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Bourrée #2

どちらが先か

前回、宮廷文化内の踊りと民衆の踊りは異なるという話をした。ではどちらが先なのだろうか?
“踊りはすべからく民衆から貴族へ伝わり洗練されたのだ”などどいうことはできない。ここでいいたいのは、”この国(地域)に限定して”さらに“この踊りに限定して”はどうかということである。

土の匂いがする。あと地中海の匂いがする。この動画では「Bourréehは南仏の踊り」と言っている。
確かにイタリア的だ。イタリアの何を知っとんのかといわれると辛いが、みんなはそう思わないだろうか?
こうなると、宮廷から民衆への流れだけでなく、地続きでイタリアから南仏へ、そして宮廷へというのも想像できる。
民衆から宮廷へというのはどういう際に起こるのだろうか?例えば、収穫祭など無礼講の機会に領主に文化が流入するというものだ。あるいは各地を転々とする吟遊詩人や道化師が伝えるというのも考えられる。それが貴族風にアレンジされ、地方領主から貴族へ、そして中央へという流れである。
ここらへんが分かると面白そうだが、今は妄想でしかない。踊りそのものを見ていこう。

Bourréeにおける”らしさ”

現代のBourréetといえばこういったものを想像するだろう。とはいえ彼の踊りには相当クセがある。もう少し見ていこう。

フランスの踊り全般にいえることだが、重心は決して高いわけではないのに沈み込む機会はかなり限定される。腰より少し上の点が地面と平行に幾何学的曲線を描いている。己の身体技能を見せつけるような動きはないが、キツくないかといわれればそんなことはない。下半身は脱力し、軽やかに動く。一方で上半身は板のように硬い。
前回見た宮廷文化での踊り方はもっと重心が高い。滑りやすくかかとのある靴だったのだろうか。
何がBourréeにおける”らしさ”なのか、簡単に示すのは難しい。というのも、おそらく「その次代及び地域ごとのスタイリング」があるからだ。これもフランスの踊りの特徴であるのだが、”Bourréeなんたら“といった派生が数多くある。Bourréeは踊りのジャンルにしか過ぎない。トラディショナルなものはトラディショナルに踊るのが良いし、現代ナイズされた2tempsや3tempsはそれに適してやるのがよい。
ウケが良いのは、正直いうと現代のスタイルだ。Mazurkaなどをやっても思う。ルネサンス期のものをしましょうというとみんな結構興味を失ってしまう。楽しいんだけどなぁ。

結論

今回はなし。とっちらかってしまった。
あ、スタイリングは何か明確な目標があった方がいい。誰かを憑依させるというか、何になりきりたいのかしっかり決まっていたほうがいい。そこに“上手さ”という説得力が加わると、君を中心とする世界ができあがる。それがパートナーと共有できれば最高だ。外から見たら君たち二人にスポットライトが当たっているだろう。踊っているときも分かるはずだ。