生粋のダメ女好き、小林椿ちゃんに幸せになってほしい:「雨でも晴れでも」感想

全世界70億の百合作品ファンのみなさま〜。どうも、輿水畏子(こしみず かしこ)です。

今年も残すところあと一月となり、一年の総まとめとしてさまざまなことが忙しくなってくる時期かと思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は今月も初っ端から狂ったように百合作品を買い漁っています。平常運転です。

今回は、買い漁った中の一作、あらた伊里先生の百合漫画「雨でも晴れでも」の感想です。というよりも私の切なる願いです。「雨でも晴れでも」に登場する小林椿ちゃんに本当に幸せになって欲しい、小林椿ちゃんの恋人である史上最悪のダメ女こと藤代ましろに天罰が落ちてほしい。みんなもそう思うよな。そういう願いを空に放たんとするための記事です。どうか最後までお付き合いください。

「雨でも晴れでも」って?

そもそも本作を知らない方のために、「雨でも晴れでも」のあらすじを引用します。

雨でも晴れでも、雪の降る日も――ほかの誰よりあなたといたい。

神社の娘で方言がコンプレックスな山田 美古都と、
仏頂面で周囲から恐れられる生徒会役員、猫崎 蓮。
全寮制の女子校”有頂天高校”で出会った彼女たちは、
毎日のように放課後をふたりで過ごしている。

ふたりの共通点は、ほかに友達がいないこと。
そしてお互いのことだけを、特別な友達だと考えていること。

「猫崎さんがわたしを見つけてくれた時ーー世界に色がついたんよ」
「巫女装束だって関西弁だって、美古都さんの全部全部…かわいいって思ってたわ…」

ひとクセもふたクセもある少女たちの青春と心の交歓を描いた
百合恋愛コメディ

上記の通り、主人公の山田 美古都と猫崎 蓮を中心とした学園百合コメディです。
学校にうまく馴染めず放課後一人で神社で過ごしていた美古都と、そんな美古都のために職権濫用で「巫女部」なる部活を作り上げ、美古都がゆっくりと過ごせる場所を作っていた蓮。
そんな二人の元へ、神社を部室として利用しようと目論んだ木端部活道所属の辺銀 律と獅子丸 愛梨(互いに好き合っている)、熊倉 タクヤと兎田 夜空(付き合っている)が押しかけ、お互いの部活を融合させて有頂天部を結成。わちゃわちゃに活動していくうちに、美古都と蓮の距離感も変わっていく……というお話です。

あらた伊里先生の漫画は「総合タワーリシチ」と「壊れていてもかまいません」を読了済みなのですが、今作もこれらの作品と同様、主役カップリング以外のカップリングが複数組登場し、時に主役たちそっちのけでイチャイチャし始めるので読んでいて非常に満足感が高いですし、私のような「百合作品のメインカプよりサブカプの方が好き勝手してて好きになりやすい」タイプの方にもおすすめの作品です。

また、「雨でも晴れでも」はあらた伊里先生の前作、「とどのつまり有頂天」のリメイクとなっています。もちろん有頂天も読みました。大まかなキャラや導入は同じですが、あらた伊里先生曰く「有頂天はコメディ寄り、雨でも晴れでもはしっとりより」になっているとのことで、二通りの味わいを楽しめる素敵な作品に仕上がっているので、前作と合わせて是非読んでみてください!!!!

じゃあ小林椿ちゃんって?

さて、ここまでのあらすじ紹介で私が記事タイトルにあげた小林椿ちゃんは登場しませんでした。前述の6名がメインキャラだとすると、椿ちゃんはサブレギュラーぐらいの立ち位置の子です(「有頂天」と比べると今作ではかなり出番が増えてる)。主人公の一人である蓮のルームメイトで、蓮と同じく生徒会役員をやっており、美古都以外には感情があまり動かない蓮に対するツッコミ役をやりつつ、友人として蓮のことをかなり好いており気にかけている、というキャラクターです。

ここまでだと椿ちゃんのことは本作の貴重な常識人枠であるくらいにしか見えません。むしろ、私が前の記事で書いた、美古都と蓮に対する「百合の負けヒロイン」ポジの子にすら見え、へ〜輿水畏子が好きそう、くらいに思えるかもしれません。

しかし椿ちゃんは一つ、大きな爆弾を抱えています。
それは、有頂天高校の教員、藤白ましろと椿ちゃんが恋仲であるということ。そして、藤白ましろがマジで最悪なダメ女であるということです。

藤白ましろという本当に最悪な女

さて、ここで登場した藤白ましろさん。これがもう本作のダメ要素を全て一手に担っていると言っても過言ではないくらいに最低最悪のダメ人間であり、私はこんな女と付き合っている椿ちゃんがみていて心苦しいんです!!!!

