Beat Seat ゴルゴ13(テレビアニメ版)Target.10『帰って来た標的(ターゲット)』
原作:さいとう・たかを
監督:大賀俊二
脚本:小澤俊介
ログライン
ブラウンに依頼され、彼のボスである麻薬王バグシイを狙撃したゴルゴ。その後、バグシイは生きていることが発覚、今度はブラウン殺しを依頼されるが、雇い主はふたり持たないルールによりゴルゴはこれを拒否。バグシイとは何者なのか。真相を暴き、今度こそ依頼を完遂する為にゴルゴは動き始める。
Beat Seat
オープニング・イメージ<OPIMG>
FBIと取引きしたバグシイは、彼らの厳重なガードのもと安全な場所へ車で護送される。(1)
セットアップ(アバン)<Set up>
○ゴルゴはターゲットであるバグシイを仕留めるため、まずはFBIのガードを始末しようと森の中から攻撃を仕掛ける。(2、3、4)○目論見通り地上戦へ持ち込むことに成功したゴルゴは、薄暗い森の中に迷い込んだFBIの面々を次々と殺害。
〇ガードは全滅、ついにバグシイは無防備な状態となる。(5)
○ゴルゴはパニックになるバグシイを撃ち、地面に横たわる眉間を撃ち抜かれたバグシイの顔を確認する。(6)
<OPタイトル>
テーマ<Theme>
飛行機の機内で移動中、ゴルゴは殺害されたバグシイとFBIについての記事が掲載されている新聞を目にし、今回の仕事のそもそもの発端について思いを巡らせる。(7)
・このシーンでは、ゴルゴの席のすぐそばにカップルが座っていて、彼らは新聞を見ながら事件についてあれこれ会話をしている。その中で男性が口にする「(ボスが組織に口封じのために殺されたからと言って)そんなに驚く事はないだろう。大統領だって暗殺されかねないご時世だ」がテーマだと思った。
組織のボスが殺されても不思議ではない時代、とはいえやはり大物を殺すのは相当難しいのではないか。が、それをやってのけるのがゴルゴ13。
ゴルゴならどんな大物でも殺れる、事実今回も殺った。でも、本当に?という感じで。
セットアップ 続き<Set up>
○回想。
ある島に招かれたゴルゴは、ロッキー・ブラウンから、彼のボスであるバグシイを殺して欲しいと依頼され、承諾する。(8)
○飛行機は香港に到着。ゴルゴは繁華街へ出る。(9)(10)
きっかけ<Catalyst>
突然、見知らぬ男たちに接触されたゴルゴは、そのうちの背後に立った男を殴りつける。慌てて止めに入った仲間の男は「あんたを迎えにきただけだ」と言う。(11)
悩みのとき<Debate>
○呼んだ本人が迎えに来ないことを訝しく思いながらも、ゴルゴは男たちの車で目的地へ。高層ビルが見えてくる。(12)
○カーテンの向こうに身を隠したまま、仕事の内容を口にする依頼人。ゴルゴは声だけの依頼主と組むつもりはないと、部屋を出ようとする。(13)
○カーテンが開かれると殺したはずのバグシイがいた。ごく微かに驚くゴルゴにバグシイは、ゴルゴが殺したのはスパイク・ジョーダンと言う替え玉だったのだと告げる。(14)
○バグシイは、今回の計画を立てたのはロッキー・ブラウンだと告白。頼りになりすぎる男は逆に邪魔だと、ロッキー殺しを依頼するバグシイに、ゴルゴは「一度にふたりの依頼主を持たないことにしている」ことから断ると答える。(15)
プロット・ポイント1<PP1>
○ゴルゴの中ではまだ依頼主はブラウン、ターゲットは自分なのだということを認識したバグシイに背を向け、去っていくゴルゴ。
バグシイは、ゴルゴを消すことを決める。(16)
・おそらくこの時すでに、ゴルゴは「いま目の前にいるのはバグシイではない」と気づいている。ブラウンの計画など細かなことまでは分からないとしても。
・ゴルゴの頭の中では、「俺が狙撃したのはバグシイで、ここにいるのはバグシイではない誰か」という感じ。
・ゴルゴの表向きは、「俺が狙撃したのはバグシイの替え玉で、本物はまだ生きている=依頼は完了していない」という感じ。
・なので、ゴルゴが受けた依頼は今もなお、「依頼主はブラウン、ターゲットはバグシイ(目の前にいる男。本物偽物問わず)」であるというスタンス。
・この状況で、バグシイ(目の前にいる男。本物偽物問わず)の依頼を受けると、依頼主がブラウンとバグシイ二人になる。ゴルゴのルールに反してしまう。「依頼主は一度にふたりは持たないことにしている」。
・というわけで、
・バグシイ=偽物=ゴルゴに殺されたくないし、ブラウンを消したい
vs
ゴルゴ=ターゲットはバグシイ(目の前にいる男。本物偽物問わず)
の構図が出来上がる。
・でも実際ゴルゴ的には、「おまえら(FBIの目をごまかす為にゴルゴを利用した奴ら)まとめて全員殺す」だろうと思う。
