シャニマス『我儘なまま』振り返り②:Day2観賞直後の感想
ついに終わってしまいました。283PRODUCTION SOLO PERFORMANCE LIVE『我儘なまま』。4月の5thライブで開催発表があってからというもの、3か月以上楽しみにし、披露されるソロ曲を何度も聴き込み歌詞を読み込み、考察や予想などを書き、名刺も作り、このライブのために日々を送っていたと言っても過言ではありません。
そのライブですが……端的に言って最高でした。いや、単にライブとは言えません。舞台というかミュージカルのようなストーリー性を持って構成された脚本に朗読劇で本線となる設定や人物関係を描きつつ、シャニマスの楽曲をストーリーに当てはめる(かつソロ曲は全曲使用しなければならない)。各楽曲が含有できる解釈を完全に理解した上で多次元のパズルを組み立て、意味の通る物語を作る。そんな緻密さを感じました。そういう意味では、誤解を恐れずに言えばストーリーの完成度としては圧倒的にDay2の方が上だという感想を持っています。楽曲とストーリーの嚙み合い方が恐ろしいまでに完璧で、過不足の無い美しさを感じます。Day1は少々違和感のある作りだったように思いますが、もともと異常に難易度の高いことをやっているのだということは理解しなければならないでしょう。
それとは別として、各キャストのライブパフォーマンスは真に甲乙つけがたく両日とも素晴らしかった。特に、初披露の3rdツアー東京Day2が無観客開催になってしまったことで、今まで一度も有観客で披露してこなかった真乃・結華・夏葉・雛菜のソロ曲。それが今回主演という位置づけで重要な意味を持って歌唱され、新しい思い出が作られてあの日の痛みを過去の記憶に変えることができたのではないか。そしてDay1のその場に立ち会い、観客の1人となれたのはファンとして無上の喜びであると共に誇りにも思っています。
さて、ざっと2日間の感想を述べたところではありますが、各楽曲について記載するととんでもなく長くなってしまうので後に回し、Day1の振り返りに続いてDay2についての感想などを記述したいと思います。
開催前の予想・考察、Day1観賞後の振り返りなどは以下の先行記事に記載しています。
1.Day2披露曲について
Day2もまた全ソロ曲+複数人歌唱の大ボリューム。同じ曲であっても、朗読劇によって付加される背景や心理描写によって解釈や味わいが随分変わるものだという印象を受けました。また、各キャストも朗読劇上の位置づけによって表現を多少変えてきた部分も見えて、もはや単純に楽曲単体で考えることはできません。
その中で、敢えて曲単体としていくつかピックアップすべき楽曲を挙げるならば、まず初披露の『Shiny Stories』。今回はソロ曲がメインだという頭があったのですっかり認識外でしたが、この曲の持つ優しさや穏やかさが朗読劇の流れにハマっており、その後の『雪・月・風・花』『夢見鳥』などに続く空気感を作り上げていました。
そして『星をめざして』。Day1で歌唱取りやめになったときは大変心配しましたが……Day2の朗読劇中でも非常に重要な意味合いを持つ曲だったと思うので、無事披露されたこと、そしてそのパフォーマンスには大変感動させられました。Day2の中で一番泣いたのはこの曲だったかも知れません。
また、全部そうだったわけではありませんが、Day1とDay2でセンターステージとメインステージを入れ替えてソロ曲を披露する形になっていたのも同じ曲でも見え方が大きく変わって非常に良い構成だったと思います。
2.Day2朗読劇パートについて
Day2に関してはいろいろ論ずるのが無粋極まりないと思うくらい完璧だったと思えます。全体の脚本、各アイドルの個性を踏まえた配役、ソロ曲と複数人歌唱の曲の意味合いを含めた朗読劇中のセットリスト。それらを満たしつつ、各アイドルの登場順が組まれていること。芸術的ですらあります。とはいえ、言語化することで再確認できるものもあるので、朗読劇のブロックごとに分けて感想を記載したいと思います。
2-1.第1ブロック
三峰が大学入学後に勧誘を多数受けて戸惑っている中で、同じく新入生の夏葉と出会う。次第に仲良くなり、以前ギターをやっていたのでバンドサークルに入ろうと思っていると話す。また、他の大学生がUFOを探すサークル活動をしていたりゲームをするためにさっさと帰ったりデートをしたりと自由に行動しているのに驚く。
千雪・美琴・冬優子・恋鐘:バイト・ゼミ・サークルなどに勧誘する先輩
智代子・雛菜・透・凛世・甜花:同じ講義を受けている大学生
各アイドルの個性を歌った楽曲がそれぞれの大学生活と多様な活動を映しているようで、朗読劇の内容の補完・具体化として実に効果的な使われ方をしています。複数人歌唱曲も、何らか目的を持って活動している4人で『Killer×Mission』、それぞれ自由で多彩な大学生活を送っている5人で『Color Days』という、役柄に合った楽曲となっていました。
2-2.第2ブロック
第2ブロックは前後半に分かれています。前半は、インターン先の会社にいる夏葉と他のインターン仲間4人。三峰から電話がかかってきて何かあったのかと心配する夏葉だが、詳しく話をする前に電話を切られてしまう。
樹里・果穂・めぐる・にちか:インターン仲間
インターン活動が上手くいっていることを表すように、明るくアップテンポで前向きな各ソロ曲。複数人歌唱の『プラニスフィア』も前途の明るさを表しているようです。
第2ブロック後半は三峰側。他のサークルメンバーは別のバンドに加わることが決まっていたり音楽の方向性が合わなかったり、なかなかバンドが組めない。他の人に合わせてまで音楽がやりたいのか悩む三峰。
