未来の私から過去のあなたへ
時は202X年。noteというSNSが出来て十周年。
ひっそりと十周年を祝いつつ、十年前の私に向けて、問いかけてみる。
まだ、noteをしらなかったあの頃の私に。
私に、書いたハズのノートなのに。
なぜか、四半世紀前のあなたに、届いてしまったらしい。そう、時の概念どころか、noteの枠すらもこえて。
――――四半世紀前、つまり2000年初頭頃。
まだ、中学生の私に、高校生のあなた。
私が大学に入った年に、私たちは出会うハズだったので、まだ、お互いの存在も知らない。
まだ、ガラケーがケータイと呼ばれて、着うた全盛期のあの頃、私は、今流行りの歌をうたって、サウンドノートにして届けたのだ。
そして、もうひとつ、noteへのリンクと簡単な自己紹介テキストをのせた。
私はしらなかったが、高校生の彼は、いわゆるプレイボーイで、女の家にヒモ生活しつつ家出をする生活を送っていた。
それでいて、大学に入るだけの頭があるのだから、真面目に勉強していたら、もっといい大学にも入れたのだろう。
私は、自己紹介に生年月日ではなく、202X年時点での実年齢を載せた。
それが、彼にとって魅力的だったらしい。
当時の彼に、私はカモにされたのだ。
当時存在すらしていないサイトに、どうやって紛れ込めたのか。仕組みはわからないが、私には、あの先輩だと、文章と絵文字の癖ですぐにわかった。
先輩は、どうやらケータイのメール感覚で文字を打っているらしい。
メールアドレスを交換し、しばらくやり取りをしてみると、オフ会という名の出会いの約束を取り交わそうとして来た。
そこで、曜日感覚の違いに気づけばいいのに、全くスルーされ、待ち合わせ当日がきた。
待ち合わせに選んだ店は、かつて私と先輩がよくいっていた店。
――――来るわけないか。
そう思っていたのに―――――。
学ラン姿の、出会って間無しの頃の記憶より、さらに若い先輩が、そこにいたのだ。
四十路手前のおばさんの私が、会えるわけがない、あの頃の先輩に会っている。
もちろん、私持ちで、楽しく食事を楽しんだ。
あり得ない現象が起きている奇跡が目の前にいることに、お金を払いたくなったのだ。
出来れば、持ち帰りしたい。
若い先輩を、未来の世界のほうに。
だけど、先輩の方は、奇跡に全く気付くことにないままに、また会いましょうね、とかわし、立ち去ろうとした。
もう、またなんて、ないよ。
またがあるなら、たぶん、それは―――。
私たちは、noteでやり取りをする仲に、また戻った。彼は、私に会いたがるけど、私はたぶん、もう”あの頃の彼には”会えない。
だって、今隣にいる夫を連れてなんて、会いにいけない。
隣にいる夫は、”高校生の頃の先輩”の延長線上にいる、あの彼なのだから。
未来の自分と過去の自分を引き合わすなんて、やっぱり出来ないんだな。
夫は、私のnoteの記録をみて、驚愕した。
そこでやり取りをしていたのは、まぎれもない、私に隠したかった黒歴史の自分だったのだから。
浮気を疑っていたみたいだけど、私は浮気なんてしていない。
そして夫は、あの頃のおばさんの正体を知り、へたりこんでしまった。
こんなことって、あるんだろうか?
あったのだ。
noteがなければ、私たちは仲良くもなれなかったし、結婚なんて、夢のまた夢だったんだから、note様々だ。
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