赤黒の殺戮者はそれ以外の獲物も必ず殺すという強烈なキリングオーラを放っている。PCたちは無事にサルーンを脱出し、遺産を手にできるのか?

対象:
アデプトレベルのニンジャ3〜4人
難易度:ノーマル~ハード程度
キャラロスト:あり
余暇:標準(4スロット)

参照エピソード:【バトル・オブ・ザ・ネスト】

※注意点な
このシナリオはやや特殊な形式で進み、PCの中から一人の勝者を決める形で決着します。
セッション内において残酷な描写を誘発する可能性が見込まれます。そのことをプレイ前に参加者全員で認識し、了承しておく必要があるのはもちろんですが、「これまで生きてきて、こういう描写がダメだってことを俺は今初めて身をもって知った!」という事態に陥ることは誰にでも起こりえ、かつ事前に予測して対策することが不可能でもあります。不安ならば「Xカード」のようなセーフティルールを用意しておきましょう。「Xカード」は様々なシステムに後付けで運用できる、セッションの安全性のための付加ルールです。検索すれば無償ですぐに利用できますので、各自インターネット集合知を頼ってみてください。類似の付加セーフティルールはいくつもありますので参考にしてください。
また、このシナリオはニンジャマスターレスでもプレイ可能です。NMなしでプレイする場合、参加者全員がシナリオをよく読んでおきましょう。また、「NMが決定する」「NMは〜してもよい」などの記述は「参加者全員でよく話し合って決める」と読み替えてください。どちらでも良い選択肢(例えば、ニンジャスレイヤーが「●連続攻撃3」を「●連続攻撃3」のまま使うのか「●連続攻撃2」にするのか、など)や、話し合いではどうしても決着しないことはダイスなどを使ってランダムに決定してもよいでしょう。

◆キャラメイク

ルールブックの「16ポイントスクラッチビルド」ルールでPCを作成してください。
PCたちには、ヤクザクラン、テクノギャング、ハッカーカルト集団など、なんらかの犯罪的組織の首領か、あるいは組織の代表として派遣される程度の地位であるという背景を持たせてください。PCの組織がソウカイヤやザイバツ、アマクダリなどのより巨大な組織の傘下であるという設定でも構いません。PCの中に同じ巨大組織所属の者がいても問題ありませんが(例:PCのうち2人がソウカイニンジャ、2人がアマクダリニンジャ)、必ず所属する小グループや派閥などは分かれており、利害が対立していることにしてください。
遺産相続の権利の一部を持っていて、それを行使することに積極的であるという条件を満たすなら、PCが特に組織と関係ない個人であったり、【カルマ:善】のキャラクターであったりしても構いません。

PCたちにはどんな遺産が欲しいか、あらかじめ決めさせておくのもよいでしょう。「遺産相続の優先順位」という抽象的なものよりも、より具体的な目標があったほうがPCのモチベーションに繋がりやすいものです。「ネオサイタマという都市を丸ごと買い取れるほどの財産」などになるとさすがに荒唐無稽すぎて現実味がなく、モチベーションアップにはなりにくいですが、モータルのヤクザであった遺産のかつての持ち主には真の価値が分かっていなかった、という形なら、「**」や「***」級のレリックが遺産に含まれていてもおかしくはありません。例えば「電子戦争で失われたと思われていた、メガトリイ社のシャナイ級データフロッピーやロストテック製品」や「一見すると古びたアンティークにしか見えないが、実際は強大なパワーを秘めたニンジャオーパーツ」などです。また、ヤクザ的な背景を持つPCならば、金銭的価値よりも手に入れることでソンケイやハクが身につくようなものを欲しがるかもしれません(もちろんそれも遺産に含まれていて問題ありません)。PCたちに自由に想像させてみてください。

その他の細かなキャラ作成オプションルールを使うかどうかは任意です。NMが決めるか、参加者全員で話し合って決めてください。



◆ダンゴウ

 ギョクヤマ・ストリートに冷たい重金属酸性雨が降る。ネオサイタマ市警のツェッペリンから漢字サーチライトが気怠げに照射され、がらの悪い場末のサルーン『アタマ・ハンザイ』の前で艶めかしく欠伸するオイランドロイドと、その後ろに奴隷商人めいて立つ女衒ヤクザを無表情に撫でた。

