ツケにはハネよ、ハネにはノビよ〜欧州カタールW杯予選 グループI 第4節 ポーランド🇵🇱 4-1 アルバニア🇦🇱〜
戦前のざっくりイメージはポーランド優勢。何せレヴァンドフスキ(バイエルンミュンヘン)がいるし、最後尾にはシュチェスニー(ユベントス)が控えてる。そりゃ盾矛揃ってんだから強いだろ〜って入ったこの試合。
ピッチを駆ける黒と白の陣取り合戦はあながち囲碁の様相を呈していた。
ポーランド共和国🇵🇱
人口:約3800万人 首都:ワルシャワ
FIFAランキング(21/8/12発表):27位
今大会成績:1勝1分1敗 得失点差+2 4位
一口メモ:チーズを世界最古で製造した国(21/9/4現在)
スターティングメンバー
交代:
33分 18番ベレシンスキ→3番ダヴィドヴィッチ
62分 21番フランコフスキ→8番リネティ
81分 14番ブクサ→11番シフィデルスキ
13番リブズ→23番プハチ
アルバニア共和国🇦🇱
人口:約301万人 首都:ティラナ
FIFAランキング(21/8/12発表):69位
今大会成績:2勝0分1敗 得失点差+1
一口メモ:1997年、ねずみ講の破綻により国民の1/3が全財産を失った悲しい過去。
スターティングメンバー
交代:
67分 20番トラシ→21番ロシ
10番マナイ→19番バライ
74分 14番ブクサ→9番チェキシ
83分 16番チカレシ→11番ウズニ
ポーランド 4-1 アルバニア
6 シュート数 12
4 枠内シュート 4
49% ボールポゼッション率 51%
得点者:12分レヴァンドフスキ(POL)、
25分チカレシ(ALB)、44分ブスカ(POL)
54分クリホビアク(POL)、89分リネティ(POL)
全勝のイングランドを追走すべく始まったこの試合。
スコアではポーランドが圧勝しているものの、試合内容とすると54分までは互角。懸命に寄せ続け、防波堤をいくつもツケ続けたアルバニアは3失点目を機に失速。ダメを押されての大敗となってしまった。
"この試合の"両チームの印象
両チーム共に勝ちを求めた試合。各々の狙いは国の特徴だけでなく、相手を封じるための策も盛り込まれていたに違いない。
・ポーランド
エース・レヴァンドフスキ!なサッカーかと思いきや、後ろからきっちりと剥がしながら、4-4ブロックだけでなく、シャドー対応として4-1-4のようにブロックを可変し、広く2列目から待ち構える。縦に運んでレイオフも徹底されており、センターライン付近のサイドにて局面で複数人でツケに来るアルバニアをハネて対応し、逆サイドにノビる。4-2-2-2のメタとされる5-3-2のプレスを躱せる技術と戦術眼を見せた。
印象的だったのはサイドで3枚のプレスを覚悟しながらもツッカケて、レイオフを繰り出し前進していった前半の部分。
「敵の急所は我が急所」
誘いに敢えて乗ることで突破口を見出した。
・アルバニア
前半は奪いどころであるセンターライン付近サイドにおいて、相手1枚に対して3枚ツケる大仕掛け。突貫チームかと思わせたが、後半ボール保持ができるようになると逆にピッチを大きく使って菱形作って横→縦で前進できる好チームに。やるべきことができるチーム。それは下位に取りこぼしは少ないよなって。大事なこと。
質で上回る相手へのサプライズとしての3枚ツケ作戦は今後も行われるのだろうか。
「敵の急所は我が急所」
作戦を打開策として使われてしまっただけに相手に合わせた戦略として変化に期待したい。
試合観戦記
アルバニアはポーランドを自分達のサッカー(っぽい)で押し込んだ。レヴァンドフスキが堪らず下りて捌きたくなるくらいには支配した。ただし攻撃を広く取る分、前半の戦略であった狭い局面を作るプレスに繋げられず、ボールを自分達に戻すためには相応の体力とパワーを後ろ向きに必要としてしまった。
そのため、菱形を作って横→縦で前進しても崩しの局面で菱形の頂点にボールが入った後のサポートが遠く、前を向くにしろ、突破するにしろ、回すにしろ、個人の能力を発揮しなければならない。むしろポーランド側からすればそこに誘導していたと言ってもいい。
勝てる自信があれば受ければいい。
3-1になった頃にはポーランドの割り切りは好手となった。結果のような圧倒的な内容ではないことが、日程の詰まるこの代表ウィークにおいては省エネ策に。そこに人がいればなんとかなるならこの守り方でいいじゃない。上位段者による指導碁のような受け回り。守りの局面での白の多さが勝利の要因だった。
翻って、もし仮にアルバニアの「3枚ツケ」がハマったらどうなっていただろうか。結局のところこの後半の距離感で広くボールを回しながら前進することが得意そうなチームでは逆サイドへのノビから再度作り直すことになるため、果たしてそれで良かったのか、と感じるところだが、よくよく考えたらこの試合前まではアルバニアの方が順位が上。レヴァンドフスキにボールを届けないようにすることで相手の得点機会を減らそうぜということであるならば合致が行く。要するにアルバニアは引き分けでも良かったはずだった。
後半のアルバニアのサッカーっぽい形の方がむしろボールが握れて、かつレヴァンドフスキがゴールから遠ざかる形でボールを受けていた事を考えるとサッカーとは皮肉なものである。
結果、レヴァンドフスキには1ゴール1アシスト。これを是と捉えるか非と捉えるか。迎える第2戦ではFIFAランキング42位差を覆す波乱も起こり得るかもしれない。
気になった選手
この試合のピックアッププレーヤーはそれぞれこの2人。
ポーランド
・10番 MFクリホビアク
ポーランドはおそらく彼のチームなのだろう。
ロシア・プレミアリーガのクラスノダル所属のMFはこの試合を掌握し続けた。レイオフの受け手から次への発想も、砦となったブロックも、この試合を終わらせた54分の得点も、クリホビアクという打ち手が描いた定石だったに違いない。
アルバニア
・16番 FWチカレシ
Jリーグで活躍しそうな、日本人が好むストライカー。名手シュチェスニーの逆をつく見事な同点ゴールの理不尽感もまたJリーグにいそうな助っ人感がある。どっか獲ったりしないかなぁなんて思ったらトルコリーグにいるみたい。しかも開幕3試合2得点中。淡い夢でした。
結果と次節
この試合の結果により、
ポーランドが2勝1分1敗
アルバニアが2勝0分2敗
と、勝ち点差1、ポーランドが上回った。
次節は、
ポーランドがサンマリノとのアウェイ戦。
アルバニアは勝ち点1差で追うハンガリーとのアウェイ戦となる。
ポーランドは勝ち点を積み上げる可能性が高いだけに、アルバニア×ハンガリーの勝利は両チームにとって大きな意味になるだろう。
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