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『ループもの』を△で説明

△とは
△=自己複製子+階層構造+回路
△は内と外を区別する
△の特技は「内部化」

△進化説
△自体が進化しているという説
個体△ 集団△ 環境△ が共進化をしている


❶ループ世界とはなにか

△は『内と外の境界をつくる力』を持つ。ので、
タイムループとは、ある時空△の境界が極端に強化され、いっさいの変化、つまり『内部化』を拒んだ状態と言える。

個体△の主人公は、その固定環境△に閉じ込められる。
主人公は、集団△(周囲の人々や社会)に変化を与えようと色々やるけど、非常に強固な△の力(だいたい運命収束力みたいなやつ)によって阻まれてしまう。持ち越した記憶を誰とも共有できないので孤立感も高まる。これを△用語でややこしく言うと、本来は集団△内で共有されるはずの自己複製子(記憶)が、ループによって個体△内に閉じ込められ、回路が遮断されている状態。

なんやかんやあって、最終的にループが終わる瞬間は「閉じた環境△」の破壊や超越が起こる。たいてい、主人公が個体△として何らかの成長(精神的なやつと物理的なやつがある)をした結果、集団△や環境△にも影響を与え、変化をもたらし、最後はループを抜けるという展開になる。

タイムループものの快感は、この「個体△が閉塞した世界(環境△)を突破し、集団△に新しい秩序や視点をもたらす」という△進化的な構造が根底にあるからだとおもう。小さな個の努力が大きな構造に影響を及ぼすという物語構造。

ここで唐突に

❷ループ映画 紹介コーナー!

『リバー、流れないでよ』 2023年 86分 AmazonPrimeにある
この映画の特徴
・無限2分間ループ
・登場人物全員が記憶を持ち越せる
・たった2分なのに登場人物多すぎ
・ループへの理解度が高すぎ 適応速すぎ
・なんか不穏な雰囲気出してるけどコメディ

日本のループものは他にも
映画『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』
小説『タイム・リープ あしたはきのう』
漫画 アニメ『サマータイム・レンダ』
などが面白かった。

❸結論

人間には、閉じた世界から出たい、変えたいという願望がある。反対に、閉じた世界にずっといたい、時間が進んでほしくないという願望もある。
タイムループものは「閉じた世界でのカオスや開放が起こる瞬間」つまり実は普通の現実を描いているからウケるのかもしれない。なので、登場人物の反応や行動に共感しやすい日本が舞台なのはループものと相性がいいはずだけど、数が少ないです。_(=D_)rz もっと作って。

「タイムループもの」とは、
△の「内と外の境界をつくる」性質だけを強化した世界設定ジャンルのこと。
一部の性質を際立たせることにより、△とは何かを描く手法ともいえる。

❹おまけ

とすると、俄然気になるのが、
△の他の要素を強化した世界設定の作品は、どんななのか?
そういう作品はあるのか?
ということ。たとえば、
△の「内部化する」性質だけを強化した世界設定──とかは?

というわけで、
「内部化」だけを強化した設定を考えてみた。

① 完全な自己内対話の世界
主人公が外界と完全に断絶してしまい、すべての出来事や登場人物が自分の内部で生成される世界設定。
これは、いわゆる「セカイ系」か。既にあったな。
自分が創った世界だったとか。実は神だった女子高生の話とか。ATフィールドが強すぎて外部の情報を全く受け入れないので、行動や思考が次第に澱んで矛盾をきたし、混乱や妄想を生んだりする少年の話もあったな。

② 自分だけが成長する話
時間や物理的な環境はループしているが、主人公の記憶や内面の変化だけが蓄積されていく設定。設定自体は普通のループものだけど、ループが何百年とか続いちゃったら、主人公だけが世界のあらゆることを学んで成長するけど、他の人がまったく変わらないから、完全に人間と話が通じなくなるっていう話。これはホラーだな。まだないんじゃない?

③ 外界が主人公の内部に侵食されていく話
外界が「主人公にとって理解可能な要素」にすべて変換されていくという設定。
最初は通常の世界だが、主人公が何かを「理解」するたびに、周囲の世界や人達が完全に「内部化」される。出会う人々がすべて、主人公の「理解」を反映した存在になっていく。外界はすべて主人公の主観に依存するようになり、やがて「外」が消滅する。簡単に言うと、「なんでも思い通りになるなぁ、人生ちょれー」と思ってたら、ガチでそうだったという話。怖い!ホラーすぎる!藤子不二雄が描きそう。