 女衒ヤクザは、このちんけなネストの入口を守るガードマンでもある。入店を許可されるのは、顔見知りの老人か、地元のヨタモノ、あるいは事前に連絡のあった非合法組織のエージェントだけ。余所者の入店は、丁重にお断りされる。女衒ヤクザは腕時計を何度も確かめていた。

-【バトル・オブ・ザ・ネスト】より

PCたちは遺産問題についての会合に参加するため、ギョクヤマ・ストリートの「アタマ・ハンザイ」というサルーンに集まります。「アタマ・ハンザイ」は場末の酒場ではありますが、複数の犯罪組織の勢力範囲の中間地点に位置しており、組織同士の話し合いを行う際の中立の会合場所としてしばしば使われています。

店に入って来訪目的を告げたPCは、奥まった個室の「サツキの間」に通されます。個室は十二畳ほどの広さがあり、真ん中に背の高いチャブテーブルと椅子が一揃い置かれていて、最初に来たPCよりも先に一人の男が着席しています。
男はアマクダリからタチアイニンとして派遣された弁護士のイニダ・サニマルであり、PCたちが全員揃ったのち、以下の情報を語ります(PCたちは既にすべて承知の上でやってきているはずですが、改めて確認するという形を取ります)。

◎PCたちがここで話し合うのは、かつてソウカイヤ台頭以前に名を轟かせた大ヤクザクラン「デッドリー・ヌエ・レンゴウカイ」の大オヤブン、ゴセ・ダイセンの遺産分与についてである。ゴセ本人は十年以上前に死んでいるが、最近になって、ネオサイタマ中央銀行の貸金庫の中に隠し財産が残されていることを示す文書が発見された。

◎PCたちの所属組織は、様々な経緯によって、その遺産の一部を受け取る正当な権利を有している。ゴセの血縁者がいるのか、複雑怪奇な契約とハンコによるものなのか、理由はPCが自由に設定してよい。もしかするとその権利はいつかどこかで偽造されたものなのかもしれないが、その場合は本物と見分けがつかないレベルの偽造である。

◎しかしながら遺産相続の権利は複数に分割されているうえに、金庫の中身は未確認であるものの書類からはその財産は様々な形で遺されている(旧万札、素子、有価証券、不動産権利書、宝石やコーベインetc.)と予想されるため、関係者全員が納得できる形で分配できる見込みはない。そこで、遺産の取り分についての発言権の優先順位をはっきりつけるためにPCたちが話し合いを持つこととなった。

◎アマクダリ本部はイニダを派遣してこの調停を取りまとめることで、ゴセの遺産のわずかなパーセンテージに当たる分の手数料を得る段取りを既に整えており、それ以上の介入は行わない。よって、イニダはPCが敵対組織の所属であろうと気にしないし、逆にPCにアマクダリニンジャがいたとしても有利に取り計らったりもしない。イニダはモータルだが
ヴァニティの部下として数々のニンジャ絡みの法律案件に携わってきた経歴を持ち、ニンジャを相手に弁舌をふるうことを恐れはしない。イニダを痛めつけたり殺したりすることはPCにとっては容易いが、PCがアマクダリのブラックリストに載るだけで益はない。イニダも痛みや恐怖に悲鳴を上げることはあっても、最期まで公平のスタンスを曲げることはない。

◎参加者であるPCたちがそれぞれ己のソンケイを見せつけ、それが偉大である順に優先権を得るというやり方で相続順位を決める。機械的・システム的に相続することが事実上不可能ならば、フェイストゥフェイスで納得を得るしかないという、ヤクザ式の方法である。これはゴセの遺書の内容などを踏まえて事前に各組織間で合意された手続きであり(イニダの派遣などもこの時点で盛り込まれている)、PCがこの場で異を唱えても覆すことはできない。
アマクダリ構成員であるイニダからすると、あまりにウェットでまともに合意に達せられるとは思えないやり方ではあるが、途中の経過がどうであれ(例えば参加者の一人が残り全員を殺し、無理矢理ハンコを奪うような流れであったとしても)、最終的に参加者全員のハンコが押された契約書が完成すればイニダとしては問題ないので、ひとまずは口出しせずに話し合いを見守るつもりである。
(ちなみに事前の合意では暴力沙汰は当然禁止であり、実力行使によってハンコを得たならば、そのPC(の組織)は建前上は正当な被相続者となるもののソンケイを失って他のすべての参加組織に攻撃され、手に入れた遺産を結局は奪われる結果となる)