以下、なぜそこまで藤白ましろにキレるのか、彼女の悪行について言及していきます。

・学校で椿ちゃんを空き教室に呼び出してはダル絡みしたりそれ以上の行為に及んでいる描写が多数ある
・椿ちゃんが蓮と電話してるのに嫉妬して電話中の椿ちゃんの耳を舐める
・朝から椿ちゃんにLINEでダル絡みし始める
・職務中に普通に飲酒している
・椿ちゃんのストラップに盗聴器を仕込んでいる(一応訳ありで他人から依頼されてやっているという描写はあるものの、本人は「おもしろいですけど」と言ってる)
・女同士で付き合ってる生徒の噂に対して「何が問題?女同士だったら子供できる心配ないし 若者はいっぱい遊べばいいんじゃない?」と発言する。
・上記の発言をしながら椿ちゃんの胸を揉む(学校で)
・椿ちゃんに告白された時の返事が「将来養ってくれそう❤️ 先行投資だ〜」

以上が2巻までに判明した藤白ましろの言動です。自分で書いてて怖くなってきました。やばすぎでしょこの女。そもそも教師が学生と付き合ってる時点でやばいだろというのはおっしゃる通りなのですが、この二人は藤白ましろが教師になる前から付き合ってたのでそこはギリギリ仕方ないといえばそうなるでしょうか。(まあその前から中学生と大学生で付き合ってたのはちょいやばいけども)

ちなみにお察しの通り藤白ましろは喫煙者でもあるのですが、椿ちゃんの前では吸わないようにしてるらしいです。「大切な人の前ではタバコを吸わない喫煙者キャラ」が好きな私にとってはぐぬぬぬ……と歯を食いしばってしまういい情報でしたが、それだけで許されると思うなよ。

そのほかにも初デートの時にきちんとした格好で行ったら椿ちゃんが自分の子供っぽさを実感して落ち込んでしまったことを察し、次のデートではわざとゆるい格好で出かけたりと、言動の細かいところで椿ちゃんを気遣っているのが察せられてちょっと絆されそうになります。でも胸は揉むなよマジで。

こんな女に捕まってる椿ちゃんのことがもはや不憫になってくるレベルです。ですが、私のこんな哀れみは椿ちゃんには届きません。なぜならば……

椿ちゃんが死ぬほど藤白ましろのことを愛してるからです。

椿ちゃんの愛が見てて辛い

そう!!!!!椿ちゃんはこんな藤白ましろのことが大好きなんです!!!!!それがもう見てて辛い!!!!!!

そもそも、この二人が付き合い始めたのも、椿ちゃんの家庭教師をしていた大学生時代の藤白ましろに対して、椿ちゃんが「愛してる」と告白したからであり、ことの始まりは椿ちゃんなんです。

二人が有頂天高校で生徒と教師の禁断の愛をかましてるのも、藤白ましろを椿ちゃんが追いかけて有頂天高校に入学したためです。有頂天高校に赴任が決まり、今のままだと遠距離恋愛になってしまうと告げた上で、藤白ましろは椿ちゃんに有頂天高校入学を勧めます。「じゃあな 待ってるぜ」と声をかけ去る藤白ましろに対し、椿ちゃんは号泣しながら「先生が私のこと振り回しながらもしっかり手を握ってくれてるのが好きすぎて困る。頭おかしくなるくらいうれしい」と独白します。椿ちゃん、本当に藤白ましろのことを愛してる。

このように、椿ちゃんの幸せは完全に藤白ましろというダメ女と共にあるんです。だから私にできることはもうありません。ただ椿ちゃんが幸せにあってほしいと切に願うだけです。

おい藤白ましろお前!!!!!!こんだけ愛されてるんだから椿ちゃんのこと大切にしろ!!!!!!自分なりの方法で大切にしてるのはわかったからそうじゃなくて学校で胸揉んだり耳舐めたりするな!!!!!!!!!!

生粋のダメ女のダメさを愛してしまった女、小林椿ちゃんの未来はどっちだ。それが少しでも明るいものであることを願ってやみません。「雨でも晴れでも」、続きが楽しみですね。

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