4コマ漫画から学ぶSSの書き方

「短くギュッと萌えの詰まったSSを書く方法」として、こちらに入れようと思ったけど、方向性が別だったので独立させたお記事です。

◎向き不向きアリ ネーム発想法

地の文の表現で詰まる人は、「まずはセリフだけ考える」でOK!
それからビジュアル・行動を後付けでつけていきましょう。

また小説を書く人は、わたくし含めて情報を詰めて詰めて……と、結局長くなってしまいがち。もし「SSのつもりが長くなってしまう」なら、いったん漫画のコマ割りで考えるのをおすすめします。

…………いうて、それはそれで別スキルなんですけど!漫画が好きで、たくさん読んでいる人向けの手法です。
※すべてに向き不向きがあるので気軽に試してネ!

やり方は簡単で、「4コマ漫画」のネームを作ること。コマ数とページ数に縛りを設けること。(慣れてきたら4コマに限定しなくてもOK)

4コマ漫画一つ分のセリフ量が、だいたい1,2ツイートに収まる文字数になるはずです。

「何千字で収めよう」と思ってできる方、どれくらいいますか!?
わたくしは無理なんですけど、こうやってビジュアルで面積を区切ることで、強制的に文字数・情報量の超過を防げました。
小説向き脳みそでなく、いったん漫画向き脳みそを挟むイメージ。

「笑わせる」とかは難しいので、ストーリー4コマ・萌え4コマなイメージで会話劇を作っていきましょう。


サメ映画のチケットを2枚持ってるA(俺は今日こそ!Bさんをデートに誘う!やるぞやるぞやるぞ!)
A「これさ、あの……ほら、お前、こういう映画好きだろ? 兄貴からもらったけど、いらねーからよお、やるわ」

B「これちょうど見たかったんだよね! ありがとう~!」(笑顔)
A「……ぉう」(俺のバカ!!また素直に誘えなかった!!と後悔しながら2枚押し付ける)(クソ~、誰と行くんだろう、妹か!? まさか(恋敵)とだったら……そのまま交際とかしちゃったら……俺は……俺は……)

すっ(Bがチケットを一枚返す)

B「絶対面白いから一緒に見ようよ!」
A(あ゛~~~~!!!!)

萌えがあればヨシ!これで約2ツイートの文字数

この内容を、全部セリフだけで表現したら、スマホゲーやいにしえの2chSSみたいな感じになります。おツイッターに放流するならこれくらいでいいカモ。

カッコ内の心情や行動の表現を、絵でするか文字でするかで漫画・小説に分岐しますネ。
両刀だったら、ネタに合わせて映える・表現しやすい方を選べるので便利です。

……要するに、会話や情報のセットを短く区切って、まとまり4つ以内とか8つ以内とかに収めればいいので、漫画を挟む必要はあまりないんですけど。
映画の経験がある方は絵コンテでもいいと思います。(!?)

ただ、4コマの何がうれしいかというと、ダラダラと長い文字数を費やすことが物理的に不可能で、情報をギュッと圧縮させるしかなく、「前フリとオチ」が最速で来る点。
「短く完成させ、短時間で満足を与える」練習にぴったり
なんですよね!短距離スプリントの筋トレです。

↑の会話例もハードルを大幅に下げるレベルなのですが、「うまくデートに誘えなくて2枚チケットを渡しちゃう。デート失敗だ~」の前フリを溜めてから、「相手から誘ってくれて成功」でひっくり返す。一応お作法にのっとった作りになっています。

前フリは大事!!!!
特に4コマは、2,3コマ目までで作った前フリを3,4コマ目でひっくり返す構造が非常に多いです。お笑いも、前フリで予想させて→裏切る!の間が見事だとドッカンドッカンいくそうですネ。
高みを目指さなくてもいいので、例のように気軽に「前フリで誘導→裏切る」は覚えておいて損はありません!ホラー、アクション、ギャグ、なんにでも使えます。

ちなみに、山も谷もないバージョンだと、「君が好きだから映画に誘うよ」「はいそして結婚しましょう」→HAPPYEND……と最速で終わりを迎えてRTAになってしまいます。
ラブコメはとにかく遅延が命!…………じゃなかった、話がそれた。
主人公の目的達成がスムーズにいけば平坦すぎて面白くないので、いちいち妨害する、試練を与える……というのが物語のお作法でした。

エンタメ長編講座でも話したけど、小説は「書こうと思えばいくらでも長く書けてしまう」ことが長所であり短所でもある。
読者が読みたいシーンを長く書けるのはアドだけど、逆に需要のない・面白くないシーンが続くと離れてしまいます。
「すべてを面白く書く」は難しいので、つなぎのシーンや説明のシーンは短く抑えたり、面白いシーンを挟んだりする必要があります。

テンポよく進み、「短く満足」がたくさん入っている小説は、読者に与える面白さの総量が大きい。
そのくらいサービス精神のある作品は、飽きずにグイグイ読み進められるのアドアドですワ~~!!

生き残りと競争の厳しいエンタメ業界からは得るものがたくさんあります。

常々思っているのだけど、ただでさえビジュアルがあるのに加えて、優れた漫画は「2ページごとにめくりを工夫してどんどんページを読ませる」を当たり前のテクニックとしてやっています。(見開きの左下の隅っこのコマで気になる情報を見せて、次のページをめくりたいと思わせる)

…………エンタメ意識が高すぎる!!小説家志望の方、「2ページごとに引きを作ろう」という意識、持ってますか!?!?!?
そういうバケモンコンテンツと肩を並べて戦わねばならないので、プロ志望なら「短く満足、短く引き」という意識を持って損はありませんネ。
(なろう毎日連載だと、2,3000字ごとに「次が気になるように」区切って投稿するテクニックがあるそうなので、同じような意識ですね)

また、実際に書いてみて苦悩したポイントなんですけれど……4コマ漫画形式は一応「読者から見て面白くしたい」という意識が生まれます。
4つの枠を置くだけでちょっと客観視できるし、面白さのハードルが少し高まる。
となると、やはり読む側にとって苦痛である「意味がなく、つまらないだらだらした会話」が生まれにくくなるんですね。(意味がなく、面白いはOK)

「1ページで満足させちゃる」という尖った槍のような4コマ漫画は、勉強になることがたくさんあります!

以下、ラブコメと前フリが上手いおすすめのストーリー4コマ(普通に笑います)

えげつない変顔など破壊力が強くて笑った4コマ(ラブコメもしてるんですけど……してるんですけど……)

推しは12巻から出てくるりおぴです。スピンオフ主人公おめでとうりおぴ。


漫画には漫画の、小説には小説の良さや見せ方がある。
でも参考にできるところは参考にして、楽しく書き続けたいですネ!


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