イニダ・サニマル
恰幅のよい40代のモータル男性。清潔感のある短い頭髪にオナタカミ社製最新型サイバーサングラス、ダークグレーのオーダーメイドスーツという出で立ち。スーツのジャケットには弁護士バッジとアマクダリ紋バッジを付けている。

セリフ例:
「アマクダリの方から来ました、イニダと申します。弁護士をやらせてもらっていますので、以後お見知りおきを(名刺を渡す)」
「今回の調停、私どもは完全に公平な立場から見届けさせてもらいます。ワイロや脅しは無用の長物ですよ」
「アイエエエ! タチアイニンに手を上げるとは! そのようなことをしても無駄です! それどころか、今後一生アマクダリからマークされることになりますよ!」

必要があれば、能力値は【カラテ】:1 【ワザマエ】:2 【ニューロン】:6として扱う。法律や犯罪に関する知識スキルを持たせてもよい。

NMはここまでの情報を直接プレイヤーに伝えてもいいですし、イニダとPCとのロールプレイを通して伝えるのもよいでしょう。NMレスセッションである場合は、参加者全員が理解し納得できるまで情報共有を行ってください。

参加者がシナリオの前提をきちんと把握し、PCの装備やスキルセットの調整が完了したらシナリオ本編に進んでください(このシナリオに「予備調査」はありません)。


◆シナリオ本編

1.話し合いパート

話し合いのゲーム的な処理方法は以下の通りです。マップは使用しません。

1.キャラメイク時に決まったイニシアチブ値が最も低いPCから、自身のソンケイを高めるようなエピソードを話す。このPCを語り手PCと呼ぶ。特にエピソードが思いつかないときは、下記の表の中から一つ選び、1D6を振ってその内容を決めてもよい。この時、NMの判断によって「邪悪な武勇伝表」の使用を禁止してもよい。


ヤクザ的武勇伝表
ギャング・傭兵的武勇伝表
邪悪な武勇伝表

2.他の参加者は語り手PCのエピソードを聞いて、以下の基準が一つ当てはまると思ったら1点、二つ以上当てはまると思ったら2点の評価ポイントを語り手PCに与える。また、他の参加者は何ポイントを与えたか、0~2の数字で記録しておく。この記録された数値は与えた側のPC(語り手PCではないPC)が後の戦闘で使える即応ダイスとなる。つまり評価ポイントを与える行為はWIN-WINである。感じたまま惜しみなくポイントを与えよう。

評価基準
・語り手PCがついて行きたくなるような魅力的な人物に感じられた
・語り手PCが恐ろしいニンジャに感じられた
・エピソードにオリジナリティを感じた
・エピソードにワビサビやゼンやインガオホーがあった
・エピソードがハチャメチャで刺激的だった
・その他、自分の基準でエピソードや語り手PCが面白かった

これは一例であり、プレイグループによってはもっと残虐要素を重点項目としたり、あるいは逆に心温まるようなエピソードが求められるような項目にしたりしてもよいでしょう。その場合、NMは事前に独自の評価基準を定めて提示すること。NMレスの場合は合意の上基準を5項目程度決めておきましょう。

3.そのエピソードがどれだけソンケイに満ちていたかを判定によって決定する。判定には、エピソードの中で最も重点して使われていたと思われる能力値がどれかを語り手PCが宣言して、その能力値を用いる。
判定は【宣言された能力値】+(評価ポイントの合計)D6で行う(難易度:NORMAL)。これをソンケイ判定と呼ぶ。評価ポイントは一度ソンケイ判定を行うと消失する。
ソンケイ判定の成功数だけ、このシナリオにおいてだけ用いるソンケイポイント(SP)を獲得する。キャラクターシートに獲得したSPの点数を記録すること。

4.1~3までを1手番とし、手番を終えたPCの次にイニシアチブ値が低いPCに手番を移す。最もイニシアチブ値が高いPCまで、全参加者が1回ずつ手番を終えたら、最もイニシアチブ値が高いPCは続けてもう一度手番を行い、次の手番を次にイニシアチブ値が高いPCに移していく。そして全参加者が2回ずつ手番を終えたら、すべてのソンケイ判定は終了する。

