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#短編小説
超短編小説「自白の必勝法」
「刑事さん。自白したら、本当に刑期を短くしてもらえるんですね?」
「ああ、司法取引ってやつだ。だからさっさと被害者の監禁場所を教えるんだ! 誘拐されてもう三日、てめえの言う通り水すらやってねえなら、今日中に死んじまう」
俺は、今にも嚙みつきそうな中年刑事と目を合わせ、ゆっくりと地名を言った。
「あすこの山はバブル崩壊で放棄された空き家だらけなんでね。俺だってどの建物か覚えちゃいない。適当な家の
超短編小説「身代わり」
事故だった。
揉み合いの末に押したら、バルコニーから落ちてしまった。突き落とすつもりなんかなかったのに。
手すりから身を乗り出して覗き込んだ、遥か下の花壇には赤い血が広がっている。ぴくりとも動かぬ肉塊になったのは、我らが王子だ。割れてはいけないところが割れていて、遠目に見てもはっきり死んでいると分かる。
まるで未来を予言するかのように、自分と瓜二つの死体。顔も服装もまるで同じだ。あえ