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📖『計測の科学』
題名『BEYOND MEASURE』
著者 ジェームス・ヴィンセント
翻訳 小坂恵理
まだ「はじめに」しか読んでないけど
ほぼ確実に面白いので紹介します
計測はしてません( ʘ ө ʘ )
縁の下の計測
世界で最初の計測が行われたのは
言語や音楽と同様 いつのことだったのかわからない
計測は目立たない
言語よりも いたるところに存在しているから
この文字も表示方法も慎重な計測の産物
目に見えるものや触れるもの以外も計測される
時計やカレンダーから報酬や罰則まで
計測は△の秩序を陰で支えている
計測をするのは人間だけ
計測は世界に本来備わっている特性ではなく
人間が発明した
人がひと目で数えられるのは3つか4つが限界
それ以上は意識的に数えなければならない
つまり計測する必要が生じる
アライグマは「量」を理解できる
渡り鳥は驚くべき距離を正確に旅する (この謎はまだ解明できていない)
しかし これらのスキルは「領域」が限られている
計測に使われる数字には抽象化する能力が必要
測定単位とは「価値の象徴」で
情報を ある領域から他の領域へ移す便利なもの
19世紀は松明やガス灯の光が揺らめくなかで幕を上げたが
最後は安定した電気で明るく照らされた
計測の権威
計測の結果は変化がなく 検証ができる
この普遍性のおかげで「権威」が備わった
特定の時間の特定の惑星にだけ当てはまるのではなく
時間と空間を超越してすべての場所に適応可能
計測の歴史は この「抽象性の発達の歴史」と言える
不均衡の解消
変な単位
peninkulma (フィンランド):犬の鳴き声が聞こえる距離
collop (アイルランド):一頭の牛が草をはむために必要な土地の広さ
こられの単位は、実用的には優れているが、社会が発展して地域同士が強く結びついてくると厄介な問題を生み出した(取引 評価 課税 など)
そこで『メートル法』が創造された
「1㍍は北極から赤道までの距離の1000万分の1」
と定められる
計測がどこにでも無差別に適用できるものに変貌した結果
人間はそれまでよりも遥かに大きなスケールで△を編成できるようになった
偽りの客観性
人は 世界の重さや長さを計測し
魂に制約を与えた
人間は無限の存在だという発想が打ち砕かれた結果
五感しか受け付けない 狭い殻に閉じ込められてしまった
計測が「統制のためのツール」であることに疑問の余地はない
何かを測れば世界に制約を課すことになる
世界は△で埋め尽くされ
あなたは境界線のその先まで進むことは許されない
計測とは「私たちが人生で重要だと思うこと」を強化するツール
だから最も重要なものを誰が決めるのかが問題になる
歴史上数多のとんでもないことが
計測の「偽りの客観性」によって正当化されてきた
哲学者は
何か気に入った体系が思い浮かぶと
あらゆる場所にそれを当てはめようとする
ついには自然まで従わせようとする
計測は
表面は穏やかでも 奥は深い
穏やかな薄い層を剥がせば 獰猛かつ複雑なもの
目次
第一章 文明の発展と計測
第二章 融通の利く計測
第三章 世界を測る
第四章 計測基準を定める
第五章 メートル革命勃発
第六章 世界じゅうを区切る
第七章 生と死を計測する
第八章 メートル法に抗う人々
第九章 すべての人たちのための計測
第十章 管理される日常
↓ 装丁デザインもオシャ