アイデアの湧く場所「三上」と「三下」
三上(さんじょう)という言葉がある。
「アイデアの湧く3つの場所」を指している。
これを唱えたのは欧陽脩(オウヨウシュウ)さんという中国の昔の文学者/政治家らしい。
1007~1072年の人ということで随分と古い言葉である。
(この時代にしては結構長生きで驚き)
(あと伝えたいことをわかりやすく3つにまとめている点から圧倒的有能さが伺えてしまう)
さて、この話の面白いところは「アイデアの思いつく場所は現代でも大差ない」という点だ。
例えば”馬上”は現代なら車が当てはまるだろう。
ちなみに僕は車には乗らないが、クロスバイクに乗っている時驚くほどアイデアが出る。
おかげでメモに手間取り長い間走行を維持できない。
音声入力のメモとか導入したい。
”枕上”は言わずもがな、布団の中に入っている時だ。
ウトウトしていると何かしら思いついたりする。
そのためクリエイターは枕元にメモ帳を置いておく人が多いと聞く。
また「夢の中で革命的なアイデアを思いつきすぐにメモを取った。翌朝メモを読んだら超つまらないか意味不明」というのは枕元メモあるあるだ。
最後に”厠上”だ。
ふと疑問に思ったのだが、この時代のトイレはどういうモノだったのだろう。
中国のトイレは和式?洋式?
中華式はどのような形状が採用されていたのだろうか。
仮に洋式のようにゆっくり座れるタイプだったとしても、時代は1000年代初頭。
この時代に水洗トイレは無かったはずだし、ゆっくりとくつろぐにしては衛生面が気がかりだ。
とはいえ65歳まで生きた人であることを考えると、あるいは水洗並みに衛生面が発達していた可能性もあるのかもしれない……。
考えても見てほしい。
織田信長も「人生五十年」と舞っていたし(元ネタは能だが)、日本の平均寿命は戦後まで50歳を超えられなかったそうな。
その中で65歳まで生きられるとはなかなかすごいことだ。
医学が未熟な中で長く生きるには衛生面を徹底するはずだ。
もしかすると贅の限りを尽くしてトイレ「便座あたため係」「トイレットペーパー係」「水洗係」などが居たかもしれない……。
──閑話休題──
トイレ事情が気になりすぎて本題から逸れてしまった……。
そう、三上とは現代でも通用するという話がしたかったのだが、それとは別に僕がオリジナルで作った「三下」という説も提唱したい。
(”三下”ってなんかバカにしてるみたいだな……。)
今即興で考えたがこんな感じだろうか。
▼傘の下
主に雨の日を総じて指す。
傘に受けた雨音が傘の内側に反響する音だったり、アスファルトや地面にザザーと膜のように鳴り続ける音だったり、大粒のまばらな雨が傘や屋根に当たる不規則な音だったり。
ヒーリングミュージックにもあるように、雨の音は人の心を落ち着けてくれる。
それに傘を指して片手が塞がっていたり、雨宿りで手持ち無沙汰だったりと、やることがないor自由度の低い状態がアイデアのチャンスなのかもしれない。
▼シャワーの下
シャワー、とんでもなくアイデア出てくるあるある。
特に髪を洗い流している時の効果が凄まじい。
さっきの雨音の話みたいな状態を、肌で直に感じているから効果倍増なのだろうか。
ちなみにスガシカオはお風呂場にICレコーダーを置いているらしい。
(あとトイレにも)
一流アーティストのお墨付きというわけだ。
▼換気扇の下
これは僕が喫煙者だから。
この時スマホとかを触っていてはいけない。
純粋に「煙草を吸うだけの時間」でなくては。
特に夜がいい。
静かな深夜。
換気扇の音だけがカラカラと聴こえるくらいがちょうどいい。
自分の煙草がジリリと燃焼する音が聴こえるほど静かだと尚良い。
そういう時にアイデアが湧いてくる。
さて、色々語ったが、個人的には『音』がかなり重要な要素の気がしている。
少なくとも僕が考えた”三下”は全て音が重要な役割をしている。
雨音・シャワー・換気扇は前述の通りだし、馬上というのもパカラッパカラッと小気味いい音がリズミカルに響いていたんじゃないかと思う。
尻切れだが今日はこの辺で。
フロー状態やマインドフルネスと関係があると思うが、これ以上はめちゃめちゃ長くなってしまうのでそれはまた別の記事で。