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気象大学校合格体験記

気象大学校の受験に関する情報は塾や予備校にもネット上にも少ないので、この記事が少しでも気象大学校を志望していらっしゃる方の足しになればなと思い、私の経験をもとに主に1浪生のとき(現役時と合わせて2回受験しました)にしていた試験の対策や勉強法について書かせていただきました。ただ、私が受験したのは数年前で、記事の情報は最新のものではない可能性があることはご了承ください。


まず気象大学校がどのような学校かわからない方は、大学校のホームページ↓をご覧になってください。

気象大学校の試験は1次試験(基礎能力試験、学科試験(多肢選択式、記述式)、作文試験)と2次試験(人物試験、身体検査)から構成されています。下記ではそれぞれの詳細と私がした対策を書いています。

合格者の決定方法

まず、気象大学校の合格を狙うにあたって、合格者の決定方法をチェックしておくのはとても重要なことです。気象大学校の得点の出し方は少し特殊で、素点とは別の標準点(偏差値みたいなもの)という他受験生との相対評価で合否が決定されます。詳しくは下記PDF(人事院ホームページより)を参照してください。
https://www.jinji.go.jp/saiyo/siken/sennmonnsyoku_kousotsu/kidai/kettei33.pdf

加えて、1次試験では作文試験を除く各科目ごとに基準点が設定されており(上記PDFに記載)、これを1科目でも下回ると自動的に不合格となります。なのであまり苦手な分野を作らない方が良いかと思います。
また1次試験、2次試験を突破して最終合格者になったとしても100%気象大学校に入学できるとは限りません。気象大学校の最終合格者の人数は他大学(東大や京大など)への進学などによる入学辞退者がいることを加味して決定されています。辞退者が大学校側の予想よりも少なく、一番下位の席次の合格者に採用枠が回ってくる前に入学希望者が定員に達した場合、残存者は入学することができないのです。つまり、最終合格者発表の時点で採用予定者数よりも席次が下位の合格者は補欠扱いとなります。調べてみると、残存者がいる年度もあれば、いない年度もありばらばらです。

基礎能力試験

続いて、各試験ごとに私がしていた対策を紹介させていただきます。
まず、基礎能力試験の内容は文章理解、数的処理、知識問題に大きく分けることができ、解答はマーク式です。公務員試験(高卒程度)の教養試験とほぼ同じですので、私は公務員試験対策の通信講座を取りました。書店で公務員試験対策のテキストを購入するのであれば、教科ごとに1冊ずつ知識がまとまっているものをおすすめします。(高校の教科書を読むのが良いとおっしゃる方もいらっしゃいますが、公務員試験に特化した教材で勉強する方が効率的だと私は思います。)
数的処理は夏ごろにぱぱっとコツを抑えながら演習し、知識系は直前の1ヶ月半でつめこみました。知識は「浅く、広く」がポイントです。膨大な量を要領よく頭に入れること、そしてあまり細かいことは問われないので深追いしすぎないことが重要です。
過去問を解けば感じると思うのですが、基礎能力試験の試験時間(90分)は、問題の内容や量からするとかなり短いです。私の場合は特に数的処理の問題で時間を取られるタイプだったので、知識問題は瞬殺できるようになるまで対策しました。

気象大学校が第一志望なら、基礎能力試験の対策もきちんとすることをおすすめします。私が気象大学校に合格できたことには、基礎能力試験でかなり点数を取れたことが大きく影響していると思っています。また、現役時の敗因もこの科目の対策を少し疎かにしてしまったことだと思います。きちんと対策をすることをおすすめする理由は、先述した気象大学校の合格者の決定方法にあります。基礎能力試験は素点の満点が40点と、学科試験(記述式)の各教科(200点満点)に比べてかなり低い上に配点比率が学科試験(記述式)の各教科よりも高いので、素点1点の差が記述式よりも合否に大きく響いてしまうのです。逆に言えば、ここで点数を稼げば、気象大学校が第一志望でなく他大学にはない基礎能力試験の対策にそこまで時間を割けなかった受験生に対してアドバンテージを取ることができます。

学科試験(多肢選択式)

この科目も基礎能力試験同様マーク式で、素点の満点が39点と低いので、1点の差が合否に大きく影響します。ただ問題はセンター試験レベルで、教科も学科試験(記述式)と同じ英語・数学・物理なので、過去問を解きながら時間配分を考える以外には特に対策はしませんでした。試験時間も3時間とかなりゆとりがあり、落ち着いて解けば絶対に正解できる問題ばかりなので、焦らずに丁寧に解くことが重要です。

学科試験(記述式)

この科目は各教科素点200点満点、試験時間は80分です。過去問を解いてみて、ここ何年か出題されている単元が各教科で決まっていると思ったので、浪人時の特に直前期(10月)はその単元を重点的に学習しました。直前期以外(3~9月)は普通に予備校の授業(東工大コース)に出席し、他大学志望者と一緒に勉強していました。具体的な傾向と学習方法を教科ごとに下記にまとめます。

英語

長文が3題与えられますが、過去問を解いている限りはほとんどの設問が和訳または英訳という印象でしたので、その対策に重きを置きました。それ以外の設問でも文法や語法、単語の意味が直接問われることはないのですが、英語で答えさせる問題が数題あったのでとにかく英語のセンテンスが正しく書けるように練習しました。使っていた教材は『英作文基本300選(駿台文庫)』と予備校のテキストです。また、『英熟語ターゲット1000(旺文社)』を直前期に2周ほどしました。

