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【ブレマイ】特務部プリクエルの爪痕

2024.10.4 「誰そ彼の帰路」

はじめに

 特務部の父母であらせられる恩田+新名(因果)、神家+麗のバディ(相棒)、このチグハグな4人が織り成す疑似家族の絆を推しております。
 少し巻き戻された過去編、自分史上最高に得るものの多いイベントストーリーでした。気持ちをアウトプットしないと死にそうなので、取っ散らかった文章で恐縮ですが、想いの丈をつづりました。
 さすがに長すぎてテーマが迷子になりそうだったので、今回は麗に関することに絞りました。

<免責事項>
作品の公式設定(コンビ等)に準拠して21人のいい男を見守っております。男の子同士のクソデカ感情やカップリングの概念に少しでも嫌悪感を抱かれる方には、お勧めしません。

 個人の感想、および妄想であり、上記のお断り事項に関する苦情は受け付けません。
 悪しからずご了承ください。


麗のことを話そう


麻波麗推しの我々は、なぜこんなにも待たされたのか

 リリースが遅れた影響でカード排出スケジュールがずれてしまったことは公式からアナウンスされたとおり。
 神家と麗を推している全員と、肩を抱いてイッツアスモールワールドを合唱したい気分、晴れてSSRに登場おめでとう!

 もしも、プリクエル以外のカフェや季節イベントのガチャが、平等平滑ローテーションで21人順序よく割り振りしたものになっていたなら、麗の新カードはもっと早く実装されたはずだった。麗のSSRカードがリリースされない理由は、特殊な設定によるものだと感じていた。
 麗のピックアップは遅れたのではなく、満を持して登場したのだと思う。


麗の成長を順を追って丁寧に描いてくださった結果
 

 念のために言っておくが、麗の良さは「この子どうしてこんなに荒ぶってるの、カルシウム不足?」のPHASEであっても健在であるし、過去がわかる前から推している人もたくさんいる、私もそうだ。最年少で気位が高く、発展途上の可能性の塊、応援するしかない。
 しかし残念ながら、一般的に初対面の相手を睨み悪態をつくような凶暴な人物に対して、好印象は抱きにくい。人たらしの巣窟アポリアメンバーにおいて、相対的な好感度は低めのスタートとなる(麗推しは罵られた喜びでWAになって踊るがそれはそれ)。

 麗は持っている、精一杯の虚勢の裏に秘めたナイーブな内面があきらかになることで、株が爆上がりするポテンシャルを。
 強行部過去編が公開され、誰かの指示の元で任務にあたる様子が想像できなかった狂犬麗の印象は、上向き修正された。そして相応の戦闘力と機動力が備わっていることもわかった。
 年上の同僚たちを独自のあだ名で呼び、素直になれないながらもひっそりと思いやりのある行動をとり、大いに可愛がられていた。

 強行部で働く姿を見て、何ならちょっと好きになってきた人が増えたように思う。ここから、より深い沼へ突き落としにかかってきたのが、今回の特務部プリクエルだ。

 公式プロフィールに正々堂々「本当は寂しがり屋の甘えたがり」と、予定調和のネタバレをかまされているあたりに、制作者側の親心を感じる。
 先々、確実に膝を打つような人格形成バックストーリーが控えていることはもう折り込み済みだ。(そして来た)
 我々はショッキングピンクのパックンフラワーとなり、薄紫色のケセランパサランが頭上に舞い降りるのを数ヶ月間ひたすらに待っていた。

 そして、実際にプリクエルのストーリーを読み終えたユーザーは、父性と母性とよくわからないトーンの爆発的な感情(親愛とかでいい)を、拠る瀬ない特務部メンバーたちに抱いてしまった。
 風に漂うケセランパサランを追いかけていたら、いつの間にか恩田シルバニア村に足を踏み入れていたというわけだ。入村後のあなたの目に映る小さな麗は、かつて認識していた「いつも怒っているスカジャンのヤンキー」とは、一線を画することだろう。

 好感度低めからの急上昇時には、高低差があるほど「GAPブースト」がかかる。サービス開始から半年間、この時のために「ローズクイーン育成ギプス」をつけていた麗が、ついに重装備を脱いだということだ。
 「居場所を求め傷ついてきた野良猫のような少年が、戸惑いながらも新たな信頼関係を構築しようとする姿」オタクが喜ぶオールインワン・バックストーリーが語られ、ユーザーの心をさらに掴んでしまった。
 あざとい、だが、麻波麗はそれでいい。

 
  

