『ユンヒへ』見てきました。

どうも、輿水畏子(こしみず かしこ)です。

本日、韓国映画の『ユンヒへ』を視聴してきました。日韓の女性二人を描くラブストーリーということで前々から気になっていたので、日本で公開されたこのタイミングで見に行ったのですが、期待を裏切らない名作でした。今回は『ユンヒへ』の感想を軽くまとめておきたいと思います。

まず、『ユンヒへ』は日韓の女性同士のラブストーリーを描くクィア映画であるという知識だけ持って試聴に臨んだのですが、実際映画を通して見ると女性同士のラブストーリー要素が大々的にメインとなっていたわけではありませんでした。作品のメインを務めるユンヒとジュン、二人の愛のお話しはどちらかと言えば物語の根底に静かに、しかし確かに根付いている骨子のように、ところどころ要素を見せるように描かれていました。そんな二人の在り方や、恋してた頃の様子、そして別れてから20年が経った今の想いを画面の端々に魅せるお話は、見ていて切なくもあり、儚さに胸を打たれるようでもあり、でも確かに愛を感じられて温かくなるようでした。

また、ユンヒとジュンの愛だけでなく、今作の中ではジュンとジュンの叔母の家族愛であったり、ユンヒと娘のセボムの家族愛であったり、セボムと瀬ボムの彼氏の恋愛模様であったりとさまざまな愛の形が描かれていたのも印象的でした。描写が片手落ちでないというか、さまざまな愛情のあり方を経て、ユンヒとジュンの愛を確かめられるような良い構図だったと思います。

そして愛と同様に「生きづらさ」の問題も大きなテーマとして描かれていたように思います。それはユンヒやジュンのような独身女性の生きづらさであったり、同性愛者であることの生きづらさや苦しみもきちんと描かれており、テーマから逃げない真摯な描写だったと思います。そういった生きづらさに対面するユンヒとジュンがタバコを吸う背中はとても心細く見えましたが、作中何度も繰り返された「雪はいつやむのかしら」というフレーズと共に、ユンヒが新しい道へと歩き出すラストシーンは生きづらさの雪解けを描いているんだと信じています。

何より娘のセボムの彼氏が面白いキャラクターでしたね。いい味出してたな彼。結構娘のセボムと彼氏のいちゃつきや先行きに悩む姿が出てきて、「なんでこの二人がこんなにフィーチャーされるんだろう」と思うところもありましたが、娘のセボムの影響で彼氏がタバコを覚えるシーンを見て「もしかするとこの二人は若い頃のユンヒとジュンの関係性をリフレインしているのかもしれない」と思いました。ジュンにタバコを教えたのがおそらくユンヒだったっぽかったり(逆だったかも)、ジュンの写真をユンヒがとっていたのが現代ではセボムの写真を彼氏が撮っていたり。そういうふうに二人の振る舞いをユンヒとジュンに重ねて見ると、かつて仲睦まじく触れ合っていた二人の姿も思い浮かぶようでとても救われる気持ちになりました。

私が一番好きなのはやはりラストシーンです。ジュンからユンヒへの手紙から始まり、ユンヒからジュンへの手紙で終わる構成といい、あけすけでなくともお互いがお互いをいまだにちゃんと思いあってることがわかる作劇の1番の高まりがラストシーンだったともいます。最後の余韻まで含めてとてもいい映画でした。

そして何よりユンヒとジュンがタバコ吸ってる姿がカッコ良すぎる!!!!二人ともクールビューティ系の美人なのでタバコ吸ってる姿がめちゃくちゃ似合ってましたね。もちろんタバコ吸う姿はちょっと哀愁を漂わせるシーンが多かったのですが、それでも見てて本当にかっけえな……って思っちゃうくらいには良かったので、とりあえずかっこいい女の人がタバコ吸ってる姿見たいだけでも見る価値がある映画だと思います。

総じてとても面白く、そして今までにない映画体験をした貴重な映画でした。韓国発で話題になったクィア映画を見るという機会もなかなか珍しいでしょうし、とてもいい経験ができたと思います。まだ映画を見れてないという方は是非機会があれば見てみてほしいです。それでは。

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