Bambu Lab X1-Carbonを買った
はじめに
タイトルの通り、Bambu LabのFDM 3Dプリンター X1-Carbonを買いました。
新しいFDM機を導入することを決めたものの、メーカー選定で悩んだり、P1シリーズと迷ったり、AMSを付けるか悩んだり、結果的になぜBambu X1-Carbonを選定したのか、買った結果何が変わったのかをお話ししようと思います。
ものづくりの迷走
これまで運用中のFDM機はEnder3-V2にSpliteExtruderキットを組み込んだ機体をベースに、ソフトの書き換えやその他カスタムパーツの取り付けなど造形物の精度を求めて改善という名のいじくりまわしをしていました。
最終的には巨大なエンクロージャーを作ってその中に筐体を丸ごと放り込んで、ABSを中心に造形をしていました。
それなりにうまく運用できているつもりでいたんですが、ある日手狭になってきた作業場を片付けている際に気づいてしまいました。
試作品という名の造形失敗した部品で45Lのごみ袋が2つできていたんです。
あれ?おかしいぞ?毎月のようにフィラメントを買っていろんな部品を作ってきたけど、半分もしくはそれ以上がごみじゃね?
しかも、ものづくりしているつもりになっていたけど、3Dプリンターを使うための部品を3Dプリンターで作っていただけじゃね?
膨大な時間と材料代を費やしてやりたかったことは3Dプリンターのカスタマイズだったのか?
まあね、確かに楽しかったんですよ、Ender3いじりまわすのは。
メーカーから新機種が発表されても「オレのマシンはまだまだ現役でいける!」ってカスタマイズして同等の精度や速度が出たと一喜一憂して、そこに膨大な時間をかける。
それがメインになってしまっていたら何のために3Dプリンターの世界に足を踏み入れたかわからないよね。
積層の条件出し、ベッドとノズルのクリアランス、温度管理なども非常に神経を使う作業でいつのまにやら疲弊していたことにもこれまで気づけていませんでした。
Bambu Lab X1-Carbonを買ってみた結果
購入したのはAMS付きのモデルです。
もうね、すべてが変わったといっても過言ではないです。
AMSにフィラメント入れておけば交換の手間も少ないし、湿気対策もシリカゲル追加で入れておくだけ。
社外品フィラメントでも設定で「Generic ABS」とか適当に選んでもきれいに造形してくれる。
ビルドプレートになかなか定着できなかったフィラメントもほぼ失敗無しでしっかり定着。
あんなに苦労したABSの反りも何もしなくても発生しない。
造形時間はEnder3時代の半分~1/3程度。
しかもこれらの効果が本当に何もしなくても実現してしまう「オートキャリブレーション」の存在。
今のところは本体に対して気を遣う部分は全くなく、本当の意味での「ものづくりに集中できる環境」が整ったように思います。
価格が高いのがネックですが、今までの造形失敗やそれをフォローするための対策費なんかを考えれば結果的には安いのかもしれません。
新機種選定の条件
新機種購入にあたり、次のような選定条件としました。
エンクロージャー付き
オートレベリング
スピード重視
カーボン対応ノズル
ネットワーク対応
スペアパーツの入手性
条件出しに苦労しない
とにかく最新技術を触りたい
細かい条件を出せばキリが無いのですが、結局のところどのメーカーの製品でもフラッグシップかそれに順ずる機種となりそうです。
X1-Carbonに行き着いた理由
機種選定にあたって基準としたのはEnderシリーズと同じメーカーということでCrealityのK1C。
実機を見ることはできないのでとにかくレビューを見まくりました。
この時点ではK1cを買う気満々でいたんですが…。
その中で対抗馬として挙がってきたものの中にBambu X1シリーズとFlashForge Adventurerシリーズがありました。
ただ、Bambu Labは新興メーカーでX1なんかそれこそデビュー作だったわけで最初のうちはあまり興味がありませんでした。
X1のレビューでは「条件出しに苦労しない」という点においてマイナスのレビューがほぼ無かったんですね。
そこからだんだんと興味が出てきて調べてみると、LiDARを使って流量補正しているとか、カメラ画像を使ってスパゲティ検出しているとか、とにかくユーザーに負担がかかる作業を自動化しようとしている機種であることが分かり、それらをきちんと実現できているということが素晴らしいと思いました。
Bambu Labについても調べると、元々はドローンのDJIをドロップアウトしたメンバーで立ち上げた会社であるということで、制御関連の技術レベルは相当に高そうであることもわかりました。
その時にちょうどA1-miniが発売され、そのレビューがどんどんアップされてきたんですが、その性能にはもう驚愕でしたね。
同じオープンタイプなのに自分が今している苦労と比較するとまるで次元が違うじゃないか。
特にAMS-Light付きのレビューはスライスソフトウェアの特徴を理解する上でとても参考になりました。
その後もいろいろ調べていくうちに頭の中はX1しかもAMS付きに一気に占領されていったわけです。
X1シリーズとP1シリーズ
そうはいってもX1-CarbonってAMS付きで25万円ちかくするんですよ。
しかもCrealityみたいに安売りしないのでセールもほぼ無し。
もう少し安くならんもんかなぁと思いつつ考えたのがP1Sをカーボン対応できるように改造して使う方法。
本体がX1と比較して10万円ほどやすく、エクストルーダーのギアとノズルもカーボン対応のものがアフターで存在してます。
これ以外のX1とP1Sの大きな違いは
筐体がX1はアルミ、P1Sは樹脂
操作パネルがX1はカラータッチパネル、P1Sはモノクロ+ボタン操作
LiDARはX1のみ
カメラの解像度が異なる
造形精度やスピードはどちらも変わらないということなので、P1Sでも十分であると言えます。
10万円の違いはあまりに大きく、そうとう悩んだのですが最終的に「最新技術に触りたい」という目的を達成するには最上位機種を買うべきであるという結論になりました。
AMS付きにしたのも同じ理由です。この時はK1シリーズにフィラメント自動切換えできる仕組みは発表すらなかったですし。
とにかく楽、ノーストレス
購入してそろそろ1カ月。
ほぼ毎日稼働していますが、造形するのが楽しくて仕方ありません。
今までは「また調整しなきゃ~」とか「開始後1時間くらいは様子見ておかなきゃ~」といった感じで造形することが億劫になっていました。
それが今はスライスデータを転送すればあとは勝手に全部やってくれるし、エラーが発生するとスマホに通知が来るので筐体を覗きに行くことも必要ありません。
造形失敗はこれまで1回だけです。(ビルドプレートとの接触面積が狭かったので終盤に剥がれた。どちらかというと設定ミスが原因。)
精度も非常に高く、嵌めあいやねじなどもほとんど調整なく狙った通りのスキマを作ることができています。
AMSも便利です。
多色印刷はほぼしませんが、4種類のフィラメントを常時使える状態で待機できるのがとても助かっています。
ちなみにおまけで付いてきたサポート用フィラメント、PLAの造形ではもう手放せなくなっています。
さいごに
レビューするでもなく、具体的なことを書くでもなく、大した情報も書いてないのに最後までお付き合いいただきありがとうございました。
「3Dプリンターのカスタマイズをしたいわけじゃない」とか書いておきながら、少なからずカスタマイズはしているのでそのあたりは今後の記事にできるかなと思っています。
それでは、またの機会に~!