子育て期の女性と仕事と。
つんく♂さんの記事を読んでいて、プロの条件の項目あたりを読み進めていたら、ぶあっとフラッシュバックした。
何がフラッシュバックしたのって、「一瞬バズれて、小さいかもしれないけど、人気の波が来たというのに、家庭の都合で、夫や子供の存在が足を引っ張ってきて、思うように活動する時間を作れない」という記憶がね……。それで、結局、期待に応えられるようなことは出来なかったようにも思う。
で、ある程度、家族の理解が出来上がってきたり、子供が大きくなったりして、時間がつくれるようになってきたら、今度は、もう人の波が引いちゃってるの……もう、悔しくて悔しくて。
そして、上沼恵美子という天才の存在を思い出した。
彼女も、人の波が押し寄せていて、ノリに乗るという時期には、夫や子供の存在という家庭があって、足を引っ張ってしまって機会損失した人……のように私は感じた。お金が一番要るとき、仕事がウケにウケててってなったとき。夫の存在、夫の意向という部分で、「家庭と両立できる範囲で」っていう名前の天井で、機会損失してしまうフラストレーションを話芸に昇華させてみせたのは、さすが天才なのだけど、それだけでは、あの才能が全国的に知られることもなく埋もれかけていったことへの機会損失を補うなんて、出来やしないと思う。
そして、今現在、ようやく両立すべき家庭の中の家族は独り立ちできてきても、今度は上沼恵美子という人の話芸に、かつてほどの波は来なくなってしまっていたようにも思う。今という時代的にも、コンプライアンス的にも、毒がありすぎる面が問題となりそうになっているように思えた。
プロは、安定してみんなにウケるクオリティーとツボをつかんだ作品を量産できて、なおかつ、クライアントの求める理不尽な欲求にも応えなきゃいけない。
その点において、やっぱり、「家庭を持ったからこそ働くべき」って言われるだろう男性に、環境の面で叶わない面が、どこかにある。
気持ちとしては、ずっとプロでありたいと思っていても、既婚子持ちの女性目線で言えば、出産子育ての人生の時期に、プロとしての作品制作のための時間を割くことは、意外と困難なテーマだったりする。なぜなら、プロの世界なら、「3000文字程度のコラムを一晩で作ってね」とか、そんな無茶振りもあり得てしまえるから。(え?これ無茶振りでもなんでもないよ)って?たしかに、家庭の裏を考えなかったら、そうかも知れない。
それに、アマチュアなら、そんな話は受けなければいいというか、気にしなくてもいい。
締め切りなんてないから。
そして、男性のプロなら、基本的なみんなの認識が「働いて当然」なので、家庭があろうがなかろうが、家族が邪魔して仕事できないなんて、あり得ない(と言われちゃう)
だから、これは女の甘えと思われがちかもしれないけど……能力的には一晩あれば作れるけど、家族の機嫌と都合次第では、一晩なんてスケジュールでの急な仕事に対応は出来ないっていう悲しさがある。
そして、生理もあがって、ちびっこも育ってきて大人になり、夫も老いて理解示してくれるようになってきて、急なスケジュールの仕事にも対応しやすくなった50代以降ともなると、今度は、そんなにバリバリ仕事してまでお金をほしがる動機そのものが薄くなるっていうのもある。
その葛藤に対して、子供のいる人生をあきらめてまで、プロであり続ける女性も数多くいてたし、おそらく今後も居ると思う。そもそも仕事をずっと続けていたいと願っていて、子供のいる人生を望んでない人もいてるけども。
また、夫と別れてしまうことで、この問題を解決してしまう人も一定数居てる。
つんく♂さんからすると、モーニング娘。のプロデュースの仕事を進めていく中で、モーニング娘。の歴史を重ねていく中で、ある程度知ってはると思うことばかりかもしれないなぁと思うが、女性の中年期の仕事と家庭の両立って、本当に大きなテーマで、サラリーマン的な仕事とか、パートタイマーだったら、融通きいてくれても、自営業者、それも芸能人の仕事という人気商売が本業だったら、産休を取った、ただそれだけで他の人に仕事を取られてしまうなんてこともよくあることで、人気の波が引いて忘れられることだってよくあることって。だから、本質的には、休めない。
女性がアラサーになるあたりで、アイドルを卒業するのは、女性が子供を持つ人生を選べるタイムリミットと、今現在の自分の人生ステージと、芸能系の仕事の特性との兼ね合いという問題について、真剣に考えれば考えるほど、一旦ここは引退して、結婚したりして、これからは子育て専念しようって結論が出がちになるんだと思う。ただ、夫の意向によっては、すんなり子供を産ませてくれるかどうかすら、わからないという問題も、これまたあるけど。
セックスレスだったり、夫が避妊具を外さなかったりして、子供を産むことを先延ばししたがる男性を夫にしちゃうこともよくあることで。そうでなくても不妊治療しなきゃ生まれない場合もあるわけで。そんなとき、これまた悩むわけで。仕事を続けてみてもよかったかもとか、子供を持つタイムリミット的な話とかで。
そう思うと、夫の意向ってヤツに、その女性の人生のあり方も仕事のあり方も、かなり左右されてしまう。「そんな夫を選んだのはその人」と言われたら、それまでかもしれないけど、「こんな人とまで思わなかった」という面は必ずある。
