2019 J2リーグ 第37節 山形vs金沢 〜ウン○を味方に〜
1.はじめに
どうも、僕です。
随分ご無沙汰の投稿になってしまいました。公私共に色々あったのでしょうがないんです。うん、そういう事にしておこう。
さて、今節も含め、今季のJ2リーグは残り6試合となりました。自動昇格からPO圏内までの熾烈な争いは、近年稀に見る大混戦という形で繰り広げられています。その中にあって、我がモンテディオ山形は自動昇格を狙える(目標はあくまでも優勝ですが)位置に付けており、今節勝利を飾る事が出来れば、自動昇格争いを一歩抜け出せるという大事な一戦でした。そう、大事な一戦だったんですが・・・
2.感想文
2−1.スターティングメンバーとシステム
両チームの初期配置は
山形:3−4−2−1
金沢:4−4−2
で試合開始です。
ですが実際は、
山形
ボール保持時:両WBが高い位置を取って3−2−5の様な形
ボール非保持時:両WB及び両シャドーが降りて5−4−1
金沢
ボール保持時:両SB及び両SHが一列上がり、クルーニーが中央、杉浦が周囲を動く2−4−3−1の様な形
ボール非保持時:基本4−4−2だが、ボールサイドへ4バックがスライドし逆サイドのSHが一列下がって5−2−3の様な形
それぞれ上記の様な形を取っていました。
2−2.前半
前半は、攻勢に出る金沢、守勢に回る山形という構図。
金沢はボール保持時、前述の通り両SHが少し内側で1列上がり、SBのオーバーラップ並びにSH自らが使うスペースを確保しつつ、単純なクロスからの空中戦ではなく、地上戦をメインに攻め込んできました。
特に目についたのは、サイドから山形陣内まで攻め込んで山形最終ラインの選手間の間隔を広げた後、山形2列目の前に位置取りするDHまで戻し、そのタイミングで山形DFラインの裏を狙うパターン。22分や35分、40分の場面などはこのパターンだったと思いますが、パスの出し手と受け手の意図が噛み合っている素晴らしい攻撃でした。山形DFラインとしても、中央のCB3人のうち1人余らせる様にしていましたが、ポジション移動した選手や大外から走り込んでくる選手らに対するマークの受け渡しに曖昧な部分が見られ、あわやという場面を作られてしまったことは反省材料です。
対して山形のボール保持時、前述の通り両WBが高い位置を取って5トップの様な形でサイドを中心に攻め込もうとしますが、金沢DFラインがボールサイドへスライドし、ボールサイドの山形WBにはSBが、山形シャドーと1トップにはそれぞれCBが、逆サイドの山形シャドーには逆サイドのSB、そして逆サイドの山形WBには逆サイドのSHが1列降りて対応。更に、DH1枚が最終ライン付近まで降りてスペースや人をカバー出来る体制を取り、ボールを受けに降りる山形シャドーらに対し前向きに守備をしてくる為、ボールキープもままならず、攻めあぐねる展開が続きます。しかし、坂元のドリブル突破などの個の突破やセットプレーで可能であれば得点狙いには行けども、交代や戦術等でこの状況を打開しようとする動きもさほど見られなかったので、前半はこのまま0−0で折り返し後半勝負というプランだったのだろうと思われます。
2−3.後半
プラン通り(?)スコアレスのまま後半を迎えた山形。後半開始直後から、徐々に山形が攻勢に出て行きます。
1トップとシャドー2人がボールを受ける際、金沢2列目の前や金沢DH脇のスペースに降りて来て金沢DFに強制的な二択(留まるか付いて行くか)を強いたり、逆サイドのシャドーがボールサイドに移動し、相対する金沢DFを釣り出してスペースを作ったり(特に坂元のポジション移動が目立ちましたが、その際坂元をマークしている沼田が付いてくる為、空いたスペースのケアにSHの加藤が金沢最終ライン深い所まで降りなければならず、結果として金沢カウンター時に加藤が最前線に加われず、金沢カウンターの威力を半減させる事にも成功しています)と、金沢DFに後手を強いる事で徐々に相手陣内へ侵入できる様になりました。
特に52分と58分の一連の攻撃は、これらの仕掛けが分かりやすく出ている場面だと思います。
まず52分、金沢左SB沼田からFW垣田へのフィードを栗山がクリアし、セカンドを古部が拾うと、大槻が金沢DH脇まで降りてボールを受けます。この時、金沢CBは大槻に付いて行かず、DHにマークを受け渡していますが、この後大槻が右サイドレーンを持ち上がり金沢DHを引き連れる事により、中央に広いスペースが生まれます。そこで坂元が大槻とスイッチして中央に入ってパスを受け、松本経由で逆サイドでフリーになっている山田へとサイドチェンジ。山田はゴール前にグラウンダーのクロスを送りますが、金沢DFにクリアされてしまいました。
次に58分、山形ビルドアップ時、松本から山田へとパスが通ったタイミングで、山岸が左サイドレーンを降り、大槻が左サイドへ寄る事で、それぞれ相対する金沢CBを釣り出します。同時に中央レーンでは坂元が金沢CB〜SB間の裏のスペースを狙って走り込み、山田から坂元へロングフィードが繋がります。結果、ペナルティエリア手前でFKを獲得します。
そして迎えた62分、山形は山岸に代えて井出を投入。この交代により、山形の攻勢は加速して行きます。
まず64分。金沢右サイドからのクロスを櫛引が収め、本田→中村と縦パスで前進します。中村から左サイドレーンに開いてフリーになっている山田へ展開すると同時に、井出が金沢右SBに寄って行き、金沢右SBと右CBに二択(金沢右SBは山田と井手どちらに対応するか、右CBには井出に付いて行くかorその場にとどまってスペースをケアするか)を迫ります。結果右SBが山田へのプレスを選択し、且つ右CBが井出に付いて行くのを躊躇した為(58分の坂元の裏への抜け出しが頭にあったので、中央のスペースを空けるのを躊躇ったものと思われます)、井出は金沢右SB裏のスペースにてフリーで縦パスを受ける事に成功。その後、金沢ゴール前に走り込んだ中村へ出したパスのリターンを受けた井出は、ここでひとつフェイント入れる事でシュートとパスの二択を迫って相手の足を止め、本田がフリーでシュートを打つためのお膳立てをします。惜しくも本田のシュートは枠を逸れましたが、この井出の一連のプレーは、技術と位置取りによって優位を作り出す分かりやすい例と言えます。
他にも、66分の井出・中村・山田・大槻が絡む旋回から金沢右SB裏のスペースへ走る山田へスルーパスを出した場面、68分の山田とのワンツーから1vs1で仕掛けて敵陣深く侵入する場面、73分の金沢右SB裏でロングフィードを受けてクロスまで持って行く場面と、井出を起点として多くの決定機を作ることが出来ていたのですが、得点すること叶わず。
逆に後半終了間際の89分、CKからの流れで、金沢DH大橋からのクロス→DF山本の見事なヘッドでゴールを許し万事休す。後半の内容が出色の出来だっただけに、非常に悔しい敗戦となりました。
3.終わりに
79分のわちゃわちゃからの立花兄弟ばりのツインシュートを含め、4回程決定機を作り出したにも関わらず、結果は0−1の敗戦。今に始まった話ではありませんが、決めるべき所で決めないとこうなるという典型的な試合だったと思います。
しかし、残り5試合、まだまだ優勝も夢ではない位置につけています。このかつてない緊張感の昇格争い、一戦必勝でJ1昇格を勝ち取りましょう。
それでは、最後までお付き合い頂き、誠にありがとうございました。