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長すぎた入院生活 | 緊急入院 5日目〜退院日(手術日+22〜31日目)

週末を家で過ごすのは不安だからという理由で入院を選択したあの土曜日が遥か昔に感じる。右下腹部の激痛を訴えて緊急入院をしてから退院まで14日間かかった。術後感染症は、緊急入院からおよそ1週間ほどで落ち着き、CRPは13まで下がり、白血球は4,000の正常値まで落ちた。そこからさらに1週間、ゆっくりにしか下がらない数値を、まだなの?まだなの?と毎日確認して過ごした。血管が硬くなってきて注射針の刺し直しは当たり前になり、刺されるわたしは当然辛いが、なかなか血液が引けない看護師さんも辛そうだったな。申し訳ない。

起炎菌については、特定には至れず、通常、お腹の中にいる「嫌気性菌」が複数検出されたのみで、元々お腹にいた菌が術後にも少し残っていて、それが悪さをしたかもしれないし、肛門を経由して逆戻りしたかもしれないし、経路は不明との説明だった。釈然としなかったが、血液検査の結果では回復していることを示していて、治療方針は間違っていないのだから信じて任せようと自分を落ち着かせていた。

が、今ひとつ自分の中で消化できなかったのは、「肛門を経由して逆戻り」のくだり。我が家のウォシュレットに問題があったのか?とまず考えてしまい、ひたすらトイレ掃除の動画を見て改善点を探ったりしていた。もしくは、湯船に問題が?とも考えて、今度は風呂釜洗浄の動画を視聴。うーん、そもそも我が家が清潔ではないのかなぁ?と洗ったり拭いたりできない汚れはソファか…!とファブリッククリーナーの通販ページを熟読。などなど、お願いだから原因と改善策を教えてくれい!じゃないと安心して家に帰れないよー!と、ネットに答えを求めて検索ばかり、で、余計に落ち着かなくなるの悪循環に陥っていた。その悪循環を絶ってくれたのは、親友の言葉だった。病気のことを話している親友2人のうちの1人は獣医で、医師が話す専門用語がちゃんと理解できる人。その親友にこのモヤモヤをぶつけたところ、『便や肛門にいる菌が、尿道→膀胱とか、膣→子宮へと逆行して、たどり着いた先で炎症→化膿しちゃうのは、清潔にしていれば防げるわけじゃないんだよ。開腹オペなど全身に強い侵襲があった後は抵抗力は一気に下がるのだから』と教えてくれた。ストンと落ちた。それから家の中の除菌について過度に考えることはせずに済んでいる、今も。感謝。

🥹

急な入院だったことで、仕事のスケジュール調整はほとんどできず、夫に仕事道具を運んでもらい、病室からリモートワークをしていた。これがなかなかに快適。CRP値が高いので個室で過ごす必要があり、それがリモートワークを捗らせた。Wi-Fiはストレスがないレベルの速度がでるし、PCをHDMIケーブルでテレビに繋げばデュアルディスプレイとして活用可能(所詮は病室のテレビなので画質が粗いのだけど、そこは我慢)。問題は、仕事に集中でき過ぎるがあまり、痛みとか疲れとか自分の身体に起こっている異変に無頓着になってしまうことだった。ある時、zoom会議中に点滴が漏れていた。病衣がびしょ濡れになる程、液剤が漏れていて(幸い、抗生剤とかではなく栄養補給用の輸液だった)、会議が終わってからようやく気がつき、慌てて看護師さんを呼んだ。怒られはしなかったが、かなり反省した。やはり、仕事は中毒性が高い。

🧑🏻‍💻

退院日が決まると、次の外来と抗がん剤治療の予定が組まれていった。まずは、退院1週間後の外来で血液検査をして炎症がしっかり治っていることを確認、問題がなければ、その翌週、2泊3日で入院して初回の抗がん剤投与をすることになった。

退院日は、ちょうど術後1ヶ月目だった。うつ伏せにならない限り、開腹した箇所に違和感を感じることはなくなっていた。

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