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ぼくのかみさま

以下、プロセカのイベント「Power of Regret」のネタバレを含みます。



このイベントに合わせ、羽生まゐご様より書き下ろされた楽曲「ぼくのかみさま」が大好きなので考察します。

そもそもこの考察にはイベントストーリーに触れる必要があるので、その説明を。

①イベント名について

Power of Regretというイベント名をはじめに見た時、「後悔の力」と訳す人も多かったのではないでしょうか?寧々さんの過去の話かな…?とも思いつつ読み進めてみました。
しかし、実際このイベントのテーマとなったのは「競い合う中で磨き合うこと」「負けた悔しさをバネにすること」でした。
読み終わったあとにイベント名を見返すと、後悔ではなく「悔しさの力」だったわけです。
同じ英単語でもこれほどニュアンスが変わる日本語の表現はすごいですね。

②歌詞から考察(長いですので適宜飛ばしてください。)

イベントでの主なテーマは①にあげたものですが、ワンダーランズ×ショウタイムのイベントで特徴的なのはメンバーの演じた演劇が多く見られることです。メインストーリー然り、ワンダーマジカルショウタイムのショーも印象的でした。
今回のイベントで演じられたのは「リュカ」。
森ノ宮歌劇団(今、メンバーが修行をしている団体)の附属学校の公演のために書き下ろされた作品だそうです。大きな劇団とはいえ、附属学校のために脚本が書き下ろされるなんて、とびっくりしました。
案の定リュカの内容を演じているシーンが多かったのですが、今回はオーディションで役を決める形式且つ寧々さんに大きくフォーカスが当てられたため、寧々さんの演じる主人公リュカをたくさん見ることが出来ました。
そしてこのことを踏まえると、「ぼくのかみさま」は「リュカ」をベースにした話のように感じられました。
リュカの大雑把なあらすじは、気の弱い少年リュカが庭園で王女ルイーズに出会う。ルイーズに近づきたいリュカは兵隊となり、位を上げるため残忍な兵士になっていく。そんなリュカとルイーズが対面した時……といった感じです。(クライマックスはぜひご自身で!!)
「ぼくのかみさま」というのはリュカにとってのルイーズだったのではないでしょうか?推し活で、憧れの推しのことを「神」と呼ぶように。崇拝/尊敬/愛する人を神様とすることは珍しくありませんが、リュカの愛は少々行き過ぎだったようです。
ここから歌詞の細かいところを見ていきます!

(1)夕立とカラスの群れを影が飲み込んでいました
気弱だった頃のリュカを彷彿とさせる、切ない歌詞です。

(2)かみさまは覚えてますか僕の声が聞こえますか
ルイーズに恋しているリュカの気持ちを表現しています。

(3)貴方はいつからここにいて誰かの帰りを待っていた
ルイーズに出会った時の話だと思われます。

(4)生きたいな強くならなくちゃ、まずは狼煙をあげてくれ
強くなる=偉くならないとルイーズには再会できないという覚悟の表れた一節。
「狼煙」という言葉は兵士としての戦いを思わせる他、イベント「スマイルオブドリーマー」の第8話が「反撃ののろし」なことも思い起こさせ、ワンダーランズ×ショウタイムと「リュカ」が繋がったように思いました。

(5)行かなくちゃ、ぼくのかみさま、かみさまが大好きでした
全体を通して、サビはラストの方のシーンを表現していると思います。「大好きでした」と過去形になっていることから、直接的には言いませんが「別れ」を想像します。

(6)大人になれないぼくは、ぼくは、ぼくはまた貴方に会いに行く
(5)で別れた後の「また会いに行く」という歌詞が本当に素敵です。リュカはハッピーエンドとは言えませんでしたが、「ぼくのかみさま」はバッドエンドでは終わらないのが良いです。
もしかしたらこれはワンダーランズ×ショウタイムのメンバーでリュカを演じたら…という歌詞でもあるのかもしれません。ワンダーランズ×ショウタイムにはハッピーエンドが似合います。

(7)ありがとね、大事にするね
ルイーズにもらった薔薇のことですか!!と声が出そうになりました。

(8)しばらくは、寂しくなるね
出兵前の言葉のように思います。(7)やこの後でもそうですが、読点や〜〜ねなど語りかけるような口調で、リュカ目線のいい歌詞だなと改めて思いました。

(9)見えないね煙がしみて夜が来る前にさよなら
これ、直接言ってないけれど泣いてますよね?
「煙が染みてるだけ」って泣き隠しの常套句です。まだ強くなりきれていないリュカが強さを取り繕うような、そんな歌詞でもあると思います。
では何故泣いているのか?今日中に起たなければならないからです。「もうすぐに」とか「今日中に」とかではなく「夜が来る前に」というのは、ルイーズのそばにいられる時間を短く感じたくないという想いでしょうか?

(10)言わなくちゃほら言葉にして僕はそんな強くなくて
ずっとルイーズが好きなのにそれを言えない恋心です。これはリュカの最後の方で回収されているシーンかも。

(11)見ていてね、忘れないからね、だから狼煙をあげてくれ
戦に挑む前にルイーズのことを思い出しているのでしょうか…?言葉通り、片時もルイーズを忘れませんでしたね。
狼煙をあげるのは戦いの合図。はやく戦いを終わらせたい、そんな気持ちもあったのかもしれません。

(12)ぼくはもっと話がしたい、だから、だからまた貴方に会いに行く
(10)で恋心を伝えられない代わりに「もっと話がしたい」と。そしてもっと話をするために(11)でさっさと戦を終わらせたかったのかも。

(13)さよならだぼくのかみさま、かみさまが大好きでした
ここはゲーム内には収録されていないところ。ゲーム内でフル尺かなと思っていたところにこの歌詞で驚きました。
やはり「別れ」。「別れ」のピンチを乗り越えたワンダーランズ×ショウタイムが歌う別れの歌詞は心に刺さります。
この過去形の「大好き」もラストシーンを見てからだとあのシーンが反芻されて切なくなります。

(14)貴方にはもっと見せたかったけど仕方がないね
きっとリュカはルイーズに強くなった自分を見てもらいたかったんです。でもそれはルイーズの望むリュカではなく…
それならば仕方がない、というのがどうしようもない愛の形ですね。自分の残虐さはルイーズのため、それを終わりにするのもルイーズのため。一途なリュカです。

(15)行かなくちゃぼくのかみさま、分かってる帰りは一人
「別れ」が強調されている歌詞であり、「出会い」のシーンでもあると思います。
2人の初対面の庭園で「そろそろ帰る時間だ」と言うリュカ。ただ2人はもちろん身分の違いから一緒には帰れないので「帰りは一人」。そういえばラストシーンも舞台は庭園でしたね。

(16)これからは貴方の歌を歌う僕はまた会いに行く
今まで歌っていたのはきっと軍歌だったでしょう。そして強くあることを終えた今、歌うのはルイーズへの愛のうた。おそらくラストシーンを意図して書かれたラスサビの歌詞です。
この2人には何度生まれ変わっても出会って欲しい。たとえ結ばれなくても、出会うだけでも。


③最後に

自分史上いちばん長い文ですが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
ここからラストシーンのネタバレを入れますので注意してください。







リュカが刺されたあと、かみさまになったのはリュカだったのではないでしょうか?
リュカと同じく恋心を抱いていたルイーズはリュカを「ぼくのかみさま」とした。先程述べたようにこれがワンダーランズ×ショウタイムの解釈した演劇「リュカ」ならば、これがワンダーランズ×ショウタイムなりのハッピーエンドなのではないでしょうか?

以上になります。本当にありがとうございました。3167字の駄文でした。


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