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『嘘』を△で説明してみる ②

小説『三体』に出てくる地球を侵略してくる異星人(「三体」文明)が、「嘘」を知らないという設定が面白かった。
「450年後に地球到着しまーす、虫けらどもー(^o^)ノシ」っていう感じの爽やかな宇宙人。科学技術が圧倒的に進んでるから余裕で侵略できるんだが、「嘘」をつけないどころか、概念すら知らないレベルなのでワンチャン負けるんじゃないかと心配した地球人の三体信奉者が、彼らに嘘とはなにかを『三国志』をおすすめたりして教えてあげる場面があったります。

「主よ!偽ることを学ばれたのですね!」

小説『三体』

いや、学んじゃだめだろ!( ʘ ө ʘ ) せっかく知らないで済んでたのに!


前回↓

△=自己複製子+階層構造+回路
 △は内と外を区別する
 △の特技は内化
 △は存続と安定を目指す


△の移動:情報・意識・物語の変遷


1. 心△は物語でできている

• 人の自己認識(アイデンティティ)は、自分の中の『物語』によって作られてる。
• 物語とは、過去の経験・価値観・記憶の積み重ねであり、自己を維持する枠組み(△の内部構造)を作る。
• △の階層構造の一部として、物語は自己複製される。よ

2. 意識の移動:『物語』世界への一時的な移動
• 読書、映画、ゲームなどを通じて、意識は自分の△の外に出て、別の物語△に入り込むことができる。
• これは「内部化」の応用で、新しい情報を取り込むことができる。
• 一時的な移動であっても、新しい物語△に影響を受けることで、元の△が変化することもある。

3. 共感と感情移入:他者の心△への移動
• 他者の立場や感情を理解することも、一時的にその人の△に入り込むこと。
• 完全に移動するわけではなく、自分の△の内部に「他者の視点を仮置きする」。
• これにより、自分の△の回路が一時的に変化し、新しい情報処理が生まれる。

4. 嘘:偽りの物語△への誘導
• 『』とは、本来とは異なる物語△へ相手を誘導する行為。
• 受け手の△がそれを「真実の物語」として内部化すると、その世界認識が変わる。
• 広義では、フィクションやプロパガンダ、洗脳もこの範疇に入る。

まとめ:△の移動とは?
• △は固定的なものではなく、情報のやりとりによって柔軟に移動・変形する。
• 物語や感情を介して、意識は他の△に接続したり、新たな△へ移動することができる。
• 嘘もこの移動の一形態であり、情報の流れを変えることで△の再構築を促す。


嘘と共感と『物語』

■共感と嘘の違い

普通の△移動(共感や感情移入)は、一時的に「視点の仮置き」をするだけで、元の△に戻ることができる。でも、嘘を信じて行動してしまった場合、それは仮置きではなく、完全に別の物語△の内部に入り込んでしまったことになる。

■嘘を信じる=別の『物語△』に移動すること

• 共感や感情移入 → 一時的な△移動(元の自分△に戻れる)
• 嘘を信じて行動する → 長期的な△移動(元の△が書き換わる)

例えば、
▶独裁主義の物語△から民主主義の物語△に移動し、言いたいことを言うようになる。
▶SFを読んで「宇宙は暗黒森林かもしれん」という物語△に移動し、その後の行動が変わる。
▶詐欺にあった人は、詐欺師が作った「お金が増える物語△」に移動してしまい、その物語のルールに従って行動してしまう。
▶陰謀論を信じた人は、陰謀論者の作った「世界の真実という物語△」の中で生き始める。

■嘘が「△の再構築」を引き起こす

一度別の物語△に入ると、そこに新しい「内と外の区別」が生まれる。
• 以前の自分の考え剥がされて、「外部の嘘」になり
• 新しく信じたもの貼られて、「内部の真実」になる

こうなると、元の△には戻りにくくなり、騙した相手の世界観が「本当の現実」になってしまう

■嘘は「△の移動」を利用したハッキング

嘘は単なる情報の偽装ではなく、相手を特定の物語△へ移動させ、時には再構築させる力を持つ

「嘘を付くこと」と「物語を作ること」は本質的に同じ行為

嘘の強さ = その物語の完成度