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~SHO TIME~

福田翔生選手との出会いは2023年の2月だった。FC今治からYSCC横浜への移籍が決まり兄 福田湧矢選手からの依頼もあって本格的にMTR Method™でサポートしていくことがCEO續池との面談後決定した。
仙川にあるLabでの面談後が私と福田翔生選手との初対面であった。私自身初めての担当選手ということと、プロサッカー選手という職業に憧れを持っていたため、どんな人柄なのか楽しみかつ緊張していた。ギラギラとした野心あふれる選手かと想像していたが「純粋な子だな」というのが第一印象だった。

筋肉チューニングを開始して感じた體の状態は、骨を軸に筋肉が付いており余計な筋肉はついていないなと感じた。「目的のないウエイトトレー二ング」はしてこなかったらしくフォルムからも出力の出そうな立ち姿をしている。特に大腿部のバランスが非常に良かった。実際に触れてみると「ハムストリングス」と「大殿筋」の発達に驚かされた。骨格を無視した広がる筋肉ではなく、骨格に逆らわず使える筋肉が自然に発達していると感じた。だがチューニングを続けていくと筋線維の硬さと局所に現れるまとまった癒着が気になった。この筋肉の硬さや癒着から解放されるともっと出力がでて、さらに躍動感のあるプレーになると感じたのを今でも覚えている。


チューニングと並行し開幕前にリアクティベーション(骨格基準の身体操作)を行った。タオルを腰に巻き抵抗下でスプリントフォームを確認する。その動きを見た時にリアクティベーショントレーナーの大友を簡単に引きずるスプリント能力を見て、「ハムストリングス」と「大殿筋」の発達具合に納得した。

開幕前のリアクティベーション

自然な筋肉の発達以上に驚いたのは自分自身の體に対する感覚である。どんな時に不調を感じるか、どんな動きでどこが痛くなるか、今の體の感触など細かくフィードバックしてもらった。福田選手が持っているこの繊細な感覚を最優先にしていくことがコンディションの改善に繋がると感じ、チューニングの感覚を調整していった。最初の頃は硬さの蓄積などから血流が滞り體が硬くなりやすく、ベッドに寝続けるのは30分が限界であった。少しずつ帳尻を合わせ筋肉が緩むのを待つように焦らずチューニングを繰り返していった。60分、70分、90分と徐々にチューニング時間を増やしていった。少しずつ體が変化していくと同時に福田選手から「葛西さんチューニングお願いできますか?」と連絡が来るのが嬉しかった。

長時間のバス移動などのハードスケジュールや初めての関東での生活、3月で22歳になったばかりの福田選手とはサッカーや體の話は最初の20分くらいで後は他愛もない話も心がけた。自分が22歳の時と比較して、想像もつかないプレッシャーの中で生活をしていると表情や雰囲気で何となく感じてしまったからだ。8歳下の選手との距離感を近づけてくれたのは「アニメ」の話だった。それ以降、福田選手から體の状態確認よりも先に好きなアニメの最新話の感想を言ってくれるのが恒例化していった。(今は無言の時間でも、なんとなくですが福田選手が考えていることが伝わってくる時があります笑)

食事にもこだわる福田翔生選手!
無農薬野菜と発酵食品を使った大好きな定食!


福田選手が日々の継続として実践してくれたのがセルフでのリアクティベーションであった。「足の再生」を最優先し、フットツイスト、クロウタッチ、足首回しなどゲルマバームを塗りながら毎日継続してくれた。またスラックレールも練習前に踏み、チューニングによるスプリント力の向上とともに足趾がより使えるようになりステップ動作がしやすくなったと感想をもらった。



~待望のJリーグ初ゴールと古巣FC今治戦~

チューニングを重ね迎えた開幕から第2節「黒い手袋」をした21番はこれまでのサイドからFWにポジションを変更していた。与えられた広大なスペースを縦横無尽に走り、攻守にハードワークを繰り返す。Jリーグ初ゴールは前半12分に生まれた。味方からのパスをワンタッチで相手を置き去りにする。角度の無いところからGKの股を抜きゴールを奪って見せた。これまで溜まっていたものが一気に溢れ出るくらい感情を爆発させていた。

この試合後のチューニングで 
「次はチームを勝ちに導くゴールを決めます。あともっとスプリントが上がる気がします。」
という力強い感想をもらった。4月下旬頃から體が変わってきていると感じる私の感触と福田選手が感じる體の軽さの感覚が重なることが増えていった。

MTR Method Labでのチューニング
兄湧矢選手の試合を観戦!

