博物館は研究機関

教育実習は死ぬほど行きたくなかったが、博物館実習は死ぬほど楽しかった。

まず、定時に始まり、定時に終わる

一緒に参加している人たちの覇気も違う

あの、教育実習の「ハイッ! なんでもやらせていただきます! すばらしい経験をさせていただきます!」みたいな、むやみやたらの勢いはゼロ。

大人数受け入れているところだったため、ガッツリ学芸員の仕事をするのではなく、どちらかというとお客さんモードだったのだろう。

閑話休題。

座学と実習体験が半々くらいで、大学の講義と重複しているものも多かったため、物足りない部分も多かったが、個人的には印象に残っている言葉がある。

「学芸員は専門職です。知らないことを知らないと認める必要はありますが、それを楯にしてはいけません」

まあ、当然といえば当然の話。

架空の企画を作って、みんなで持ち寄り、発表し合い、学芸員からコメントをもらう時のことだ。

ある学生が言った。(私と違う大学だと信じたい)

「このことについてあまり知らなかったけど、だからこそ広い視野を持って資料を選べました」

さっきの言葉は、このセリフに対しての、言葉だ。

あまり知らないのなら、それは広い視野ではない。とんでもなく狭い視野だ。

知らないからいいや、自分の知っている範囲の中で、ちょこちょこっと調べて企画しよう。ではダメ。

先生の言葉はそれまでと打って変わってきつめの言葉だったし、私に向けての言葉ではなかったが、私はそれが嬉しかった。

あ、学芸員はやっぱり研究職なんだな、と思えたからだ。

もちろん、知らないままでよしとするような人が、学芸員になろうとする、という衝撃はあったが。(私と同じ大学ではないと信じたい)

でも、少なくとも、自分できちんと研究をして、より良い展示を、より良い研究成果を伝えたいと思っているそんな学芸員に多少でも教えていただけただけでも、5000円払って行って良かったなと思う。

同時に、やはり、同じ教育機関でも、学校と博物館と実習に行って、性質が大きく異なると思った。

学校は人格形成に重きが置かれている印象だったが、博物館も「教育、普及」の目標はあるものの、博物館の基盤となるのはやはり研究なのだろう。(少なくとも私の行った館では)

また、企画展などについて、これもまた自分も主張を展示品を使ってどのように主張するか、ということだともおっしゃっていた。

まさに、具体的な証拠でもって主張、見解をしめす「研究」なのだな、と思った。

まあ、教育実習ほどのおもしろエピソードは生まれなかったが、(同時に、教育実習ほど辛くもなかったが)博物館を再認識できたことは大きな収穫だろう。

また、お客さん扱いされながら思った。博物館は接客業なのだな、と。

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