イェール大学集中講義 思考の穴(アン・ウーキョン 著)
読む目的
思考の不具合から生じる問題と、その解決策を学ぶ。
Chapter01「流暢性」の魔力
流暢性効果:誰かが難なくやり遂げている姿を見ると、自分も労せずできるという錯覚が生まれやすい。
これからやろうとする作業に流暢性を感じ取ると、その難しさを過小評価する。
出来るという錯覚を打ち破るためには、実際にやってみればいい。
頭の中で思い描けば、試したことになると思っている人は少なくない。
計画錯誤:何かを完了させるのに必要な時間と労力は、少なく見積もられやすい。
計画錯誤が生じる原因の一つは希望的観測。また、流暢性による錯覚からも生じる。
計画錯誤の対策2つ。
一つのタスクを複数の小タスクに分解する。
計画遂行の障害となりえるものを思い浮かべて、流暢性に淀みを生じさせる。
Chapter02「確証バイアス」で思い込む
確証バイアス:自分が信じているものの裏付けを得ようとする傾向のこと。
確証バイアスにとらわれると、人は自分自身のことを誤って認識する恐れがある。
確証バイアスのおかげで、無限の選択肢の中で十分だと思えるものに出会ったら探求をやめられる。それにより幸福度は高まるし、順応性も高くなる。
確証バイアスから逃れるためには、自問を通じて両方の可能性があることを示す証拠を手に入れるといい。
確証バイアスに対抗しづらい原因2つ。
リスクを取りたくない気持ち
習慣
確証バイアスの対策2つ。
確証バイアスが招く悲惨な事態について知る
習慣を壊す(日々の生活にいつもと違うことを取り入れる)
Chapter03「原因」はこれだ!
人が因果関係を認識する際の手掛かり4つ。
類似性:原因と結果は、同程度のものだと見なされやすい。
十分性と必要性:原因が十分条件、もしくは必要条件を満たしていると、事象が起こると考えがち。
新近性:原因となりうる出来事が複数ある場合、直近に起きた出来事のせいだと考えがち。
可制御性:人の手で制御できるものの方を非難したがる。
他の可能性を除外しているという認識を持つことは大切。その認識がないと、他者の評価を不当に貶める恐れがある。
ある現象が起きた原因が1つ明らかになると、原因となり得るその他の要素は自動的に考慮されなくなる。
私達はめったに起こらないことを原因だと見なす傾向がある。何を普通、何を異常とするかは、各人の視点によって変わる。
原因候補から選ぶ時に、したことのせいにしてしまうという傾向もある。
因果を推論する目的の1つが、未来に取るべき行動を知りたいからなので、自分でコントロールできないことは基本的に非難しない。
原因の究明がひときわ難しい問題に建設的に取り組むには、そこから距離を取るのも一つの手。
Chapter04 危険な「エピソード」
具体的な事例やエピソードは影響力を発揮し過ぎることがあり、そのせいで合理的行動という重要な原則を破る人が出てきてしまう。
人の思考は基本的に、自らの五感で感じ取れるものに基づいて行われる。
私達が統計データに動かされない主な理由は何かというと、大半の人がその数字を完全には理解できないから。
大数の法則:データは多いほどいい。これが合理的である理由を教えると、データを信用する気持ちが高まる。
平均への回帰:統計現象。例として、最初のテストで極端な点数を取ったとしても、次のテストでは平均に近付く傾向がある。
回帰の誤謬:実際には平均への回帰に過ぎないにもかかわらず、傲慢や怠惰のせいで結果が変わったと思い込むこと。
記憶から取り出しやすい出来事ほど、頻繁に起きていると思い込みやすい。
難しいのは、新規の問題に既知の解を当てはめることではなく、解決策を自発的に記憶から呼び起こすこと。
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