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連れ子は口が悪い。

「おっさん、もっとよくかぁさんの生身の声を聞いてやれよな。鈍感って思われてガッカリされんのは、そこだから。」

中学二年生の妻の連れ子が、学校帰りの学ラン姿で部屋の入り口をふさぎながら、僕を見下ろし、偉そうに一言アドバイスしてくれる。

実は、妻を怒らせて、弁当を持たせてもらえないなんてことをやらかしたのだ。
なんで、怒らせてしまったのかもよくわからず、こちらも腹がたつだけだ。

そんな折りに、妻の連れ子からの件のアドバイスである。

もっと、話をきいてやれ、といわれても、女のおしゃべりに意味があるように思えないんだが。ながったらしいし。

話……か。

「だいたいさー、かぁさんと一緒になって何年目よ?いい加減、かぁさんの地雷位、覚えておけよなー。巻き込まれてめんどくせーんだよ。」

しかし、この連れ子、口は災いのもとという、ことわざを知らないのか?思っていることをすべて吐き出さないと気がすまない性分らしい。

出会って間なしの頃は可愛かったのになぁー。

「とにかく、かぁさんの口から何か言わす前に、気付いてくれるおっさんなら、俺はこの世にいなかったわけだし、鈍感も悪くないかもな。」

そう言い放つと、カラカラと笑い出した。

やっぱり、世の中には、言わない方がいいことってあると思うよ。

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