この石1
土日は行楽客で賑わう、青梅市内多摩川上の「釜の淵公園」。
多摩川中流域といえ、上部の青梅辺りでは、丸型の石が多い。
特に、粉を吹いたような白っぽい、石灰質を含む石が目立つ。
石灰質の石を同様の石に当ててみると、当たり具合が柔らかいことに気づく。
チャート等の硬い石とは明らかに異なり、石同士を当てた時は、まるで石が蝋紙に包まれているような感触がある。
その日そこで見つけた石は、Φ(ファイ)の記号と非常によく似た模様があった。
最初は蛇か猫の「目」のように見え、咄嗟に手に取ると直線模様が円の模様を貫いていた。
石を裏返すと、直線模様だけが、石を斜めに貫いていた。
それぞれの模様を交互に見ていると、かつては白い模様が隠れるほど石が大きく、その中では土星の環が二つ直角に交わっているような状態だったのかもしれない、と想像できた。
しかし残念なことに、その特異な模様以外は、手のひらに収まる、やや平たい、特徴に乏しいサイズと形であった。
そう、石花として使う場合、石を重ねる際の材料にはなるかもしれないが、その用途で模様を活かすのは困難だ。トップ石として使うには、河原のスケールでは小さすぎる。
その石は手に持ったまま、再びもっと大きめの石を物色するため踵を返した。
いつの間にかその石「Φ石」は、俺の尻ポケットに収まっていた。
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