例:
ボブのイニシアチブ値が5、ケビンのイニシアチブ値が2、エミリーのイニシアチブ値が7のとき、手番の順番は以下のようになる。
ケビン1回目→ボブ1回目→エミリー1回目→エミリー2回目→ボブ2回目→ケビン2回目

ここで手番の回数をPCひとりにつき2回としているのは、1回きりだと上手くいかなかった場合のリカバリーの機会がないし、初手のPCは他のPCのエピソードの内容を受けてそれに乗っかるような内容を語ったりできないのでやや不公平である(手番の移動順を単純な時計回りなどにしていないのもそのためです)一方、3回以上だとちょっと長くてダレるかなと思ったからです。よって、NMはセッションの盛り上がりによって3巡目以降をその場で追加しても構いませんし、逆に最初から1巡きりと決めておいても構いません。
ただし、回数を減らす場合は評価ポイント1点につき得られる即応ダイスを2個にするなどの調整をしてください。回数を増やす場合即応ダイスの獲得し過ぎはあまり気にしなくても構いませんが(メインの相手はニンジャスレイヤーなので)、気になるようなら調整してください(1回のソンケイ判定に対し4点までの評価ポイントを与えられるが、獲得できる即応ダイスは与えた評価ポイント3点につきダイス1個、にするなど)。
また、3巡目以降の手番の移り変わりも2巡目までと同様です(上記の例ならケビン2回目→ケビン3回目→ボブ3回目→エミリー3回目→……)。

5.獲得したソンケイポイントの高い順に、相続の優先権を得る。ソンケイポイントが同値のPCがいた場合、任意の基礎能力値で対抗判定を行い(難易度:NORMAL)勝利したPCを優先権上位とする(引き分けの場合再度対抗判定)。PC全員に同順なしの序列が付いた時点で話し合いパートを終了とする。

対抗判定の使用能力値をPCの任意としているのは、「先にニンジャスレイヤーに狙われる上位を避けるためにあえて順位を下げたい」というような戦略的選択の余地を残すためです。対抗判定のダイスを振る前にどの能力値を使うか宣言する必要はなく、なるべく両者が同時にダイスを振るようにするといいでしょう。PCの振ったダイスの数が、そのPCのどの基礎能力値の数値とも異なっていた場合のみ、どの能力値を使うつもりだったのか宣言させて改めて振り直させてください。成功数が同値で再度対抗判定を行う場合、使う能力値を変更しても構いません。

すべてのソンケイ判定が終わったら、イニダのロールプレイを挟みます。
「フーム、まだまだ主張したりないという方もいらっしゃるでしょうが、ここらへんで一旦休憩を入れましょうか。なにせもうウシミツ・アワーですから」
PCたちがこの提案を受け入れても拒否しても、直後に下記の台詞とともにニンジャスレイヤーが現れ戦闘パートに移行します。
「オヌシらに休息の必要などない。この後はジゴクで納得いくまで話し合いとやらを続けるがよかろう。ドーモ、ニンジャスレイヤーです」


2.戦闘パート

参加者全員に戦闘マップを公開します。脱出ポイントとなる出入口の場所などもすべて判明しています(事前にハッキングなどを行って情報を得ていたか、会合中に中座して抜け目なく調べていたのでしょう)。PCたちはサツキの間の「忍」マス以外の11マスに自由に配置してください。その後、「話し合いパート」で得ていた「評価ポイント」の値と同じ数の「即応ダイス」を手に入れます。

PCの目的(勝利条件)は「自分が相続順位1位の状態でマップから離脱すること」です。マップ上でPCが気絶状態もしくは死亡状態となった場合、そのPCは相続権を失い、順位がそのPC以下だったPCは一つずつ順位が繰り上がります。もし何らかの効果で気絶や死亡が打ち消された場合は、この処理はなかったこととなり順位は元に戻ります。

脱出ポイントとなるのは「出」のマスです。ギョクヤマ・ストリートの「出」マスはそのマスに侵入した時点でマップから脱出できますが、「倉庫2」の「出」マスは脱出に判定が必要です(詳しくはマップ解説を参照)。

