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日記/2024/11/08/悪夢からのエール
最近よく夢を見る。そしてそれは、きまって同じ夢で悪夢なんだ。
夢の中で、ぼくはスペインのサラマンカという街を彷徨う。その街はぼくにとって思い出の場所、というか、思い出なんて単語では語りきれないほど、ぼくの人格形成に大きな影響を与えた街なんだ。
その街を、夢の中とはいえ歩いている。幸せなはずだ。しかし、苦しい。あの日を過ごした端の近くのアパート、飲んだくれの友人と入り浸っていた飲み屋、大学、散歩道、カテドラル、すべてにたどり着くことができない。
その土地に帰ったならば絶対に会うはずの恩人にも会えない。プラサマジョールで合流してハグをして一緒にワインで乾杯して、モルーチャ牛の串焼きを食べて、何件かハシゴをして、バカでかいカクテル風のなにかで〆たいのに、会えない。
意識が混濁とするなかで、ひとり歩き続ける。歩き疲れて人目も憚らず泣きじゃくりそうになる。夜だから街灯が涙と被さり視界がゆがむ。諦めかけるタイミングで、ふと目が覚める。
この夢がなにを表しているのかはわからない。でも、ひとつだけ言えることがある。それはいまのぼくも、目的がわからず彷徨うような人生の途次にいる。
どこかあの街にさえ戻れば、人生をやり直せる、人生が好転する、生命のトルクが回り始めると、心のなかで思う自分に、あの街は軽く頬をつねってくれているのかもしれない。「もう少しだけ、頑張れ。いまのお前にこの街は似合わない」と。
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