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カメラの基本:露出(明るさ)の三角形

こんにちは!かっしーです。
パーティフォト(DJ、クラブ、音楽ライブ、その他イベント事)の撮影を中心に山梨近辺で活動しているカメラマンです。
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この記事では、カメラの基本となる、「露出の三角形」について解説します。
カメラに詳しい方ならご存知の方も多いと思いますが、もしまだ知らないよって方は、パーティフォトに限らず写真を撮る上での基本的かつ重要な概念ですので、是非最後まで読んでもらえたら嬉しいです。



露出(明るさ)を決める3つの要素

写真における「露出」とは、写真の明るさのことを指します。
露出は、 次の3つの要素によって決まります。

1. シャッタースピード
2. F値
3. ISO感度

「シャッタースピードは写真の"ブレ"に影響するんじゃないの?」
「F値はボケ方に影響して…」
「ISO感度はまぁ分かる。でも明るくしすぎるとノイズが出るとか何とか」

と思った方も多いと思います。
シャッタースピードも、F値も、ISO感度も、その効果は合っています。それらに加えて、それぞれが写真の明るさにも影響を与えます。
まとめると、以下のようになります。()の中の数字は例です。

1. シャッタースピード
 ・長い(1/20)   → 明るい。写真はブレの影響を受けやすい
 ・短い(1/500) → 暗い。写真はブレが少なくなる
2. F値
 ・小さい(f2.8) → 明るい。写真の背景はボケやすい
 ・大きい(f8.0) → 暗い。写真の背景はボケにくい
3. ISO感度
 ・大きい(6400)  → 明るい。ノイズが増える
 ・小さい(100) → 暗い。ノイズが少ない

※明るい・暗い、ブレやすい・にくい、等は相対的なものと考えてください。また、シャッタースピードを遅くするとなぜ明るくなるのか、F値を大きくするとなぜ暗くなるのか、といったことについてはここでは触れません。


シャッタースピード、F値、ISO感度、それぞれの明るさの関係性

シャッタースピード、F値、ISO感度が、それぞれ写真の明るさに影響を与えることが分かりました。
ここで、こう思った人もいるかもしれません。

「その1つの設定が、明るさにどれだけの量の影響を与えるのか?」
「例えば、F値を2.8から4.0にしたとき、シャッタースピードでいうといくつ数字を変えたのと同じなのか?」

それらを知るためには、まずは写真における明るさの単位を知る必要があります。
写真の明るさの単位は、"段""EV"と表現されます。どちらも同じ意味です。この記事では混乱を避けるために、"段"で統一します。
(厳密には"段"と"EV"は違うようなのですが、ここでは触れません)

"段"とは、ある基準(今の明るさ)から相対的にどれだけ明るいか(暗いか)を示します。


1段分の明るさとは?

1段明るくするとは、今の明るさからカメラに取り込む光の量を2倍にする ことを指します。
2段明るくする場合、今の明るさからカメラに取り込む光の量を4倍にする となります。1段分の光の量が2倍なので、2段分=2×2で、4倍です。
3段明るくする場合、今の明るさからカメラに取り込む光の量を8倍にする となります。1段分の光の量が2倍なので、3段分=2×2×2で、8倍です。

1段暗くするとは、今の明るさからカメラに取り込む光の量を1/2倍(半分)にする ことを指します。
2段暗くする場合、今の明るさからカメラに取り込む光の量を1/4倍にする となります。1段分の光の量が1/2倍なので、2段分=1/2 × 1/2で、1/4倍です。
3段暗くする場合、今の明るさからカメラに取り込む光の量を1/8倍にする となります。1段分の光の量が1/2倍なので、3段分=1/2 × 1/2 × 1/2で、1/8倍です。

つまり、カメラに取り込む光の量を2倍にすると1段分明るく、1/2倍にすると1段分暗くすることができます。


シャッタースピードと"段"の関係

シャッタースピードで光の量を2倍または1/2倍するには、シャッタースピードの時間を2倍または1/2倍すればよいです。

例えば、
シャッタースピードが1/100の状態から…
 1段分明るくしたい → 1/50にする
 1段分暗くしたい  → 1/200にする
シャッタースピードが1/500の状態から…
 1段分明るくしたい → 1/250にする
 1段分暗くしたい  → 1/1000にする

シャッタースピードによる"段"は、
・分母の数字が1/2倍になれば1段明るくなる
・分母の数字が2倍になれば1段暗くなる
と覚えても良いです。
代表的なシャッタースピードを1段ごとに並べると、次のようになります。
(明) 2、1、0.5、1/4、1/8、1/15、1/30、1/60・・・ (暗)


F値と"段"の関係

F値で光の量を2倍または1/2倍するには、F値を√2倍または1/√2倍すればよいです。

例えば、
F値が4.0の状態から…
 1段分明るくしたい → 2.8にする
 1段分暗くしたい  → 5.6にする
F値が8.0の状態から…
 1段分明るくしたい → 5.6にする
 1段分暗くしたい  → 11にする

F値による"段"は、シャッタースピードやISO感度に比べ、設定上の数字の変化が少し直感的ではないです。詳しい話はここでは触れません。
代表的なF値を1段ごとに並べると、次のようになります。
(明) F2.8、F4.0、F5.6、F8.0、F11、F16、・・・ (暗)


ISO感度と"段"の関係

ISO感度で光の量を2倍または1/2倍するには、ISO感度の値を2倍または1/2倍すればよいです。

例えば、
ISO感度が200の状態から…
 1段分明るくしたい → 400にする
 1段分暗くしたい  → 100にする
ISO感度が1600の状態から…
 1段分明るくしたい → 3200にする
 1段分暗くしたい  → 800にする

ISO感度による"段"は、
・数字が2倍になれば1段明るくなる
・数字が1/2倍になれば1段暗くなる
と覚えても良いです。
代表的なISO感度を1段ごとに並べると、次のようになります。
(暗) 100、200、400、800、1600、3200、・・・ (明)


"段"はまとめられる

明るさを1段分変えるには、シャッタースピード、F値、ISO感度のいずれかを1段分変えればいいことが分かりました。
ここまで読んで気づいた方もいるかもしれませんが、変えるのは1つである必要はありません。2つ変えればそれぞれの段分、明るさが変わります。

例1)
シャッタースピードを1段分明るく、F値を1段分明るくした場合、元の状態から2段分明るくなることになります。

元の状態から2段分明るくなったことに加えて、シャッタースピードが長くなっているのでブレの影響をより受けやすく、F値が小さくなっているため背景がよりボケる、という変化もあります。

例2)
シャッタースピードを2段分明るく、F値を1段分暗く、ISO感度を1段分暗くした場合、元の状態から明るさは変わらないことになります。

元の状態から明るさは変わりませんが、シャッタースピードが長くなっているのでブレの影響をより受けやすく、F値が大きくなっているので背景がよりボケにくく、ISO感度が小さくなっているのでよりノイズが減少している、という変化もあります。


以上のように、露出(写真の明るさ)は、"段"という単位を軸に、シャッタースピード、F値、ISO感度の3つの要素が組み合わさって決まることから、露出の三角形と表現されます。


おわりに

記事の内容は以上となります。
今回は内容的に文字や数字ばかりの記事となってしまいましたが、カメラの理解に少しでも役立ってくれたら幸いです。

露出と"段"という部分にフォーカスしてかなり端折った部分があるので、もしより詳しい原理を知りたい方は「カメラ  露出  三角形」などで調べてみてください。きっと、カメラを扱うのがより楽しくなると思います。

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ではまた!


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