すべてのPCが、「戦闘マップ上から離脱した」「気絶状態もしくは死亡状態となった」のどちらかの条件に当てはまった場合、戦闘パートは終了します。「評価と報酬」パートに進んでください。
離脱に成功しているPCがいる場合、ニンジャスレイヤーはこの失敗の経験を糧に、さらに恐るべき地獄の猟犬と化して生き延びたPCを付け狙うでしょうが、それはまた別の話です。気絶状態で生き残っているPCをニンジャスレイヤーがカイシャクするかどうかはNMが決めてください。


◇戦闘マップ

アタマ・ハンザイ店内マップ


◇マップ解説

1.エントランス
ギョクヤマ・ストリートに出るための出入口はニンジャスレイヤーの協力者、ナンシー・リーによって操作され閉ざされています。
とはいえナンシーは通常の施錠操作をしただけで、門番のようにコトダマ空間でドアのシステムをずっと見張っているわけではないので(ナンシーはハイデッカーなどからこの襲撃を隠蔽するために同時並行で様々な作業をしている最中です)、ドアを開けるのにナンシーとの対抗判定を行う必要はありません。【ニューロン】難易度:HARDでハッキングして電子錠を開錠するか、【カラテ】難易度:U-HARDで物理的にこじ開けることができます。
ホールとエントランスを繋ぐドアは施錠されていません。

2.ホール
ホールにはバーカウンターとテーブル席(ランダムな配置の灰色マス)があります。右上のコンパートメントで区切られた部分はソファー席で、真ん中に大きめのテーブルがあります。
バーカウンターやテーブルは障害物として視線を遮り、通常移動なら2脚力、連続側転移動なら1脚力で侵入できます。

3.個室1・2
この部屋の真ん中のテーブルには、犯罪者用非合法IRCチャンネルに接続するための専用ターミナルUNIXが設置されています。ここに直結して「アタマ・ハンザイ」の電子システムへのハッキングを成功させた場合、電子制御された扉(開錠に【ニューロン】を用いることができる扉)をすべて遠隔で開ける(開錠するだけでなく開いて射線を遮らない状態にする)ことができます。
UNIXへの直結を行うためにはテーブルの隣接マスで「その他の行動」でハッキング判定(【ニューロン】難易度:U-HARD)を行わなければなりません(ターミナルUNIXと生体LANを直結させること自体は判定の必要なく瞬時行動で行えます)。
扉は施錠されていません。
個室1と2の間にゲーム的な差異は(マップ上の位置以外は)ありません。

4.洗面所とWC
ここにはゲーム的に意味のあるものはありません。
扉は施錠されていません。

5.キッチン
ここには調理用のナイフなどがあり、キッチン内の任意のマス上で「その他の行動」を消費することで判定の必要なく見つけて入手することができます。これらは小型近接武器として扱います。
同様に「その他の行動」で【ニューロン】難易度:NORMALに成功すると「パックド・スシ」がD3個入手できます。
真ん中の灰色マスは調理台を示しています。調理台は障害物として視線を遮り、通常移動なら2脚力、連続側転移動なら1脚力で侵入できます。
南側の濃い灰色マスは棚などを示しており、侵入不可能のマスです。
扉は施錠されていません。

【万札:1】:パックド・スシ:【体力】1回復、使い切り、スシ

6.倉庫1
ここにはサルーンとしての営業に使われる酒瓶や食料が保管されています。ゲーム的に意味のあるものはありません。
北側と東側の濃い灰色マスは棚などを示しており、侵入不可能のマスです。
扉は施錠されていません。

7.事務所
真ん中の灰色マスは机を示しています。机は障害物として視線を遮り、通常移動なら2脚力、連続側転移動なら1脚力で侵入できます。
机の上にはターミナルUNIXがあり、ここに直結して「アタマ・ハンザイ」へのハッキングを成功させた場合、電子施錠された扉(開錠に【ニューロン】を用いることができる扉)をすべて遠隔で開ける(開錠するだけでなく開いて射線を遮らない状態にする)ことができます。UNIXへの直結を行うためにはテーブルの隣接マスで「その他の行動」でハッキング判定(【ニューロン】難易度:HARD(利用客用のUNIXよりシステム中枢に近いので一段階簡単になっています))を行わなければなりません(ターミナルUNIXと生体LANを直結させること自体は判定の必要なく瞬時行動で行えます)。
ここに直結して電子施錠された扉(開錠に【ニューロン】を用いることができる扉)へのハッキングを行った場合、難易度が一段階簡単になります。
南側の濃い灰色マスは棚などを示しており、侵入不可能のマスです。廊下と事務所を繋ぐ扉、倉庫2へと繋がる扉は施錠されています。開錠には難易度:NORMALの判定(どの能力値でも使用可能)が必要です。

