カストリ書房移転クラファン応援メッセージ・東海遊里史研究会 様
移転に際して開催したクラファンには、様々な分野から応援メッセージを頂戴しました。クラファン本文でもご紹介していますが、改めてこちらでもお伝えしたいと思います。(なおクラファン本文では五十音順にご紹介したので、こちらでは五十音逆順でご紹介します)
前回の紅子様に続いて、今回は東海遊里史研究会(Twitter)様をご紹介させて頂きます。以下頂戴したメッセージです。
東海遊里史研究会(以下、同会)は、2022年に東海地方をメインに活動するメンバーによって結成され、現在は、ことぶきさん(Twitter)、春は馬車に乗ってさん(Twitter)が活動中。同会は、2022年1月に研究誌『東海遊里史研究』を創刊して、現在は3号まで重ねるなど、短い期間に精力的に活動されています。精力的な調査はもちろんのこと、なによりも得られた知見を研究誌として惜しみなく還元している点において、同会の志の高さに感服します。
2022年1月にはカストリ書房店主の私、渡辺豪が同会トークイベントへお招きに預かり、「北前船と遊廓」というテーマで研究進捗を発表する場を頂戴しました。
翌2023年5月には、返礼の意味も込めて、同会のお二人と、同じく東海地方の在野研究者・花町太郎さん(Twitter)をお招きして、カストリ書房主催でトークイベントを開催しました。
研究誌創刊号の冒頭、次のように宣言されています。
私は、同会の問題意識が明確に表れた、この一文が大好きで、時間をおいては読み返しています。
昭和33年に罰則規定を伴って施行された売春防止法から令和5年の今、65年が経過しました。昭和33年当時、20才だった人は85才を迎えています。日本人の平均寿命を超えつつあり、同会の指摘は正鵠を射たものです。
私事ですが、前職はIT関連の仕事に就いていたため、インターネットの振る舞いについて、よく考えることがありました。ネット黎明期、少なくない人はこう考えていたのではないでしょうか? 世の中の事物・事象が遍くネット上に情報化され、便利な世の中が訪れる──
しかし、ブロードバンドが普及してからおよそ四半世紀、蓋を開けてみれば、情報はより刺激的なものに偏り、劣化を繰り返しながら複製再生産され、肝心の自分が求める情報はそれら膨大なノイズに埋もれてしまっている、そうしたこともまったく稀ではありません。
ネットで「遊廓」と検索すれば、公然と売春を行う飛田新地こと飛田料亭街など刺激のより強いものがまっさきに表示され、また同様に刺激的な造りの動画がレコメンドされてきます。これらは、ネットユーザーが自らの意志で情報を取捨選択しているようで、その実、検索エンジンを運営する会社、すなわちGoogleなどが広告収益のビジネスモデル採っていることから起きていることでもあり、お仕着せの情報の波に押し流されつつあります。
「情報の再生産」についても、私なりに考察を述べると、ここ10年ほどで少し動向が変化してきたように見受けられます。かつては本からネットに情報が再生産されていたものが、ネットで俗耳を集めた対象がむしろ本として発行される逆転現象が起きています。だけではなく、慣れ親しんだ「本」なるものを無批判に信じてしまう癖を持ち続けている私たちは、その本から、さらにネット側へ情報を再生産するという、環流が起きています。
情報社会の一側面としてのこうした弊害によって停滞しつつあった在野研究者・愛好家界隈にあって、同会の存在意義は計り知れず、今後も同会の成果である研究誌を多くの人にバトンタッチしていくお手伝いに邁進していきたいと思います。
この場を借りて、暖かいメッセージを下さったこと、改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。