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君は「南部屋敷」のCMを知っているか

こんばんは、かたかどです。年の瀬ですね。


最近は諸事情ありまして、仙台を離れて実家(岩手県)にこもって卒論を書いています。ほぼ軟禁状態。

まあそれはどうでもいいのですが、いかんせんここは岩手県、よそ様に誇れるものは雪とスキー場と飯くらいのド田舎です。
卒論作業中もそうですが、それ以外にもとにかく娯楽らしい娯楽はテレビくらいしかない。



そんなこんなで本題。岩手県のローカルCM、「南部屋敷」のCMです。
とりあえずこいつを見てくれ。話はそれからだ。



感想はいったん置いといて。


公式HPを見たところ、宮城県にもあるんですね。
ということはこのCM宮城でも見れるのかな?
仙台でテレビ見ないから分かんないけど……。


で、感想。
う~ん、良い。

僕はこのCM、大好きなんですよね。全体的にはちゃめちゃで。
以下箇条書きで疑問点を書きますね。


・なぜ忍者がCMに出ているのか
・なぜ親子の忍者なのか
・なぜ3人家族が、それぞれ3人に分身するのか
・そもそも3食(そば、天ぷら、うなぎ)が食べたいに対する回答が「分身する」なのか
・このCMが伝えたいことは「3食食べたいときは分身するといいよ!」なのか
・南部屋敷って看板しょっちゅう見るけど(県内に結構ある)、なんで看板は「そば 天ぷら 南部屋敷」なのか




……まあ最後はCMへの疑問じゃなくなりましたが。


全体的にいろいろおかしい。


まずはじめに、3人の家族忍者が出てくるわけですね。説明なしに。

「いや、わかんないけど屋敷だから忍者なんじゃない?」という擁護の声に一瞬納得しかけますが、
「じゃあなんで屋敷なんだよ」
という至極当然な疑問が顔を出す。

「屋敷と言えば忍者屋敷!」も、なんか昭和はそうだったんだと言われればギリ納得するようなしないような……。
一応公式HPの会社概要も目を通しましたが、特に店名の由来には触れられていませんね。まあ触れたところで疑問が解消しないからでしょう。
薄々向こうも気づいてんじゃねえかな。


そしてこの忍者、すでに「南部屋敷」の中にいて、何を食べるか悩んでいると。

「えっ? 南部屋敷にすでにいるの???」

これまた落ち着いて考えてほしいんですけど、CMって広告ですよね。

広告(こうこく、英: advertising)は、不特定多数の人々を対象に、商品、サービス、アイデアなどの存在、特徴、有意性を知らせ、対象の行動を変更させることを目的として、広告主が料金を支払って行うコミュニケーションである[2]。

広告 - Wikipedia

要はCMの目指すところって、「いかにしてお客を店に向かわせるか」だと思うんですよ。
このCMにはそれがない。
この世界観において南部屋敷は、「行くべき」と動機付けされる場所ではなくて、「もうすでにいる」と前提される場所なんですよね。
なんという傲慢……。


でも、これがこのCMの一番伝えたいことなのかもしれないね。
「もうすでにあなたの居場所はあるよ」って。

広告の氾濫は、私たちを情報的に分断します。
要はデジタルの世界って、居場所がないに等しいんです。
そんな時代に、「あなたの場所はここだよ」と、
押し付けるでもなく、さも当然のように振る舞ってくれる人のいる温かさ……。まるで揚げたての天ぷらと温かいおそばが美味しい、「特製天ぷらそば」のようだ……。


美味しいよ。(公式HPより)



そんなことはどうでもいい。
本題はこっちです。

「そんな時は、覚えたての、分身の術、えいっ!」


なんて??????????

普通に考えてほしいんですけど、もしこのCMが伝えたいことが「そば、天ぷら、うなぎに力を入れていること」だとしたら、
「そば、天ぷら、うなぎが食べたいなぁ~、そんな時には南部屋敷に行こう!」
になると思いません?

まあさっき温かさどうこう言ったから動機づけがされない点はいいけどさ。
「食べきれない量の料理があるときは分身しよう!」なのか? 本当に?

もし分身出来ないお客さんが来たらどうするんだ、南部屋敷。
それで小食のお客さんだったらどうする?


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とある南部屋敷にて

「あ、すみません、ざるそば並盛……を、ちょっと量減らして持ってきてくれない?」
「はい、かしこまりました。……あの、お客様、もし量にお困りでしたら、分身の術をされるとよいですよ?
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これか? こういうことか? あってるか世界観?
書いてて思ったけどこれ、めちゃめちゃ大食いの人が来てもおかしなことになるな。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とある南部屋敷にて

「(めちゃめちゃ注文して店員さん驚かせたろw)
あ~すみません、そばと天ぷらとうなぎくださいw 全部2人前ずつw」
「かしこまりました~(へ~、このお客さん6人に分身するのかな?)」
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こんなことになるのか?????
そんで平然と持ってきて、食べきれなかったら、
「お客様!? なぜ分身なさらないんですか!?」と。
こういうことか???

いや、ていうかこれ大食いの人じゃなくてたくさん注文するタイプの迷惑行為をする人だな。まあいいが。



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なんとなく思うに、「店名を南部屋敷にしたから、CMには忍者を出そう」「忍者と言えば分身だよね」「ついでにうまいことウチのPRポイント盛り込んどいて」
くらいの企画書だったんでしょうね。
ローカルCMだし、いつから流れてるか分からないくらい昔からあるので、当時ノウハウやテンプレートもあったか怪しい。

そんな中で、なまじ妙に一貫したストーリーができてしまい、
それを15秒に詰め込んだ結果、
「大食いするなら分身の術!」という着地点に落ち着いてしまったローカルCM、南部屋敷。

みなさんもぜひ岩手県に来たら、南部屋敷に寄ってみてください。
そして不安そうに、「俺(私)分身の術出来ないけど、大丈夫ですか……?」
と聞いてみてください。

たぶん普通にドン引きされると思います。
それでは、さよなら。よいお年を。

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