ルカ・咲耶・灯織・愛依・摩美々:バンドサークルのメンバー
確かに上記のメンバーとは音楽性は全く合わないだろうと思わざるを得ませんが、演技・歌唱表現・表情など含めてこの時点での『プラスチック・アンブレラ』は悲壮感が一際強く伝わってきます。と同時に、三峰の失意と助けを欲するかのような心理、そばにいてくれる友を求めて夏葉に電話した心境を表現するような3人のソロ曲。そして、三峰のもとに夏葉が駆けつける描写の後に歌唱され、叱咤激励するメッセージのような『Going my Way』と他人に合わせないことを肯定する『誰ソ彼アイデンティティ』。複数人歌唱の『Ambisious Eve』と、三峰を鼓舞する流れに変化していきます。
2-3.第3ブロック
『Shiny Stories』の歌唱から始まり、穏やかさ・優しさ・慈愛から旅立ち・始まりを感じさせる内容に繋がっていく各ソロ曲と『虹の行方』。バンドは組めていないが、夏葉の「まだ聴いていない」という我儘にも思える声に背中を押される三峰(夏葉も、こういうときは理屈より感情をぶつけた方が響くと理解していたかのよう)。そして、過去に三峰の音楽を好きだと言ってくれた声を思い出して音楽をやめることを思いとどまる。
霧子・円香・甘奈・真乃:高校のバンドメンバーや後輩
あさひ・小糸:通りすがりの好奇心旺盛な子供とその友達
三峰の心情の変化と新たな想いでもう一度音楽を始めようという意思。それを描写した楽曲の構成として見事な噛み合い方です。そして、あさひの『星をめざして』。思いのままに我儘に行動するあさひの様子が、他人とぶつからないよう悩むことが馬鹿らしく思えるほどの眩しさをもって歌唱されます。小糸の『わたしの主人公はわたしだから!』も、最終盤における三峰に送るストレートなエールとしてこれ以上ないという配置でした。
2-4.最終ブロック~カーテンコール後
大学4年生になり、三峰はバンドを続けており二人とも順調で充実した大学生活が送れていることが語られます。「何かを感じたの。あなたの背中に」「羽でも生えてた?」というセリフで(シャイノグラフィみたいだ……)と想起させてからの歌唱。歌詞も朗読劇の場面と合致する箇所が多々あり、もはやシャイノグラフィの舞台化と言っても過言ではありません。
カーテンコール後、最後の『Damascus Cocktail』。朗読劇中の夏葉が大学1年からインターン活動を行い自分を高めてきたこと、そしてシャニマスの作品中でもストイックに自分を磨き続けていること。朗読劇のストーリーとしては終了した後の歌唱ですが、この2人の夏葉がソロ曲を通してシンクロしている感覚になります。
このようにブロック分けで記載してみると明確になりますが、典型的な三幕構成です。典型的だからこそ骨太で、主題が分かりやすく、強く訴えかけることのできる、古代より使われ続けてきた脚本の構成です。
その脚本に26人もの配役と各楽曲が場面ごとに意味を持って配置されています。しかもそれが全く違和感無く一連の流れを構成しており、『シャイノグラフィ』へと収束していく。恐らく今回もシャニマスのシナリオチームによる脚本だと思われますが、各アイドルと楽曲への理解の深さ、解像度の高さを物語っています。
3.予想の答え合わせ
こんな緻密な筋書きと構成を予想できたはずもないのですが、先行記事で予想を立てていた内容がいかに外れていたか答え合わせしていきます。
まず4月の開催発表直後に立てた予想。この時点ではキャストの追加出演発表前でもあり、予想材料がイメージイラストくらいしか無かったので外れても当然と言えば当然です。
「余程のことが無い限り大外しはしない」と自信を持って予想したセトリは大外しです。それくらい余程のことがありました。にちかのソロ曲の予想に関しては若干カスっていたので良しとしましょう。ルカの2曲目……といえば2曲目ですが、まさかユニット結成での新曲となるとは。いずれそうなるかもと思ってはいましたが、予想以上に展開が早かった。
続いてDay1観賞後のDay2予想。こちらは振り返るのも恥ずかしい。
そもそも、何でこんな予想をしたのか。それは、Day1の朗読劇に微妙な繋がりの悪さを感じたというか、展開に違和感を覚える部分があったため、その余白を埋めてくるのではないかと考えたからです。しかし、AP振り返り配信とDay2鑑賞を経ると、そもそもこのライブの楽しみ方がDay1の時点では理解できていなかったのだと思わざるを得ません。察しの悪さに恥じ入るばかりです。
改めてDay1アーカイブを観れば、その緻密な構成に気付けるかも知れません。後に鑑賞しようと思います。
余談.今回作成した名刺について
Day1振り返りの記事で、今回のために名刺を作ったという話を書きました。デザインは以下の画像の通りですが、CoMETIK結成と新アイドル加入ということで、この名刺は早くも使用できなくなりました。とはいえ、新ユニットに関しては大変喜ばしく思っているので、名刺が余ってしまったなどという個人的な事情は一切問題ではありません。
なお、新アイドル2名の個人カラーは発表されているので、同じデザインで2名追加して新たな名刺を作ろうかと思っていますが、総勢28名となるとサイズがキツキツで文字が潰れてしまったりする可能性があるので難しいかも知れません。
いずれにしても新しい名刺を作らねばなりませんが、5.5thのチケットがご用意されるか否か……
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