・ちなみに、どうして替え玉は、本物のバグシイをFBIの車に乗せることができたかについては、替え玉が何らかの手段でバグシイの部下たちは手なずけていたのかなと想像した。
Bストーリー
繁華街でオンナを買うゴルゴ(17)
お楽しみ<Fan and games>
夜の埠頭で男たちが会話している。(18)
ミッドポイント<Mid Point>
男たちはバグシイの部下たちだった。
「ロッキー・ブラウンからの電話」だと携帯を渡されたゴルゴは、間髪入れず発砲し、その場を去る。(19)
・バグシイの指示で部下たちは、ゴルゴを埠頭に呼び出した模様。
お楽しみ 続き<Fan and games>
返討ちにあった部下たちが、アスファルトの上でこと切れている。(20)
<IC>
迫りくる悪い奴ら<Bad Guys Close In FALL>
〇香港入りしたブラウンを捕らえたゴルゴは、今回の妙な依頼についての言い訳を述べさせる。
さらに、現在のバグシイが替え玉であることを知っているかどうかをを探る為、ブラウンに問い詰める。(21、22)
・ゴルゴが確認したかったのは、「ブラウンがどこまで知っているか」。
・その結果、ブラウンが知っているのは、FBIに護送されていた時に殺されたのはバグシイの替え玉だというところまでと判明。
〇バグシイのいるビルにやって来たブラウンは、警備の厳重さに違和感を覚える。(23)
〇棚にある酒の種類が代わってりることにさらに違和感を覚えたブラウンは、バグシイの顔を見て、何かがおかしいと感じる(24)
すべてを失って<All is Lost>
ブラウンは、目の前にいるのは偽物のバグシイ、すなわち替え玉だと告げられる(25)
・ブラウンに「なぜおまえがここにいる?」と問われ、「お前が(偽物だと思って、本物のバグシイを、ゴルゴに依頼して)殺ったからだろ」と返す替え玉。
FBIの車に乗るのは替え玉だったはずなのに、実際は本物のバグシイが乗っていた、とブラウンはここで初めて知る。
そもそもブラウンは、ジョーダンは場末のどチンピラで下っ端中の下っ端だと思ってて、だからバグシイの替え玉に選んだわけだけど、こうしてみるとジョーダンは意外と頭の切れる男だったというわけで、結構なショックを受けてそうだ。
・「死のにおい」にあたる部分は、バグシイ狙撃の真相についての会話がなされてるという点だと思った。
心の暗闇<Dark Night of the Soul>
〇バグシイの組織を全て手に入れようとしている替え玉の目論見を知ったブラウンは、「お前はまだゴルゴのターゲットだ」ということを告げる(26)
〇二人の会話をビルの向かい側から聞いていたゴルゴの耳に、銃声が響く(27、28、29)
プロット・ポイント2<PP2>
ブラウンを殺した替え玉は、屋上にいるゴルゴに向けて窓越しに、「来るなら来やがれ」と宣戦布告する(30)
・PP1では、並んで窓越しに立っていて替え玉とゴルゴ。
・PP2では、窓を挟んでこちらとあちらで面と向かって対立している。
・本当に向き合うべき相手と相対している。
フィナーレ<Finale>
〇ジョーダンは部下たちに警備を徹底させ、ゴルゴを待ち構える。そんな中、監視カメラを見ていた替え玉は、屋上の異変に気づく(31)
〇屋上を警備していた部下は全員、殺害されていたと報告を受けた替え玉は、ゴルゴが隠れているだろう屋上空調室を取り囲むよう部下らに指示する(32)
〇【ベランダ】替え玉と側近たちは部屋に充満し始めた妙な臭いから、青酸ガスが撒かれた可能性を察し、ベランダに出る(33)
〇【屋上】空調室への一斉掃射が始まる(34)
〇【ベランダ】息を整えるジョーダンと側近たちの前に、銃をもったゴルゴが姿を現す(35)
〇【屋上】引き続きゴルゴへの銃撃が続く(36)
〇【ベランダ】ゴルゴは、ジョーダンらに向け総攻撃を仕掛ける(37)
〇【屋上】銃撃終了。ゴルゴの遺体を探し始める部下たち(38)
〇【ベランダ】ゴルゴに撃たれ息絶えた部下たち、瀕死の替え玉。仕事を終え部屋を出て行くゴルゴ13。
・替え玉は死ぬ間際、「アーモンド臭は(青酸カリの臭いではなく)本当にただのアーモンドだったのか」と言っている。
・今回の依頼は、「FBIの目をごまかす為の計画」とか「替え玉」とか真実ではないことが多かったので、ゴルゴはその点についても仕返しをしたような気がした。(39)
ファイナル・イメージ<Final Image>
床に転がる携帯電話から、替え玉の部下がボスの安否を問う声が聞こえる。応対する者は誰もいない。(40)
<EDタイトル>
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