みんなと違う、麗のうらはらな心


 アリスイベントでカフェ店員に抜擢された際、マッハ(麻波)で動きまわりテーブルの片付けや品出し係としては働いていたが、接客の様子は一切描かれていない。
 既知のメンバーからも話しかけられないように、不機嫌と威嚇で武装するのが麗の通常営業、ここでは『ビジネス不機嫌』と定義する。 

 麗とアポリア他メンバーとの決定的な違いは、端的に言うと『基本的に誰に対しても喧嘩腰で感じが悪い唯一の男』だということだ。※ベクトルは違うが、差をつけないという意味では逢もわりと同類。

 メインストーリーの語り部である代理への態度が一番フラットなのでわかりやすい。
 知り合ったばかりだというのに、中途入社社員への麗の言動行動は、非友好的どころか国交断絶に近い冷え方だ。もちろん名前で相手を呼ばない、自身が認知され声をかけられることに拒否反応を示す始末だ。
 思春期の延長めいた理由で、女性を相手に恥ずかしくなってツンケンしているようにはまったく見えない。
 麗は相手によって態度を変えることをしない、良くも悪くも平等なのだ。性別、年齢、属性も関係なく、等しく他者との接触を拒絶しているからこうなるのである。

 「下の階が無人になって清々してたのに、また人来たのかよ、うぜえ」と文句を言うのは、双方が集合住宅の住人で寮住まいである以上、理不尽な言いがかりだと本人もわかっているはずだ。それでも麗は吠える。なぜなら、よく知らない、特に非のない相手に対して、ほかに因縁のつけようがなかったからである。
「こんな理不尽なキレ方をする俺を怖がれ、近づくな」という逆アピールをして、構われたくないという意思表明のきっかけがほしかったのだろう。

 プロフィールより『自分は周囲の皆から嫌われている、だからこちらも皆を嫌っていればいい』という主義が明らかになる。あまりにも稚拙で、袋小路のマインドセットに囚われているとしか思えない。ここまで極端な自己防衛思考に至った理由は、発端こそ不明だが、その経緯についてはおおよその見当はついてしまうのが哀しい。
 麗は自身の生育環境や境遇についてままならない憤りを抱えたまま、虚勢を張って吠え続けているのだ。大人と子供の境界線の上で、ずっと。
 

麗が「根が善良で誠実である」ことは、近しいメンバーはみんな知っている。だから麗はなかなか思うように嫌ってもらうことができない、そこが最高に愛しい。

 各位それぞれ「麗がこうなってしまった経緯は」「彼が救済される方法はあるのか」に想いを馳せてきたと思う。今回のイベストで、幾つかのアンサーがあったように思う。
 

強行部の末っ子から特務部の末っ子へ

 麗少年の成長はAporiaの年表とほぼ同じ歩みである。
 彼を理解する第一歩として、強行部のプリクエルが力を発揮した。高校を卒業したばかりの18歳の麗と、強行メンバーの関わりを丁寧に描いてくださったおかげで、今回の静と灯世の人事異動をめぐるやり取りに説得力がONされた。
 麗はミカの時代から、強行部でちゃんと尊重されていた。腕力も頭脳も人生経験も百枚くらい上手のお兄さん達に囲まれて、永遠の末っ子を余儀なくされていたことは、不満だったかもしれない。何度断っても寮飲みに誘われ、食生活に口出しされることを疎ましく思ったかもしれない。それでも、無関心よりはきっと、心地よかったんじゃないかと思う。

 司令塔のシズはクールで何を考えているかわからないが、コミュニケーションには無駄がなく必要以上に介入してこないので、麗としては悪くなかったはず。
 ミカ・ゴリ・ザワの3人は、タイプは違えど気遣いのできる人たちなので、麗のビジネス不機嫌は通用しない。
 滅多に怒らないザワには脅しや皮肉も通じない、何を言ってものらりくらりと笑顔でかわされてしまう。
 一番直情的かつ小競り合いが発生する相手はゴリだろうが、どんなに麗が背伸びをしても、全てはハイスペックゴリラの掌の上である。なお、実際に男性同士が相手に対し「敵わない」グヌヌとなる要素の上位は身長、腕力、収入、学歴だ。敵うわけがない腕相撲で張り合う姿は、年齢相応の負けず嫌いが炸裂して最高に可愛い。
 ツンツンした可愛い子をついかまいたくなってしまうミカは、愛情にあふれた最強の保護者。少なくとも麗が15歳の頃から見守ってくれている。
 ホームボイスでミカと麗を並べたときに発生する会話を改めて聞いてみてほしい。麗の出勤時間にまだ退勤していない夜スタッフへ文句を言うやりとりがいくつかあるのだが、ミカに対してだけ明らかに麗の声のトーンが優しいのだ。「早く帰れよ」の前提に『危ないから』「無理するな」というような、何ともいえない優しい労りニュアンスを感じるのだ。ミカの愛情深く豪快な部分は、もしかしたら八千代にも通じるものがあるのかもしれない。
 おそらく麗は、ミカには強く出られない。兄とも姉とも母とも父ともつかない、ミカだけが持つ包容力に、ばぶみを感じていてもおかしくない。このふたりも、大変に微笑ましい。

