エロゲにエロはいらないという話題を見て思うこと。
2024年10月 9日、水曜日。
この間は最高気温が30℃超えた日があって、
今日は18度ですよ。意味わかんない。超寒い。
たまにXのTLに流れてくる話題を見て、
仕事の集中力が切れたのでダラダラと書きました。
本当にただの個人的な感想ですので、
この意見が正しいです、とは思ってません。
こういう可能性もあるのかな、くらい。
エロゲにエロはいらない!
っていうの、ちょこちょこ目にしますよね。
これ別に最近の話じゃなくて、
昔からちょこちょこ話題にのぼります。
それこそ、私が現役エロゲ―販売員だった
18年前なんかでも、店員同士の会話で
「この間の新作の『〇〇〇〇』だけど、
あれはエロいらなかったなぁ」
みたいなおしゃべりはしてましたからね。
エロゲ好きの友人の間でエロゲの感想を
言い合うときに出てくるフレーズとしては
定番なワードだったかなぁ、と思います。
きっと今もそうなのかな、とは思いますが、
昔と違って今はSNSが発達しましたから、
目にする人が増えた分だけ、このことに対して、
色々な意見を拝見する機会が増えてるんだと思います。
まず大前提として私のエロゲーに対する考え方は、
「響野さん家はエロゲ屋さん!」の
ゆかりお姉ちゃんと同じ考え方です。
![](https://assets.st-note.com/img/1728470219-crQ5E4dHDwkAbnyR8BZJimpV.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1728470140-zIH3QtoiCDOUfKuXaE5P8qTY.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1728470151-B8d9a5UVukYOwtM6gvDE0m1G.png?width=1200)
ちなみに、私はエロゲ業界人になってからは
一度も「エロゲーにエロいらない」と
言ったことない、はずです。たぶん。おそらく。
昔、エロいらないと言ってた基準
昔、私がプレイして「エロいらない」と
言いたくなる感想が出てくる作品って
どういう基準だったのかな……
と、色々と振り返ってみると、
◎ストーリー性の高い作品。
主に『泣きゲー』と呼ばれるもの
に対して「あれはエロいらない」って
感想を言っていた気がします。
エロゲーとして出されている作品でも、
目的が「泣きたい」「感動したい」という作品で
そこに期待してる場合、
エッチシーン
に入ったときに異物感というか、
唐突で違和感を感じてしまってたのかな、
と言った感想です。
ただ「泣きゲー」でも、
エッチシーンがストーリー上で
必要性のあるシーンとかだと、
「エロいらない」とは思わないんですよね。
例えば、ヒロインが病弱設定で。
いよいよヒロインが病気に倒れて、
残された余命も僅か。
そんなとき、これまではプラトニックな恋愛を
描かれてきていた中で、最後の思い出にと、
ヒロインの強い求めに応じて、1度だけ結ばれる。
夜の、電気の消された真っ暗な病室。
窓から月明かりがベッドを照らし、
ヒロインの裸体が暗闇の中に浮かぶ。
みたいなキラキラとした美しいイラストが
脳裏に思い浮かぶ、そんなエッチシーン。
こんな感じでエッチシーンそのものが、
こう、なんて言うのでしょうか。
ストーリーの重要なパートに
組み込まれていると「エロいらない」という
感想は起きにくかったかなって思います。
そんなわけで「エロいらない」と言われしまう、
ネガティブな理由を考えると、
「とりあえずエロゲーだから、
エロゲーという最低条件を満たすために
最低限エッチシーンを入れました」
という感じで差し込まれてしまっていると、
「これ、エッチシーンが唐突で邪魔じゃない?」と
プレイヤー側に見抜かれてしまってたのかな。
ポジティブな理由では、
私がディレクションを担当しました、
「響野さん家はエロゲ屋さん!」で
ゆかりお姉ちゃんが言っていましたが、
![](https://assets.st-note.com/img/1728470019-jrQwiye491HJZ5WKl2sxDpBN.png?width=1200)
というケースもありますが、どちらにしても、
「泣きゲー」ジャンルが作品の性質的に
言われやすい傾向なのかな、とか思いました。
ただこれは昔の作品の話です。
最近のエロいらないと言われる基準
本記事の冒頭の方にも少し書きましたが、
エロゲ業界人の末席に加えさせていただいてからは
「エロゲにエロいらない」
と思ったことは一度もないです。
なので余所のメーカーさんの作品や、
もちろん自社の作品をプレイしていても
「エロいらね~」と思ったことはありません。
※スケジュールと戦ってるときに、
「サブヒロインにまでエロいるかね!?」
と思ったことはありますけどね(笑
なので最近は「エロいらんな」と
思ったことがないので想像するしかないのですが……
少し話しは変わりまして。
弊社タイトルはPCゲーム制作中の時点で、
コンシューマ化が決まってることはないため、
移植が決まりますとエッチシーンのオミットが
毎回めちゃくちゃ苦労するんですね。
※「コンシューマ化」とは、