8.倉庫2
ここには銃器や非合法薬物などが保管されています。よく探せば戦闘や脱出に役立つ物が見つかるかもしれません。
【ニューロン】難易度:HARDの判定を行い、【成功数×5】万円分の武器や防具、回復アイテムや一部のレリックが入手できます。NMは任意のアイテムの入手を却下し別のアイテムを選択するように宣言しても構いません。また、アイテムの選択に時間がかかりすぎるようならば「あと○分で選ぶこと」のように制限を後から付けても構いません(制限時間が来てもまだ選べなかった場合には何も入手できなかったことになります)。
脱出ポイントは床にあり、電子制御ではなく物理的に金属製の錠が付けられています。こじ開けるには【ワザマエ】難易度:HARD(タカハシ・マスターツールキット使用可能)か【カラテ】難易度:U-HARDでの判定に成功する必要があります。床の扉を開けると下水道に直通の縦穴が空いているのが分かります。非合法物品の搬出入や、非常時の脱出経路として使われているルートです。
東側と西側の濃い灰色マスは棚などを示しており、侵入不可能のマスです。
事務所に繋がる扉は施錠されています。開錠には難易度:NORMALの判定(どの能力値でも使用可能)が必要です。

9.個室3・4
サツキの間と同型の個室ですが、ここにはゲーム的に意味のあるものはありません。
扉は施錠されていません。

10.裏口
空の酒瓶が入ったケースなどが雑然と置かれていますが、ゲーム的に意味のあるものはありません。
廊下からこの部屋に入るための扉の開錠には難易度:NORMALの判定(どの能力値でも使用可能)が必要です。
この部屋から屋外へと出るための扉は【ニューロン】難易度:HARDでハッキングして電子錠を開錠するか、【カラテ】難易度:U-HARDで物理的にこじ開けることができます

11.廊下
南北の廊下から事務所への扉、東西の廊下から裏口への扉は施錠されています。開錠には難易度:NORMALの判定(どの能力値でも)が必要です。
上記2つ以外のすべての扉は施錠されていません。

12.サツキの間
PCたちとニンジャスレイヤーの初期配置地点です。「忍」マスにニンジャスレイヤーが配置されます。PCたちは「忍」マス以外の11マスに自由に配置してください。
真ん中の灰色マスは机を示しています。机は障害物として視線を遮り、通常移動なら2脚力、連続側転移動なら1脚力で侵入できます。初期配置で最初から机の上に乗っていても構いません。


◇ニンジャスレイヤーの行動指針

ニンジャスレイヤーの行動指針は第一に、「相続順位1位のPCに隣接マスに移動し、近接攻撃行動を行う」です。それが不可能な場合、「現在位置で相続順位1位のPCに射線が通っており、ツヨイ・スリケンが使用可能ならば使用する」「相続順位1位のPCに可能な限り近く、かつ射線が通っているマスに移動し、スリケンによる射撃を行う」のどちらかを行います。
相続順位1位のPCが気絶状態か死亡状態となり、相続順位2位のPCが1位に繰り上がったら、その新しい相続順位1位のPCを目標に同じ行動を、戦闘マップ上に気絶状態もしくは死亡状態のPCが存在しなくなるまで続けます。

ニンジャスレイヤーのデータはこちらを参照してください。


◇その他のルール

・壁の破壊
このマップにおいて、屋内で部屋と部屋を仕切っている壁については破壊することができます(部屋の中から屋外へと直接つながるような壁は破壊不可)。
PCが「素手」、「バイオ武器」、「装甲貫通1以上を持つ武器」のいずれかを使用できる状態で、「その他の行動」として【カラテ】難易度:UHの判定(「装甲貫通1以上を持つ武器」が射撃武器の場合は【ワザマエ】難易度:UH)に成功すると、以降その壁は「不完全に開かれた窓/ドア」として扱い、余分に脚力を1消費することで移動可能になります(この余分な脚力は連続側転状態でも必要です)。
また、「【カラテ】以外の能力値で判定する戦闘スタイル」が「素手」、「バイオ武器」、「装甲貫通1以上を持つ武器」のいずれかで使用可能なら、その能力値で上記の壁破壊判定を行っても構いません(難易度:UH)。その場合、使用する戦闘スタイルに必要な条件やコストは必ず満たすようにしてください。