芦佳と麗の違国日記

・両親の生死や所在は不明。
・須王芦佳と遠縁の親戚で、交流があった。
・10歳まで親戚の家をたらいまわしにされていた
 (問題の悪魔の子呼ばわりはここからと仮定)
・10歳から15歳までは、祖母の麻波八千代が引き取って面倒を見た。
・おそらく都下郊外~隣県の自然豊かな場所に住んでいた
・八千代は5年前に突然亡くなった。
・都内の高校入学、15歳~芦佳の住むマンションで居候した
・18歳までのどこかでアポリア寮が誕生、203号室で一人暮らしを始める。(のちに篠信が芦佳の家を借りて、成り行き同居スタート)

 両親の所在は不明、八千代が母方と父方のどちら側の祖母なのかも不明だ。自分なりの推測を述べると、麗の両親は何らかの事情で離れて暮らしている(ぶっちゃけ塀の中もあり得る)か、行方不明等、事件事故に巻き込まれている可能性がある。
 すでに亡くなっているなら、両親のどちらかは麻波家の墓に埋葬されていると思われるが、それもなかった。うららが八千代に引き取られたのは10年前で、その時期に起きた事と言えばワンミリオン事件。私は芦佳と麗の一族の誰かが、加害側か被害側か、何らかのかたちで関わっている可能性があると思っている。芦佳の善性は信じているが、パソソンでわかるように、必要な嘘をダイナミックについていくタイプなので、思惑は計り知れない部分がある。偶然は、作れるものだから。

 麗のことに話を戻す。
 なぜ「悪魔の子」として忌み嫌われていると本人が思っているのか。生まれつき犬歯が生えていた(たまにあるらしい)とか、もしくは里親先で必ず事故が起きるとか、そういうオカルトチックな悪魔解釈もできなくはない。だが、現実的に一番ありそうでしんどいのが、里親家庭とトラブルを起こしたことによるものだ。
 何らかの事情で保護者が麗を育てることができなくなって、引き取られた親戚の家庭とは折り合いがつかなかったと思われる。
 もし資産があった場合は、後見人を巡り、親兄弟が相続で揉めていた可能性もある。
 大人のやることをよく見ていて、口が達者で聡いタイプの子は、一定層の大人に常にウケが悪いものだ。「小賢しい」「反抗的」「生意気」というレッテルを張られ疎まれがちである。そんな扱いをされていると気づいた子供は、ますます心を開かない。その態度がさらに相手に「可愛くない子ども」と思わせてしまう、負のループ。
 また、近親者との愛着形成に失敗した子供によく見られる「試し行動」をしていた可能性もある。わざと悪い事をして大人の気を引くのだ。大事な物を壊したり、汚したり、隠したり、どこまで自分を許容してくれるかを、行動で試すようになるのだ。

 根源にあるのは、満たされない飢えと渇きだ。愛されたい、無条件に愛してもらいたい、自分をまるごと受け入れ許してもらいたい。
  欲しいときに適切なタイミングで与えられなかったものを、20歳の麗は諦めきれていないように見える。ホーム(居場所)を求めながらも、偽善者ぶった大人の面の皮の厚さを見てきた影響で、病的に臆病になってしまっている。信じた者に裏切られたくないという理由で、他人とは信頼関係を築けない。

 芦佳への借りは、親代わりになってくれたことに対してのことか、それ以上の何があるのかはわからない。
 麗には公式ストーリーに於いて些細なことであっても借りを作ったままの状態が嫌い、という特徴がある。その恩義については、妄想をふくらませているので、↓漫画の続きで描きたいと思う。


灯世と有のこと、神家と麗の関係についても言いたいことしかなくて、長文をあっためているのですが…またいずれ何らかの形でお出ししますので、お読みいただければ幸いです

火宅リコ



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