UCL 地理学部の紹介
先日、私が修士を取ったUCLの学部のことについて聞かれたので、需要あるのかな、ということでUCL 地理学部(修士)のことを書いてみます。
まず、イギリスの大学の修士は基本1年制でコース中心のTaughtと研究中心のResearchに分かれています。私が行ったのはTaughtなので、そちらの話になります。
地理学部 修士コース
私が所属していたのは地理学部のリモートセンシングと環境マッピングというMSc(Master of science)のコースです。その他、地理学部には以下のコースがあります。
水域保全、生態学と回復(MSc Aquatic Conservation, Ecology and Restoration)
気候変動(MSc Climate Change)
環境保全(MSc Conservation)
環境モデリング(MSc Environmental Modelling)
環境、政策と社会(MSc Environment, Politics and Society)
国際移民(MSc Global Migration)
社会、地理データサイエンス(MSc Social and Geographic Data Science)
都市論(MSc Urban Studies)
私がいたときはMA(Master of arts)のコースもあったと記憶していましたが、今(2023年時点)はすべてMScのコースですね。日本では文系地理に属する分野、環境系や農学に属する分野、理学部の地球物理系に属する分野と、かなり広範なエリアをカバーしています。コースそれぞれで人数はバラバラですが、私のコースは30人くらいだったと記憶しています。それぞれのコースは学科というよりももっと細分化されているかんじです。
ちなみに、地理学の分野ではUCLの地理学部は評価が高く、QS2023で6位(geography)、THE2023で14位(social science)です。
授業内容
1年は3学期に分かれていて、以下のように授業が進みます。
1学期9月開始12月まで:必修科目4コマ
リモートセンシング概論(Principles and Practice of Remote Sensing)
解析、数学(Analytical and Numerical Methods)
科学コンピューティング(Scientific Computing)
地理空間サイエンス(Geospatial Science)
2学期1月開始4月まで:選択科目4コマ(以下私が選択した科目)
時空間データ分析とデータマイニング(Spatial-Temporal Data Analysis and Data Mining)
社会地理データマイニング(Mining Social and Geographic Datasets)
環境、セキュリティの地球環境モニタリング(Global Monitoring of Environment and Security)
地上炭素のモデリングとモニタリング(Terrestrial Carbon: Modelling and Monitoring)
3学期4月開始9月まで:修論
1学期は基礎的なコースで、コースの概論、Pythonプログラミング、数学を基礎からみっちりやります。コース初日のオリエンテーションで「とにかくこの1ヶ月はめちゃくちゃきつい。とにかくきついから、覚悟して、頑張ってね」みたいなことを言われたのを覚えてます。実際に本当に大変で、特に私はプログラミングが初心者だったので、プログラミングはハゲるほど勉強しました。1,2学期はほとんど休みなくずっと勉強していました。
修論はほぼ4ヶ月で一気に書きます。一人の先生に2ヶ月位ついてスーパーバイズしてもらうのですが、その後は独力で書き上げます。これもハゲるかと思った。
特色
入る時点でコースがかなり細分化されていて、必須科目が半分でカリキュラムはかっちり目。
選択科目の授業の幅は広く、工学部の空間情報系との共同授業も多い。
環境マッピングと名前がついているけど、修士論文のテーマはリモートセンシングで扱う範囲全て(農業、森林、海洋、災害、社会課題、他惑星観測等々)。(私はInSARで書きましたが、友人はまだ飛んでいない衛星センサーのシミュレーションやったりしてた)
修士論文はかなり短い時間で指定文字数内で書く。現地調査等はほとんどできないので、既存論文等を使って解析中心
地理学という響きで文系的な学問を想像するかもしれないが、データサイエンスの授業も多く、プログラミングも身につく
コースによっても共同授業する学部が違います。例えば、都市論のコースを取ってる友人は建築学部(Bartlett)と共同の授業を受けていたそうです。
こんなところでしょうか。もしご質問あればいつでもどうぞ。(私が在学していたのは2019‐2020です)