小説版「ハリガミくん」25m
死後の世界の謎が解き明かされる!の巻
小学五年生のハリガミくん。勉強はできないが楽しい事が大好き。テレビではドリフと心霊特集が大好物。今日も朝、新聞のテレビ欄をチェックするのに余念がない。
「あっ、今日夜七時から心霊番組がある!!」
そう呟いた瞬間、ハリガミくんはわが目をうたがった。
“今夜ついに死後の世界の謎が解き明かされる!!“
ハリガミくんはその一文から目が離せなくなった。「今夜・・死後の世界の謎が解き明かされるんだ!!!」
もう学校どころではない。でも学校には行かなくてはならない。夜7時までが何百年にも感じられる。授業どころではない。(ハリガミくんはいつも授業聞いてないが) 掃除どころではない。(ハリガミくんはいつも掃除さぼっているが) 給食どころ・・いや給食は美味しくいただく。
放課後、今日はまっすぐ家にかえる! そしたら、テレビの前でスタンバる! 番組が始まるまで、まだかなりの時間があるのだが。帰り道、友達に呼び止められても気にしない。一目散に家路を急ぐ。
ハリガミくんにとって今日の帰り道の風景は、なんと美しいことだったであろう。
七時になる前に晩御飯があるのだが、それは普通に美味しくいただいた。そしてついに番組は、はじまった! タイトルがテレビ画面いっぱいに映し出される。
“心霊特集 今夜ついに死後の世界の謎が解き明かされる!!“
もう、ハリガミくんはテレビ画面から目がはなせない。・・・ところが。いつもどうり不思議な怪奇現象を、レポーターが一通り紹介したあと「いったい我々が見たのは何だったのであろうか」とナレーション。その後に、テレビ画面に「完」の文字。番組終了。
「えーーーー!! 死後の世界の謎が今夜解き明かされるんじゃなかったの???!」
ハリガミくんはその夜、枕を涙でぬらしました。完