数学

ここ数年は毎年第1問 数列(と極限)、第2問 図形、第3問 微積分という感じで出題されていました。奇抜な発想が必要であったり、手も足も出ないような問題が並んでいるというよりかは、標準程度のレベルの問題が多い印象です。しかし、量的に誰もが試験時間内に全問完答できる余裕はないと思います。なので本番では標準レベルの問題をどこまで正確にたくさん解くかが鍵になります。そこで対策としては、背伸びして難しい問題ばかりを解くのではなく、基礎をしっかりと固めることが必要だと思い、それには私の通っていた予備校(S台)の前期のテキストがちょうどよかったのでその当該範囲を丁寧に復習しました。また、せっかく答えを出せても記述で点数を引かれるのはもったいないので、普段から問題を解くときに論理的な答案を記述する練習をしておくことも大切だと思います。ただ、採点について実際のところは詳しくわからないのですが、数学に関してはかなり甘めにつけられていると感じました。私が試験場で解答した量は全体の6割ほど(1完2半)でしたが、素点は75%ほど取れていました。

物理

物理は、私が受験した年までは毎年第1問 力学、第2問 熱、第3問 電磁気という形式で出題されていました。物理の試験対策は、予備校の授業の復習をきっちりすることに力を注ぎました。復習する際は、いつも基本法則に立ち返ってもう一度自分で問題を考えるようにしていました。公式を当てはめる勉強ではなく、基本法則(運動方程式や熱力学第1法則など)からどのように考えていくのかを勉強すると、どんな設定でも解けるようになるはずだと思います。

作文試験

作文試験では横罫線が入っているA4の紙を1枚渡され、字数制限などはなく50分間課題について好きなだけ自分の主張を書くことができ、表に収まらない場合は裏まで書くことが許されていました。私がした対策としては、50分を計りながら何年分か自分で書いてみて、そのうちの2年分を予備校の教務の方に見ていただきました。数年分やっているうちに時間の感覚をつかむことができ、50分間で自分の言いたいことも表現できるようになりました。また、問題を見たらすぐに文章を書き始めるのではなく、最初の5分ほどで簡単にマインドマップを描くようにしていました。作文試験の対策をまったくしないよりかは、数年分だけでも事前に練習しておいたほうが本番での自信につながると思います。

2次試験

2次試験の内容は人物検査(個人面接と性格検査)と身体検査で、書類の提出→性格検査→身体検査→個人面接の順に行われました。服装の指定は特にありませんでしたが、私が受験した試験会場には高校の制服やスーツ以外の服を着た受験生はいませんでした。
身体検査の前に身体の状態についてのアンケートを記入したのですが、そこでBCGワクチンの接種状況(いつ頃接種したかまで)とツベルクリン反応の結果について記入する欄がありました。わからない場合は「不明」という欄に〇をつければ問題ないそうなのですが(私はそうしました)、心配であれば事前に確認してから2次試験に向かうとよいでしょう。
性格検査は、15分間で100個の問題に「はい」か「いいえ」で答えるマーク式の簡単なものでした。
身体検査は、試験場からマイクロバスで移動し、近くの病院で胸部のレントゲンを撮り、診察をして終わりました。
面接は、事前に書いた面接カードに沿って3人の面接官と15~20分間ほど行いました。面接カードに書いたことを2次試験までに自分でもよーく考えておけば、面接官の質問にスムーズに答えられると思います。ただ、もし答えにくい質問をされた場合は、焦らずに「少し考える時間をください」などと断り、落ち着いて回答すると良いでしょう。面接官は、回答内容と同様に、受け答えの態度もかなり重要視しているようです。
受験番号にもよりますが、面接までの間に長くて3時間以上待たされることもあるので、何か時間をつぶせる勉強道具などを持っていくことをおすすめします(ちなみに私は面接の最初で待ち時間何をしていたか聞かれました)。会場に着いてからは携帯電話等の操作はほとんどできないので気をつけてください。

合格者発表・得点開示

得点開示は2次試験の合格発表(最終合格者発表)と同じ日にされました。席次は最終合格者の合格通知書に記載されていました。私は最終合格者発表の時点で採用予定者数内の席次だったので、採用内定通知が合格通知書の次の日に他の書類と一緒に届きました。合格最低点は年度によって違うようなのですが、私が受験した年は1次合格最低点は595点、最終合格最低点は620点でした。参考までに私の成績を下の図にあげておきます。席次は34名中12番でした。各試験の素点の満点を再掲すると、基礎能力試験は40点、学科試験(多肢選択式)は39点、学科試験(記述式)は各200点です。

1次試験得点開示

補足

私は記述式の模試では気象大学校はずっとB~D判定で、恥ずかしながらA判定はとったことありませんでしたが、なんとか正規合格することができました。気象大学校は志望者や受験者が少ないので、模試の判定はあまりあてにならないと思います。ただ、毎年東大・京大を含む旧帝大や東工大志望者などが併願校として受験しており、気大生の中には東大や京大を蹴って入学してきた人もざらにいるので、そのような人たちに負けないようにする努力は必要だと思います。

以上が試験の詳細と私がした対策です。最後まで読んでくださりありがとうございました。この記事が少し手もお役に立てれば幸いです。皆さんの合格を心からお祈りしています。

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