「図書室と言う名のカフェ」
居心地が良くて、しっくりくるカフェありますか?
僕が住む長野県大町市に三俣山荘図書室というカフェがある。
図書室というだけあって、本棚には400冊ほどの書物が並んでいる。
それらは登山や環境問題、衣食住、芸術などを中心にした書物が多く、自然と向き合っている人間には嬉しくなって笑顔になってしまう空間です。
山好きなら北アルプスの三俣山荘という山小屋を知っていると思うけど、そこのご主人である伊藤圭さんが山と人と街を結ぶをコンセプトに作ったブックカフェです。
店内の電力はソーラーパネルで発電し、暖房にはペレットストーブ、お湯は廃材を利用するなどオフグリッドの形をとっている。
注文された料理が提供されるまで時間がかかってしまうけど、この店が持つシステムを考えれば納得する。
僕にとって北アルプスは特別なエリアだ。移住する前から毎年通ったエリアでお気に入りの場所だ。
そして、この街に移住を決めたのもそれが大きな要因だった。
多くの人が思うことだけど、新しい街に住み始めるとお気に入りの店を探したくなるもので、僕もすぐにお店巡りを始めることになった。
こういう時は車よりストップ&ゴーが細かくできる自転車が活躍する。
JR信濃大町駅前の商店街をのんびり自転車を走らせる。シャッターが下りている店も多い。黒部ダムの関係で昔は賑やかだったらしいので、所々に面影は感じる。歩く人もまばらで、お世辞にでも活気があるとは言えない。
そんな静かな商店街を走って、三俣山荘図書室にたどり着く。このカフェの存在は移住する前から僕は知っていた。何かの本で読んで、移住したら行ってみようと思っていた。
自転車を止めて入り口を探してみると黒板に案内が書いてあった。
案内通り建物の側面に行ってみると立て看板があり、入り口を見つけることができた。
入り口の前に立ちしばらく建物を眺める。側面の壁にはモノトーンの絵が描かれている。
山々の中に登山道があり、テントや焚火が描かれていてシンプルな感じで好感を持つ。きっとこれは伊藤新道っていう名の登山道を描いたものなんだろうな。何故かって言うと、主人の伊藤圭さんはこの伊藤新道の復活を目指し整備を進めているからだ。
そう、まさに山と人と街を結ぶと言うコンセプトに根ざしている。
そのような意味から、この三俣山荘図書室はアンテナ基地であって、様々な人々がこの店に集まり情報交換され、その情報が拡散されていく。
これは山好きだけの話ではなく、調べていくともっと広い視野の考えで進められている活動だと気づく。
皆さんが思っているように、自然環境の変化、自然に対する人間の変化は時代とともに変わっている。人間社会が自然と向き合って、気持ちの良く付き合っていくにはどうしたらいいか?
人々は昔からその答えを求めて試行錯誤を繰り返してきたけれど、今の時代に最もふさわしいやり方とは何であるか?を伊藤圭さんとその仲間たちが追求している姿勢に僕は心を打たれる。
知ったようなことを好き勝手書いているが、正直僕は彼らの本当の想いっていうのを少ししか理解していない。その証拠に彼らの想いをうまく伝えられていない。それだけこのテーマは奥が深いと思っている。それは店内にある書物のタイトルを見ただけで感じることができる。
僕個人が切実に思うことは、現代の資本主義システムの中で自然環境を改善するには困難であるということだ、現代人は便利な物にどっぷりと浸かってしまって、苦労から得る喜びが薄れていると思える。
そんな中で、彼らは前向きに出来る事からやっていく。ダメだったら立ち止まって知恵を出し合いながら取り組む。そんな謙虚な姿勢に感心する。
出来る事からやってみる!
口にするのは簡単な事だけど、彼らはそれを背中で表現している。
彼らは山屋だから、一歩一歩進めば目的地に到達出来ることを身体で知っているのだ。
僕が住む日本は島国で自然に恵まれた美しい国だ。
世の中にはもっと便利な生活をしたいという人間がいるけど、自然環境を破壊してまで便利な事がしたいのかな。
リニア新幹線って本当に必要ですか?
以前から引っかかっていることだけど、今の自分には疑問だらけの世の中になってしまった。そのヒントがこの三俣山荘図書室にあると直感的に感じる。僕の中でもやもやしている答えがいずれ明確になったらいいな。
また彼らはネオアルプスといった一般社団法人を設立して同志を集めて活動している。もちろん僕も会員になった。少しでも力になれたらと思い申し込んだ。今後も機会があれば登山道の整備などボランティアに参加したいと思っている。
そんなことで、僕はこのカフェがすごく好きになった。こんな空間の中で美味しいコーヒーを飲んで好きな本を読む。お腹がすいたらサンドイッチやケーキもある。
信州サーモンのサンドイッチは美味しかったな。
店内は落ち着いた感じで、照明の明るさも自分好みでリラックスできる。寒い日はペレットストーブが点いていて、火のぬくもりを感じることができる。
JBLのスピーカーからは上質な音質で音楽が流れていて、音量も絶妙で不快感は全くと言ってない。
この音響システムとスクリーンを使って定期的に上映会も行っている。
住んでいるアパートから自転車で15分ほどで行けるので、時間があるときは何度でも行きたい店だ。店にはまだ数回ほどしか行っていないけど、これから知識を深めて自分が目指す方向性を模索したいと思っている。
最後になるけど、このカフェのことを僕はミツカフェと呼んでいる。
ミツの三は三俣山荘の三ではなくて、三つのキーワードで、三カフェなんです。
山と人と街です。