インスタントフィクション【水曜日】
とても寒くなった。
昨日、ふわっと金木犀が香った気がしたけれど、まだ気のせいだったみたい。
毎年通ると強く香るところへ行ってみようか。
今日はあまり落ち着きがないくもりだ。
感情的になった、なっていたというべきか。
いろんなものが見えた。
わたしに近づいてきた。
液体で、風で、声で、脳内で、
いろんな方法で近づいてきた。
明日からもきっとそう。
あぁ、一度頭の中いや、腹の中に落ちた温度がどんどんなくなっていく気がする。怖い。
油の音もする。耳はまだ聞こえるらしい。
自分の心の叫びは、聞きたいのに聞こえないのに…
油の音より、聞きたいのに…
でも、腹は減る。食卓へ運ぶ。
「一番」という言葉が憎い。
わたしをずっと縛っている。なぜ?
なぜかは知らないけど、ずっと縛って…
油で揚げて、食べて、なんとか消化できないものか。
「一番天ぷら」はなんだか美味しそう。
お腹が鳴りました。食べます。
気怠く、いただきます。
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