ニンテンドーSwitchやPS5などに
全年齢版として移植することです。
エッチシーンをカットしたときの
前後のシーンや会話の流れがスムーズに
繋がるように調整したり……
エッチシーン中の会話にストーリー上、
重要なキーワードが混ざっていたら、
エッチはカットしつつ上手くどこかにいれたり……
エッチをした前提の会話が後半にはいったりすると、
シーンはないけど、違和感のない会話に調整、
となかなか大変です。
※特に追加で収録とかもしないので、
新規セリフが入れられない状態で繋げる
移植会社のディレクターさんは、
本当に大変だと思います。
ただ、PCゲーム制作段階ですでに、
コンシューマ化までが決まっていたりしますと、
エロゲーの収録時点でコンシューマ化したとき用の
繋ぎのセリフをまとめて録って置くこともできます。
もちろん、最初からエッチシーン部分だけを
後でボコッと抜き取っても大丈夫なように
シナリオを構成したりするのですが……
そうなると、
全部が全部そういうわけじゃないのですが、
「なんかこの作品……
エッチシーンだけぶつ切り感があるな」
という印象を持つ作品になってしまうことがあります。
これは前述した
「オミット作業で苦労する」と言う部分が
楽になるように考えて作ったエッチシーンなので、
・エッチシーンの突入が唐突だったり、
シーン後にエッチの余韻がない
・エッチシーン中にストーリーに関わるような
会話などがなく、ただただエッチのみ
・それ以降のストーリーで、
エッチをした間柄なのにそのことに触れない
などといった展開になりがちです。
そうなってくると、
「エッチ自体が作業、
エロゲという条件を満たすノルマ」
と言った感じに受け取れてしまい……
「エッチした意味、ある……?」という
疑問へと変わり、結果として、
「あれ、このエロゲ、エロいる?」
という感想へと変わってしまうのかな。
なんて思いました。
なので業界人同士で会話したら、
「あの作品やりました?
エッチシーンの感じ見ると、
最低でもコンシューマ化はしそうよね」
という会話が出ることも少なくないです。
昨今エロゲーは、‟エロゲー”だけで
目標とした売り上げをきっちりと出す、
というのが少し難しくなってきました。
そのためコンシューマ化なども視野に入れて
最初から開発をすることで全体の開発費を圧縮する、
と言った創意工夫の結果だと思っていますので、
私は「コンシューマ化前提での作り方」というのは
悪いこととは思っていませんし、
出来れば、見習いたいです……。
ただ、これが足かせになってしまって、
中堅以上のコンシューマ化を狙える位置にいるエロゲーが、
昔と比べて伸び伸びとエロいものを作れてない、
なんてこともあるのかな……なんて思っちゃいますね。
「いる派」と「いらない派」に分かれるのは
どういうジャンルの作品であっても、
「エロゲーに”エロ要素”を求める比重が多いお客様」は、
よほど自分に合わない作品でない限り、
「エロいる派」からブレないんだと思います。
「エロゲーに”ストーリー性も”求める方」、
「ヒロインとの親密になる過程をじっくり楽しみたい方」、
という「プラトニック」な部分に若干比重が傾いてる人は、
エッチシーンの差し込み方に違和感を感じてしまうと……
「これ、わざわざエッチ入れる必要あったんかい?」
と思ってしまうのかなぁ、と思います。
これが「この作品はエロいらない派」へと
なってしまうきっかけなのかなって。
だから1つの作品、同じゲームをしてるのにも関わらず
各お客様のスタンスの違いというか、求めてる方向の違いで
「エロいる派」と「エロいらない派」に分かれてしまうのかなと。
と考えますと、どっちが正しくて、どっちが間違ってる、
っていうことはないと思うんですね。
単純に個々のお客様が、
エロゲーに求めてるものが若干違うってだけの話。
エロゲを作る側になって思ったこと
でもたぶんなのですが「エロいらない派」の人でも、
エッチシーンがストーリー上、必要性が高ければ、
これはエッチシーンが必要だって思ってくださると思うんです。
そう考えると「エロいらない派」を生み出してるのは、
作り手側の責任じゃないのかなぁ、って思います。
だから私たち業界人が、
「エロゲにエロはいらない、
なんてことを言わないで!」
とかはちょっと言いづらく、
そうじゃなくて、ちゃんとお客様から、
「このエロゲは、エロがあったからこそ、
ストーリー的にも楽しめる幅が広がって、
エロが必要な作品だったね!」
って言っていただけるような作り方を
目指すべきなのかなぁ、って。
なんてなことを思いました。
え? 私がそういうエロゲーを作れてるか、って?
そういうエロゲーを作ってるつもりです!
頑張ってます! これからも頑張ります!
しか言えなくて申し訳ないですけど、
でも、頑張ります。
繰り返しになりますけど、
売り上げの確保、開発費の圧縮などを考え、
エロ部分をオミットしやすく作る、
というのが足かせになってる気が……
いやはや、難しい時代です。
”エロゲー”だけでちゃんと売り上げが出せる。
そうなると、
「エロが必要不可欠なエロゲー」
がいま以上に生まれ出てくる。
そんな気がしますが……。
いやはや、難しい時代ですね!!!!