そして古巣FC今治とのホーム戦。3日前のチューニング時「この日の為にやってきた!」と静かに闘志を燃やしていた。この時には120分のチューニングは可能な状態になっていた。
前半終了間際に右サイドからのクロスに合わせてゴール。FWに転向し、恩師星川敬監督のもとで磨いたオフザボールの動きが発揮されたゴールだった。後半終了間際にも左サイドからのクロスを豪快にヘディングで同点ゴールを決める。その後チームメイトの2ゴールもあり試合は4-2で逆転勝利。チームは開幕から8試合目にして待望の今季初勝利であった。ヒーローインタビューでテンションの上がった姿とサポーターに向けた「大好きです!」というコメントが印象的だった。私も仕事帰りの小田急線のホームで何度もガッツポーズをした。

ここからの彼の活躍は凄まじかった。岐阜戦での2ゴール、北九州戦終盤でのPKによる勝ち越しゴール、福島戦での決勝ゴールなどハイペースに得点を重ねていった。特に岐阜戦のパフォーマンスは圧巻だった。前線からのプレッシングはチーム全体に守備のスイッチを入れ2ゴールと同等の貢献をしていた。

「福田選手、開幕当初よりもスピードが上がっているように見えますが感覚的にはどうですか?」

「分かりますか?そうなんです!今治戦辺りからスプリント力も回数も上がりました。」

明らかに周りと動きが違うのは画面越しからでも伝わるくらい躍動感に溢れていた。チームの成績と共に好調であった福田選手はJ3の5月度月間MVPを受賞した。

6月10日(土)愛媛FC戦。勢いそのまま開始2分で先制ゴールを決める。ボックス内での動き直しと繊細なファーストタッチが発揮されたゴールだった。チームはその後逆転されるが、ここからが"彼の時間"だった。ATで味方が獲得したP.Kをゴールキーパーの逆方向に決めて同点。その数十秒後、チームメイトのロングボールを一気にスプリントし相手DFを置き去りにしてゴールを奪って見せた。劇的なハットトリックで試合終了のホイッスルが鳴る。チームを3連勝に導く逆転勝利の立役者となった。気持ちを前面に出すプレーは見るものを熱くさせる。スピードやドリブル以上に気持ちの入ったプレーが彼の一番の魅力だと改めて思った。
劇的なハットトリックによる逆転勝利から翌日のチューニングで福田選手はこう仰っていた。

「YSのサポーターの人達は優しいです。サポーターや観客の人たちは日頃、働いたお金で試合を見に来てくれてるので喜んでもらえるように頑張りました。」

自然と出た言葉が彼の人柄を表している。自分の體の感覚以上に人に対する気持ちの感受性も豊かな選手だった。




~リーグ後半戦が始まった8月~

「葛西さん試合を見に来られる日ができたら言ってください。チケット用意するんで」

8月12日(土)ニッパツ三ツ沢球技場で行われるホーム福島ユナイテッドFC戦。この日が福田選手にとってYSCC横浜での最後の試合になるとは知らずに現地に足を運んだ。画面以上に野性的で躍動感あるプレーは相手の脅威になっていた。何度もボールを呼び込む姿は本当にストライカーだった。彼が必死にボールを追いかけチャンスを作るたびにサポーターからの「翔生コール」が繰り返されていた。試合終盤、尊敬している中里選手のセンタリングに対して福田選手がヘッドで折り返す。味方選手が押し込みゴールが生まれた。仲間とサポーターと喜ぶ姿を見て彼の目標でもある「多くの人を幸せにする選手」に一歩ずつ近づいているのを実感した。


~挑戦の舞台はJ1へ~

21試合11ゴールの活躍が認められ、J1湘南ベルマーレに移すことが8月17日リリースされた。リリース直後電話が鳴った。

「葛西さんお疲れ様です!今大丈夫ですか?ベルマーレに移籍が決まりました!」

「ベルマーレですか!目標達成やりましたね、おめでとうございます。住所変更などMTRとの手続きは気にせず言ってください。必要であればゲルマニウムウォーターもすぐに送ります!」

「はい!ありがとうございます!!良かったです!もっと頑張るので、これからもよろしくお願いします!あとゲルマウォーターも買いたいのでお願いします!じゃ切りまーす!」

5月に初めてプレーを見た時、「本当にJ1に挑戦できる」それくらい動きが別人だった。開幕前に立てた目標"夏にJ1への移籍"を実現させてみせた。

~J1初出場は浦和レッズ戦~
「葛西さんお疲れ様です。強度に慣れるまでチューニング週に2回に増やしてもいいですか?」

J1に移籍してから彼の身体の張り感はこれまで以上だった。ハムストリングスや臀部に張りが出やすかった特徴が大腿四頭筋に張り感を訴えることが増えた。新天地ということもあり緊張もあったと思うが強度の強さを実感した。

「途中出場は思ったよりも乳酸が溜まります」

強度の高い中で且つ試合の終盤での出場。与えられた仕事、試合をクローズさせる役割を全うしている。

リーグ戦は10試合の出場、少ない出場時間ながら、チームのために走りゴールを狙う姿はカテゴリーが変わってもまったく変わっていなかった。
彼のスピードはJ1でも通用していることを実感した。


~2023年シーズン終了~
ベルマーレはリーグ終盤勝ち点を積み重ね、J1に残留を果たした。

「葛西さんお疲れ様です!11歳ぶりに怪我なくシーズンを終えれました!どんなときも信じて支えてくれて本当にありがとうございました!」

"見返してやる"と意気込んだシーズン。無事に1年を戦い目標を達成した彼を尊敬しています。来季は彼がピッチを駆ける時間が増え、多くの“SHO TIME”を起こせることを信じています。

「多くの人を幸せにする選手になる」という大切にしている目標、その輪を広げられるサポートを微力ながらやっていければと思います。

さらに向こうへ!
"Puls ultra"

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