・イニダ
イニダはマップ上には配置しません。彼は戦闘パートにおいては特にデータ的な意味を持ちません。ニンジャスレイヤーはイニダを積極的に殺そうとはしませんが、PCがイニダを人質に取るなどしても意に介しません(イニダは【カルマ:善】ではありません)。イニダの【体力】が必要になった場合は1として処理してください。

・その他の客や店員
客や店員はPCたちが戦闘を開始した時点でニンジャリアリティショック症状を発症し無力化されるためゲーム的には扱いませんが、NMが望むなら、客や店員に適当なリアルヤクザ系あるいはアウトロー系のモブエネミーデータを持たせてマップ上に配置し、PCやニンジャスレイヤーを攻撃させても構いません。


◆評価と報酬

このシナリオは基本的にはキャンペイグンではなく単発のセッション用として作られています。
単発セッションである場合は、勝利条件を満たしたPCには遺産の分け前として望み通りの物を惜しげなく与えるとよいでしょう。今後使うことがないのでゲーム的には意味のないデータであっても、希望が叶うのは嬉しいものです。「相続順位1位ではないが生きて脱出したPC」には希望よりは見劣りするがそこそこの価値のあるものを与えてあげてください。

一方、このシナリオからキャンペイグンを開始することになったり、既存のキャンペイグンの途中にこのシナリオを差し挟んだりした場合は、【名声】と【万札】はキャンペイグンのスケール感に合わせてNMが適宜与えればよいでしょう。
問題はPCが遺産として単発のシナリオの報酬としては価値の高すぎるものを希望していた場合です。この時は、物品や権利としてはきちんとPCがそれらの遺産を受け取れるが、その価値を完全なものにするためには追加の手間が必要だということにすればよいでしょう。
例えば、「メガトリイ社のデータを手に入れたが高度に暗号化されていたため、これを解除できる旧世紀プログラムを別途手に入れなければならない」や「ニンジャレリックはジツ的な封印が施されておりその力は不完全だ。封印を解放するための儀式の手順を記した古文書を入手し儀式を実行しなければならない」などのようにして、複数回のシナリオの総合的な報酬とすればそれなりにバランスはとれるでしょう。

しかし、もしNMが報酬やパワーバランスのインフレなどを気にしないのであれば、そのまま与えてしまっても構いません。

報酬と「余暇」を適切に与えたら、セッションを終了してください。


◇オプションルール「貴様だけが復讐者だと思ったか?」

このオプションルールは、PCたちの中に勝利条件の異なる者を密かに混ぜるルールです。NMはNMとPC本人にだけわかるようにPCの中から一人を選び出します。ジョーカーを1枚、その他のトランプカードを(PCの人数-1)枚用意してよく混ぜ裏向きに引かせるなどするとよいでしょう。オンラインでセッションを行っている場合は、使用しているツールをうまいこと使ってなんとかしてください。ここで選ばれたPCは「復讐者PC」となります。復讐者PCはニンジャスレイヤーとの間に何らかの遺恨を抱えており、勝利条件は「相続順位1位の状態で戦闘マップを離脱する」ではなく「ニンジャスレイヤーを一段回以上戦闘不能にする」となります。ニンジャスレイヤーを一度気絶状態に追い込めば、その後はナラク・ニンジャの気配に恐れをなして逃げ出しても構いませんし、戦闘を続行しても構いません(その結果爆発四散したとしてもPCとしては勝利したことになります)。
復讐者PCはその他のPCと純粋に共闘しやすいので、全体的な難易度は少し下がるでしょう。また、その他のトランプカードを(PCの人数-1)枚より多く加えることで、「PCの中に復讐者PCがいるかもしれないしいないかもしれない」というセッティングにすることも可能です。

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