この手の悩みって、おそらく、サラリーマン的な仕事をしている人からすると、ある程度はわかってくれても、どこかでわからない部分も出てきやすいとも思う。雇われているなら、産休もあるし育休もあるし、給料の保証もある。だから、人の波がやってきた瞬間に、これからの食い扶持のために、赤子が泣いても、夫がグズっても、何が何でも稼がなきゃいけないなんて感覚までは持たなくてもいいという一面もある。(そこまで無理や無茶せんでええやろ)って。
なんか、感情のままに書き出したので、上手くまとまっていないけど……夫選びによって、女性の生き方ってだいぶ変化してしまう。だから、若い頃に望んだような未来の姿の自分に、なかなかたどりつけないまま生きる女性は数多くいる。
譜久村さんとの対談記事でも、「授乳しながら活動するアイドルって居たら面白いよね」ってカンジのことをつんく♂さんはおっしゃっていたけど、それが出来るかどうかすら、本人の人生の望みもそりゃあるけど、譜久村さんが選んだ未来の夫の意向と理解次第もだいぶある。
授乳しながら活動するママドルというのは、夫が理解して支えてくれなきゃ成り立たないけど、そもそもその手の仕事を理解できる夫になればなるほど、妻に子供を産ませることに消極的になる可能性すらあるんだ……。
その絶妙なバランスで実現するだろうことなので、環境面で厳しいと思ってしまう。
ただ、もし、アマチュアという立ち位置をずっと守り続けていけるのであれば、締め切りも、コンプライアンスも、需要の波を気にすることも、何もかも関係なくなるから、そうなると男性よりも女性のほうがクリエイティブな活動がしやすいというのも、実際のところとしてはある。
なんだかんだ言って、仕事として稼げないだろう活動に人生の時間を使う男性のことを一生囲う女性は少ない。一時期ちょっとスポンサーになってくれる女性なら、見つけられるけど、みんな、やっぱりどこかで、いつかは離れてしまいがち。だから、男性がアマチュアで活動し続けようとしたら、学生の身分を卒業したあとは、本業でしっかり稼いでいきつつ、スキマ時間に創作するカタチしか取れなくなりがち。
でも、これが、もし女性のアマチュアのクリエイターという立場であれば、どうだろう?
たとえ売れてなくても、そもそも本人に売る気すらなくても、生活費を出してくれて、趣味として活動することを認めてくれる男性は、意外と多くいてる。しかも、長いことスポンサーでいてくれるし、下手すれば一生囲ってもらえる。
ただし、家庭と両立することが、もれなく条件として入ることが多いから、いわゆる天才とは条件的に相容れないし(子どもの世話で寝起きすら大変な時期に作品が降りてきては書いてしまうのが天才の生態だから)プロとしてがんばり続けるとしたら、かなり環境としては厳しいけど、アマチュアの趣味の範囲だったら、何とかなるとも思う。
そして、アマチュアだからこそ、尖った作品をつくれるというのは、なにも音楽だけではない。文芸もそうだし、何より、実は……学術的な研究の分野ですら、アマチュアのほうが尖った研究結果を発表できる。
例えば、プロの歴史学者の世界では、「日本神話の中に出てくる下照姫命と、ギリシャ神話の中に出てくるアルテミスは同一人物である。」という一言すらタブーである。
なぜなら……この一言だけでも、日本史と世界史という枠を横断してしまっているし、世界史の中も、古代ギリシャ史と古代エジプト史とでは、実際違う界隈だし、古代ギリシャ史と近代フランス史ともなれば、混ぜたらアカンのである。
たとえ、ある視点での歴史の真実が、あちこちの時代や場所を横断していたとしても、それを発表することもできないのがプロのコンプライアンスであったり、需要の問題だったりするわけで。
アマチュア研究者であれば、たとえ、その研究結果がうさんくさくても、プロ学者の世界でのタブー的な表現であっても、発表することそのものに制限はかからない。言いたければ、言えば良いのだ。だけども、信用までは、なかなかついてこない。
プロになりたいというより、子育て資金ほしいとか、家計の足しにしたいというのが私の中では、強い。
だから、noteの投げ銭とかはめちゃくちゃ助かる。子育てのスキマ時間につくった話がマネタイズされていくのであれば助かるけども、子育ての時間や夫の機嫌を損ねてまで、時間を作って、ムリして依頼仕事の締め切りやコンプライアンスや需要に応えようとするのは、この今という状況の中では、やっぱり難しい。そのことで、機会損失しまくってるのだろうなぁという焦りもあるし、お金欲しいから、「依頼したい」と思っていただける需要が掘り起こせるのなら、応えられるだけ応えられたらいいのになぁと思う自分もいてる。
私に関しては手遅れだろうけど、芸術系の仕事の特性について理解を示してくれて、サポートしてくれる人と結婚すればいいだけの話だろうけど、そこが一番見極め難しい。結婚前には、ウソ言われちゃうこともザラだし。手のひら返しされることもあるし。
依頼された仕事をこなせるような環境をつくれたら、富を得られるとわかっているのに、もどかしい。
ただ、現在、富がほしい理由の最大をしめてるのは、子どもを育てる過程で現在進行系でお金が必要だからであって、後で子育て終わってからだと、時間はあるだろうけど、富を追いかける必要にかられるのかというと、生活さえできればそれでいいかってレベルから越えそうにないような気がする。お金が無限にほしいと思えるのは、若いからこそで、子育てしてるからこそなので。
ただ、一度、山をこえたら、これまた喉元過ぎれば熱さを忘れるようなところもあるようにも思う。