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【#4】USJを劇的に変えた、たった一つの考え方 森岡 毅
○私なりの結論
マーケティングの真髄は消費者理解にある!
○ 「マーケター」の最初にすべき最重要な役割
・「どう戦うか」の前に「どこで戦うか」を正しく見極めること。→マーケティングは会社の「頭脳」。
・会社のお金の使い道や従業員達の努力を、消費者にとって意味のある勝ちにつながるようにシフトさせる。
○USJのV字回復の3つの着眼点
・ターゲット客層の幅
・TVCMの質
・チケット価格の値上げ
○USJを変えたたった一つの考え方
「消費者視点」という価値観と仕組みを持たせる。
→作った物を売る会社から、売れるものを作る会社に変わったことこそがUSJ最大の変化である。
○消費者視点とは
「消費者の方を向いて消費者のために働け」
とにかく消費者の喜ぶことはなんでもするということでは無い。
むやみにコストをかけて消費者の要求に対応するのは中長期的に消費者価値を生み出す事が出来なくなる。
難しい判断の起点となるのは、「どれだけ消費者価値につながるのか」ということだけ。
→会社側のどんな事情も善意も、消費者に伝わらないと一切意味が無い。
○なぜ消費者視点は簡単にできないのか
1つの事案の社内合意を取るために、多くの部門間の利害に配慮することで意思決定に時間がかかる。
また、個人間や部門間のバランスを考え消費者価値としてのベストよりも「玉虫色」な妥協案になりやすくなる。(この落とし所はほとんどの場合において消費者最適ではない)
→これら「内向き」の社内政治により「消費者価値向上にとってベスト」という外向きの考え方からどんどんズレたことをやるようになる。
このように、
会社という集団の中では、会社の利害と個人の利害が必ずしも一致しない
つまり、
部門間や個人間の利害やしがらみをぶった切ってでも、消費者価値としてのベストを押し通す強力な意思決定の仕組みが必要になる。
→会社のトップがその仕組みをつくり出す必要がある
※マーケティングは消費者理解の専門家として、消費者価値を最大化させる最善策を部門や個人の利害を超越して主張し、実現に向けて牽引しなければならない。→会社の「心臓」
○日本企業はマーケティング弱者である
・製造業が業績不振に陥ってる原因は、技術志向に偏りすぎ、マーケティングを軽視してきたことにある。
・TVCM(広告)の目的
その企業のブランド価値を向上させて売上を伸ばすことである。
量よりも質が大事
日本企業の問題として、年間数十億もの巨額を投じるTVCMの費用対効果を明確に把握できていない。
→その会社にちゃんとしたマーケティングの機能がないからである。
・マーケティングはアメリカで生まれ、自由主義経済によって育てられた、企業が競走に生き残るために生まれた実戦学である。
マーケティング発展途上国である日本が生き残るためには「技術」と「マーケティング」の両方を手に入れる必要がある。
○マーケティングの本質とは
「売れる仕組みを作ること」である。
売れるようにするには、消費者と商品の接点をコントロールすることが必要。
・コントロールすべき消費者との接点
①消費者の頭の中を制する
TVCMや広告等で認知率をあげ、ブランディングすることで消費者の頭の中に「選ばれる必然」を作り出す。
②店頭(買う場所)を制する
配荷率が最も大事である。配荷率とは、消費者が買える場所に商品がどのくらいの割合で展開されているかである。
③商品の使用体験を制する
中長期的に売上を向上させるためには、リピート率が重要であり、リピートしてもらうために、商品開発に対して予め消費者が喜ぶものを作らせる。
○マーケティング・フレームワーク
フレームワークとは、何かを考える時の基本となる頭の使い方のことである。
目的・・・OBJECTIVE(達成すべき目的はなにか?)
↓
目標・・・WHO(誰に売るのか?)
↓
戦略・・・WHAT(何を売るのか?)
↓
戦術・・・HOW(どうやって売るのか?)
必ず目的に近いところから順番に考えていく。
しかし、これをやる前に必ずやっておかなければならないことは、自ブランドをめぐる「戦況分析」である。
①戦況分析
良いマーケティング戦略を作るために欠かせないものであり、「市場構造」をよく理解して、それを味方につけるために行う。
・5C分析に着眼する。
Company(自社の理解)
Consumer(消費者の理解)
Customer(流通など中間顧客の理解)
Competitor(競合する他者の理解)
Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)
②目的の設定
適切な目標設定とは、
・実現可能性(ギリギリ届く高さを狙う)
・シンプルさ
・魅力的かどうか(人的資源を激増させる)
であり、上位組織の人間はこれらを意識して目的の設定を行わなければならない。
③WHO(誰に売るのか?)=目標
・戦略ターゲットとコアターゲット
戦略ターゲットとは、ブランドがマーケティング予算を必ず投下する最も大きなくくりのことで、目的達成に照らして小さすぎないようにする必要がある。
コアターゲットとは、戦略ターゲットの中で更にマーケティング予算を集中投資する消費者のくくりである。
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④WHAT(何を売るのか?)=戦略
消費者がそのブランドを選ぶ必然、そのブランドを購入する根源的な理由が戦略的な選択となる。
USJの場合では、消費者が本当に欲しいのはアトラクションやイベントではなく、それらを体験した時に巻き起こる「感情」こそがWHATであるとした。
アトラクションはその感情をデリバリーする装置であり、それらの製品(もの)はHOWに属する。
⑤HOW(どうやって売るのか?)=戦術
HOWは、WHATをWHOに届けるための仕掛けであり、HOWが弱ければどんなに強力なWHATでも消費者に届くことは無い。
最も重要なのは、HOWというよりもWHOの理解である。
消費者を深く理解することが良いHOWを思いつく1番の近く道である!
・マーケティング・ミックス(4P)とは
Product(製品)
Price(価格)
Place(流通)
Promotion(販促)
の4領域のことである。
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これらWHO・WHAT・HOWがすべて上手くいくとビジネスは爆発する!
○マーケターに向いてる4つの適性
①リーダーシップの強い人
②考える力(戦略的思考の素養)が強い人
③EQの高い人
④精神的にタフな人
○どうキャリアを作るのか?
・「好き」な仕事でなければ成功することは難しい
・会社ではなく「職能」を選ぶ
これからの時代はプロとしての職能(スキル)を身につけることで、どの会社で働こうとも誰にも奪えない本当の財産となる。
職能を伸ばすために必要な経験を貪欲に選び、社内で手に入らなければ職能の成長のために積極的に転職すれば良い。
○最後に
私はマーケティングというものに無知であったが、この著書はとても読みやすく、初心者でもマーケティングとは何なのかということが理解しやすかった。
普段何気なく見てるTVCMや商品棚の配列等にもマーケティングが行われていて、マーケティングがいかに日常生活でも使用されているのか、注意深く見ていきたいと思う。
また、フレームワークはどんなビジネスの場面でも使えるもので、計算された筋道を考えるのはとても楽しいことだと感じた。
もっと詳しい内容はぜひこの本を手に取って読んで頂きたい。